初めてのディスカウントショップで娘と下着を買った話。#ワコールがnoteでコンテスト開催中
これは、ワコール下着価値向上委員会『#下着でプチハッピー』の応募ストーリーです。
お義母さんの体調が悪いというので、夫・わたし・娘の三人は、急いで夫の実家に車で向かった。
到着すると、思っていた以上に元気なお義母さんに安堵した。夫は念のため母親を病院に連れていったが、そこでも異常はみられなかった。でも、今晩はそのまま実家に泊まるという。
着の身着のまま来たわたしと娘は、ひとまず先に車で帰ることにした。
帰り際夫が、
「今日はありがとう。これで二人でなにか食べて。」
と、1万円札を出してきた。
わたしと娘はお義母さんには気づかれないように小躍りしながら、それを受け取った。
「なに食べたーい?」
車を運転しながらわたしが聞くと、娘は、
「ホテルに泊まりたい。」
と言い出した。
「ホテル⁉」
とわたしは驚きながらも、でも、それもありかもしれないと思った。高校2年生の娘は、来年、大学受験だ。しかも、志望している大学は東京だった。娘と旅行できるのも今のうちだけかもしれない。
わたしはカーナビで、娘はスマホでホテルの検索をした。
小さな町の中にあるビジネスホテルが素泊りで、ツイン6000円であることがわかった。今晩はそこに泊まることに決めた。
ホテルのスタッフに、洗濯機はないかどうか聞いたが、
「申し訳ありませんが、当ホテルにも近隣にも、コインランドリーはございません。」
と言われてしまった。わたしたちが途方に暮れていると、
「ただ……」
そのスタッフは国道沿いに夜遅くまでやっているディスカウントショップがあることを教えてくれた。
わたしたちは、その店に行くことにした。そのディスカウントショップの名前を聞いたことがあったが、入るのは二人とも初めてだった。
「帰りにコンビニでお弁当も買いたいから、予算は一人2000円まで。」
わたしは娘にそう言うと、下着売り場に向かった。
「派手すぎない⁉」
そのコーナーに入ったわたしと娘の第一声はそれだった。
パープル、ピンク、ブルー、グリーン、レース。わたしたちが普段選ばないようなデザインしか売られていなかったのだ。
「でも、もうここにしか下着は売られていないのよ。だから、ここで買うしかないのよ。」
わたしは娘だけでなく、自分にも言い聞かせるように言った。
最初、乗り気じゃなかったわたしも娘も、普段なら選ばないようなデザインに、気づくと夢中になって、キャッキャと盛り上がっていた。
ホテルに戻ってコンビニ弁当を食べ終えると、それぞれ買ってきた下着をもう一度見せ合った。
「やっぱり、派手だよ。」
「生地が少ない。」
「パットが分厚すぎる。」
そう言いながらも、娘は嬉しそうだった。わたしも楽しんでいた。
初めてのディスカウントショップ、派手な下着、夜のコンビニ、ツインルームに素泊り。
最近、忙しさにかまけて、冒険することを忘れていたかもしれない。
娘と一緒にこんなことができるのも、あと何回だろうか。わたしは娘の成長を喜びながら、寂しくもなり、複雑な気持ちになった。
「ううん、今を明日を楽しもう!」
娘の幸せそうな寝顔を見ながら、わたしも眠りについた。
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