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千葉県マザー牧場の「マザー」を求めて|7人家族小旅行記
千葉県は鹿野山(かのうざん)。静かにそびえたつ山の麓にたどり着いたのは、旅行2日目の朝10時だ。
マザー牧場は、変わらずそこにあった。
自分の幼少期から何度も足を運び、親になってからも度々訪れているその場所に、5人の子どもを引き連れてきたのは、これがはじめて。
受付をすませて、意気揚々とゲートをくぐった5歳の次男(双子弟)はひとこと。
「よおし!さあ、『マザー』は、どこだ!!??」
ここはマザー牧場。
自然豊かな、歴史ある牧場である。
牛や馬や羊やヤギ。たくさんの動物たちとの触れ合いが待っている。
しかしこの場所に、どうやら彼いわくマザー(彼のその時の言い方を適切に表現すれば、『マーザー』)が、どこかにいるらしい。
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「なあに言ってんのよお。マザー牧場は、牧場の名前!マーザーはいないのよ」
当たり前の突っ込みをしてしまってから、母はハッとした。
「あれえ?そうかあ。間違えちゃったな」
照れくさそうにしている双子弟。
いやいや双子弟よ。ごめんな。勝手な憶測はよくないよな。
マーザーはどこかにいるのかもしれないな。
私がまだ、その存在を知らないだけで……
というわけで。
30代SE眼鏡夫。
30代オタク主婦shiiimo。
小3不登校長女。
小2・ASD・ADHD次女。
5歳ワンパク双子男子。
1歳ワガママBODY三男。
彼らとめぐる、マザー牧場にて「マーザー」を見つける旅が、スタートしようとしていた……
#なんのはなしですか
(あ、家族旅行記です)
海ほたるは雨模様
時間はさかのぼり、11月2日。
この日は保育園組3人の運動発表会だった。
ちょうどその週、平日開催となった小学校の運動会もあり。
「みんなで、がんばったねってお祝いで。連休だし、そのまま旅行行こうか」と、急遽企画をたてる夫と私。
現在不登校の長女は「ぼくは、行ってないケドネ……」と、少し自虐気味に母にくっついてくる。
「まああなたも毎日、がんばってるからね……ゲームしたりとか笑」
私がそうささやいてみると「ええっそれでいいのお?」と、笑ってくれた。
いんじゃないの。今はそれでさ。
そうして迎えた本番。
かけっこで1位になった双子弟。
ダンスでキレッキレのお尻フリフリをかましてくれた双子兄。
運動発表会デビューにて、悶絶級のかわいさを披露してくれた三男。
そして、一緒に応援した姉妹。
みんな笑顔で終了し、千葉県に向かったのだった。
……🚙………
小雨の中、高速のアクアラインを進んでいく。
休日の朝ともなるとかなりの渋滞に巻き込まれるものだが、お昼も過ぎてしまうと思いのほか早い。
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千葉県への旅行のときは、たいてい海ほたるに寄って行く。
今回もまたしかりである。
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次女「船があるね」
長女「うん。見えてるよ」
次女「ほら。……船!!」
長女「うん。さっきも言ってたよ」
ASD・ADHDの次女にとってもやさしい、長女。(あきれてるだけ?)
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武器を持つとなにかを叩きたくて仕方ないお年頃。(1歳8か月)
プイプイ音を立てながらいろんな人を叩きまくるため、このあと没収されました。
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双子弟「いいよ……」
アイスがあれば食べたくなる病気に侵されている5児である。
必ず、親も含めみんなに自分のアイスを分け合いながら全員シェアして食べる様子は癒しPOWERレベルが50000は優にある。
さらには双子弟の表情から得られる哀愁もあって、親としてはなお感慨深いのだった。
海ほたるには、4Fサウスキャビンの奥に、ストリートピアノが常設されている。
これに関しては肝心な全体像写真を撮影できておらず、公式写真を拝借。
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海の生き物が描かれているソレは、バックに海をたずさえて、心なしか音ものびやかに響いているようだった。
誰一人ピアノの腕がないshiiimo一家は、「誰がそれっぽく弾けるか」というノリでなんとなあく触れるしかできないのであった。
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他にも。足湯があったり、幸せの鐘があったり、幅広いグルメがあったり。ここを目的に来る人が多いことにも納得なのである。
友人たちへのお土産をさっそく選ぶ子どもたちを誘導しながら(たまに1人くらい危うく見失いそうになりながら)大満足で旅館へと移動してゆくのだった。
ちなみに。こだわりとも言えぬ私のこだわり(言ってる)
旅行の際には、とにかく子どもの表情をメインに、どんな風に過ごしていたのかを切り取るように、絶え間なく写真を撮るのがshiiimo流儀。
だからこそ、子どもの顔の全体像を隠しての掲載になることにより、結局なんの写真なんだかわからんものばっかりお見せすることになってるのはホンマごめん。(ダチ?)
