チームビルディングの授業
福井県立丸岡高等学校にて、高校1年生向けに、チームビルディングの授業を4コマ担当させてもらった。チームとは何か?チームビルディングとは何なのか?たくさんの問いかけとワークを通じてともに学んだ。
高校時代の後悔
私自身高校時代、ひとつ後悔していることがある。それは、クラスメイトとちゃんと向き合わなかったこと。集団行動が苦手で、仲良しこよしが嫌い。みんなライバルだと敵対視し、自己開示をすることもなければ相手を理解しようとも思っておらず、自分のことで精一杯。けれど、今思えば大切な時期を共有した一生の仲間。もっと早く話をしておけばよかった、誤解を解けたかもしれない、本当の友達になれたかもしれないと悔やんでいる。だから、高校生のみんなにはクラスや友達、もっと言えば自分を大切にして欲しいという願いを込めて準備してきた。
自分や相手を知り、チームを知るということ
今年一番の雪が降る中、チームビルディングの授業は始まった。「チームワーク知ってる人?」という問いかけから始まったのだが、誰も手を挙げない。グループワークの3人組を自分たちで見つけて作れない。普通科とスポーツ科の3クラスが100名程集まっていたのだが、クラスの垣根を超えた繋がりが薄いため、積極的に普段話さない人に話しかけにいかない。男女でグループがきっちり分かれていて、この温度差を乗り越えるハードルが高い。「自分としては積極的にグループを仲良くない人と組んだり、ハイタッチができなかった。」こんな素直な意見がでて、今できているできていない関係なく、現在地を知ることが大切なのではないか?むしろ今の自分たちには難しい、悔しいな、もっとこうしたいなという思いが湧いてきたなら、とても良いスタートになったんじゃないかと思う。
すべては問いからはじまる
授業では、自分を知るパートとチームを知るパートに分けて、自己認識や組織文化を学びながら、チームビルディングを考えていった。前半、自分を育てる方法から、自分の好きなことは何か?楽しいと感じることは何か?自分にとって貴重で嬉しかった体験は?また、他の人と比べて劣っていることは?その弱点から生まれている長所は?という自分インタビューをして、クラスメイトとお互いの話を聞き合って、フィードバックした。10年後の自分から、今の自分へのメッセージも書いてもらった。きっと今全部書けなくても、人間は問われてはじめて考え始める生き物。進路、就職、キャリアに悩んだ時、いつか未来の自分にヒントを与えてくれるものであったなら嬉しい。
自分たちが大切にしたいことは?
後半戦では、「高校1年生の残り3か月、このクラスで、どんなチームビルディングの活動をやりたいか?」ランダムに分かれたグループで、アイディアを出してもらった。自分たちが学校に来るのが楽しくなるようなアイディアがたくさん出た。自分たちが今どんな状態なのか?チェックリストを使って客観的に評価するアンケートに答えてもらった。ラストスパートは「1年○組らしさとは?」というお題でアイディアを拡散して、「1年○組が大切にしたいことは?」とチームワードをひとつ決めて発表してもらった。
クラスのために、自分は何ができるか?
クラスで掲げたチームワードに対して、「もっと男女関係なく助け合って、協力できるようにはまず普段の会話を大切にしたい。」「みんなで協力するために自分から動くようにしたい」「クラスや学年でできる企画を考えたい」「明るい雰囲気を作る。」「僕は笑顔を大切にしたい。だからいつも笑顔でいたい」と前向きな声がたくさん挙がって、涙がでる程嬉しい。
100人よりも10人、たった1人の心に届けばいい
個別で問いかけても誤魔化したり、恥ずかしさから真剣にワークに取り組まなかったり、明らかに失礼な態度をとる生徒がいた話を、6歳の娘にしたら一言。「高校生って一番上から2番目でしょ?(大学から数えて、大人になる一歩前という意味)言われたこともできないなんて、赤ちゃんからやり直しよ。」「バブちゃんor今の高校生を続けたいか?」紙に書いて教室に張りだしたらとフィードバック。さすが、娘よ。ありがとう。
私自身、高校生の時感じていた葛藤や違和感、どうしようもない怒りのような感情があった。でも、何が嫌だったのか、30代の今ようやく解明されていくような感覚だ。だから今前向きになれなくても、言葉にできなくてもいい。5年、10年、20年先と長いタイムスパンの中で、ゆっくり自分のペースで歩んでいけばいいのだ。
会場にいた100人全員の成長を後押しすることはできなかったかもしれない。けれど10人、いやたった1人でも気づきがあり学べたならこんなに光栄なことはない。