あと単純に写真のセンスがないので、ホントに練習しておいた方がいいと思うんですけど、どうですかね?(知らんて)
大家族でお騒がせした旅館へ
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最近はホテル泊まりが多かったので、旅館に泊まるのは久しぶり。
子どもたちにとってはなかなか馴染みのない場所でもあり、7人で移動すれば廊下はぎしりと沈む。
「お化けが出るんじゃないかな……」
部屋に入ってさっそく、ビビる次女。
だからあれほど、怖い話のYoutubeを観るなと言ったのに。
夫「でも、お化けは、お金も払ってないしね(適当)」
次女「そ、そっか……じゃあ、ここには入ってこれないよね?」
母「うん。しかも、夜には玄関閉め切っちゃうって言ってたから。お化けも『ああ、閉まってるわ~入れないわ~』って帰っていくでしょ(適当)」
次女「そ、そうだよね!受付におじさんもいたもんね!」
次女よ………
かわいすぎな????
そこから気持ちを早々に切り替えた子どもたち。
ふっかふかの布団にダイビングするたびに「家じゃねえんだぞ!!!」と夫の怒号が飛ぶもおかまいなし。
次から次へと子どもがダイブするので、早々に
父&母「風呂行くぞ!!!」
貸し切り風呂で久しぶりに家族全員で混浴。4児の母時代はしょっちゅう家族全員で入っていたお風呂も、さすがにもう我が家のお風呂はキャパオーバー。
久しぶりだね、こんな風にみんなでお風呂なんt……
と浸っている暇もなく、蜘蛛がいるう!だのなんだの騒ぐ姉妹を連れ出す。
早々に上がって楽しむは、
ジュース!お菓子!お酒!お酒!OSAKE!
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あまりの楽しさに、ポテチをぶちまけ三男。
楽しみ方、わかってるじゃねえの……?
※このあとスタッフ(家族)がおいしくいただきました。
……😴……
翌朝。
あまりの布団の心地よさに、みんなでしっかり熟睡。
翌朝には食堂で「日本の朝ごはん」の代表作とも呼ぶべき朝ごはんをいただいた。
干物、お味噌汁、おかわり自由のご飯、湯豆腐、目玉焼き、ウインナー………
なによりも、起きただけでもう、こんなにも豊富なメニューが用意されている。そのことに感動である。
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彼の食べっぷりだけはめちゃくちゃ撮影した
三男がぶちまけた米粒たちを拭き上げていると、女将さんが「そのままでいいですよ。私の仕事ですからねえ」と笑顔で言ってくださった。
「すいません。お騒がせしました。ありがとうございます」と言うと、
「子どもたちはあっという間にね、大きくなっちゃうからね。今が楽しいわよ~」
がんばってね。
そう言って、肩をぽん、と叩いてくださった。
朝日の逆光を受けた女将さんの笑顔が目に染みて、自分の二日酔いもしっかりと洗い流してもらった気がした。
(母、飲みすぎていた)
いざ。「マーザー」を探しに。
すっかり旅館の居心地の良さに馴染んだ5児。
布団に再び飛び込んだり、隠れたり、頼んでもいないのに母を軸として追いかけっこを始めたりする。
いよいよ襖か障子を突き破る未来しか見えなかったので、早々に宿を後にした。
実は、旅館だけ決めたものの、その後の行き先を決めていなかった弾丸旅行。
ただ、千葉とくると、真っ先に浮かんだのが………
マザー牧場、であった。
(ちなみにshiiimo千葉県人ではありません。勝手におすすめしているだけです)
ということで、冒頭のシーンに追いついた。(お疲れ様。お茶飲みな?)
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マーザー、おらず。
到着して早々に目についた、コキアの茂み。遠くから見たコキアの群れは心なしか、赤い羊のようにも見えた。真ん丸なコキアの群れに興奮の5児。
枯れたコキアを束にして箒を作るイベントも開催していた。時間的に参加はできずだったけれど、自然に触れるにはもってこいのイベントだ。
(は、もしや……主催者は「マーザー」だったのかもしれない……?)
基本的に自宅に籠りがちな、ゲーマー一家のshiiimo家族。
わが子が自然と動物たちに触れている。
その姿を見ているだけで親は満足してしまうんだから、なんとも勝手なものだと思う。
でも、ゆるしてね。うれしいだけなんだ。
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わが子たちは幼いころからすごく怖がりだけど、動物ふれあい体験などは大好き。普段はなかなか動物に触れあう機会もないのに、堂々と餌をあげることもできるから、なんだか不思議だなあと感じる。動物の純粋さが、そうさせるのだろうか。
ああでも、自分もそうだったな。
兄がビビッて落っことしたニンジンをうばって、ラクダにあげてどや顔していたな。(イヤな妹)
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双子が大のお気に入りとなったのが、リクガメ。5歳の双子くらい大きなその子は、このゲートの奥でのんびりと野菜を食べていた。
双子「ニンジンを……キャベツを食べてる!キャベツのほうがたくさんある!残ってる!あ、今、ニンジンを、食べた!」
そのあまりのオーラに、見たまんまを実況するしかない双子。周りに闊歩するヤギや羊、牛、馬には目もくれず、ひたすらカメを愛でる時間が過ぎていった。
旅のこだわりで言えば、こういうところもそうかもしれない。
旅先ではみんなが集まるメイン所ではなく、その時子どもたちが興味を示すところに、親がついていくスタンス。
その先に、自分たちでは見つけられない魅力を発見することが、多々あるのだ。
ただしこのハウスにも。
マーザー、おらず。
「山の上には、遊園地があるんだってえ!!!」
こういう施設に来ると、しっかり園内マップを常備する次女が叫ぶと、双子は駆け出した。
「うっそお!遊園地!?」
「行こう!」
ベビーカーで坂を登る母には、過酷な旅であったが……
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高く登れば、別の景色が見えてくる。
当たり前で、でも登ってみないとわからないこと。
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双子兄の首には、この日ずっと、金メダルがぶら下がっていた。
前日の運動発表会で、双子弟がかけっこ1位になってもらったメダル。
「双子兄くんといっしょに使う♬」と、兄の首にかけてくれたものだ。
やさしいねえ。
息も絶え絶えになりながら(母のみ)到着した遊園地では、それぞれの「やりたいこと」を叶えることに。
手分けして、5児それぞれの目的達成のため駆け回る、夫と私。
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悠々とそのおててをお振りになる三男氏
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収穫したものは、友達に配るんだってさ
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巡り巡って。「マザー」とはなんだったのか
牧場だったのに、牛や馬、羊の触れ合いもろくにせず
カメ実況を重ね、ウサギにそっと癒され、遊園地で遊び倒し、
コキアの群れの中でかくれんぼなどしながら、大満足で帰宅したshiiimo一家。
この場所にくるだけでもいい。
ここでこの山と大地の声を聴いているだけでいい。
自然にも動物にも触れあえるし、触れ合わなくたっていい……
すべてが許されていく……
それがマザー牧場の「マーザー」もとい「マザー」
つまり、癒し効果ってことなんじゃあねえのかい?
帰り道の車の助手席の中で、子どもたちの寝顔を時々振り返りながら。
なんとなくそれっぽい言葉を心の中で並べるなどして、イイ感じに締めようとしていたshiiimo。
だが……実際の由来ってなんなのだろう?
幼少期の頃から、たとえば自分の幼稚園の遠足や家族旅行でも来ていたのに、その「マザー」たる所以には疑問すら抱いていなかった。
ということで調べてみると、公式サイトにしっかり記載されていた。
創設者前田久吉は、大阪の天下茶屋に生まれましたが、生家は貧しい農家で、夜中にふと目をさますと、
母親がいつも小さな灯を頼りに針仕事をしており、口ぐせのように「牛が一頭いれば暮らしも楽になるのに…」と言っていました。
このことが心の奥深くに残り大人になっても忘れることがなかった前田は、いまはなき母親への想いをこめて「マザー牧場」と名付けました。
マザーの由来。めっちゃいい話、だった…………(号泣)
今は亡き母、「マザー」への想いを込めて…
あのとき、牛の一頭でも与えてあげたかった。
その想いがあっての、今のこの雄大な土地、そして牛をはじめとしたたくさんの動物たち。
今、その創設者前田氏の想いは、この鹿野山にしっかり根付いている。
shiiimoは確信した。
マーザーは……ここに、あったんだ……(天を仰ぐ)
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マザー牧場には、グランピング施設も入っている。遊園地までの道のりの途中、ぽつぽつと見える大きなテント。
「あれはなに?」子どもたちは言う。
「グランピング。あの中で泊まれるんだよ。ベッドとかもあるし」
「ええ、すごい!泊まりたい!」
うん。いいかもしれないね。
「マーザー」
その正体を知ったうえでまた、この地を訪れるのも乙じゃないか。
そのときは双子弟は、「『マーザー』はどこだ」なんて言ったこと、忘れてしまっているのかな。かもしれないね。
でも私は忘れないよ。
訪れるたびに
「あんたは昔、このゲートをくぐったときにねえ……」
と、もう擦り切れるくらい同じネタを話して
「もう、母ちゃんうるさい!」
と怒られるくらいには、なりたいよね。
ごめんな、こんなマザーで。
マザー、おかげさまで毎日たのしいです。
旅の写真フォルダ。
パンパンでスマホが壊れそうな気がするけど、まだまだ撮っていくから。
また、こっち見て、笑ってみせて。
よろしくね。
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