プラーナヤーマの目的:呼吸数を減らす・息止めを行う
数回に渡り、呼吸法についてまとめています。
前回の投稿で触れた『呼吸法の目的:呼吸数を減らす・息止めを行う』による効果について。
効果1.呼気の延長により副交感神経優位状態を優位にし心身をリラックス状態に
呼吸数を減らす際には、吐く息を意識的に長く行います。
これにより、自律神経的には副交感神経優位となり心身のリラックス状態が深まります。
効果2.延髄の呼吸中枢を刺激し脳への酸素供給量を増加させる
脳は呼吸停止から5分で細胞が死滅し始めると言われています。
生命危機の回避には、まずは脳に酸素を優先的に送ることが大切になります。
この働きを利用して、呼吸数の減少や息止めにより血中の二酸化炭素を増加させることで延髄の呼吸中枢が危機を察知し、脳へ酸素を多く供給するよう指令を出します。
脳細胞へ血流が行き渡ることで脳の働きが活性化し思考がクリアになります。
効果3.細胞への酸素供給促進により抗酸化物質の産生がされる
呼吸数が減少するということは、新たな酸素が入ってこないために血中の二酸化炭素が減少するということ。
大まかに言えば血中の二酸化炭素濃度が高まると筋肉・内臓などの各組織に栄養(酸素)が行き渡り、組織を作動させるエネルギーの産生がたくさん行われるようになる。
もう少し詳しく考えてみます。
まず、医療関係者であれば学生時代に散々学んだであろう基本的知識を私も含めて復習です。
大まかな酸素供給の流れとしては、外呼吸により体内に取り込まれた空気は肺でヘモグロビンと融和する形で酸素が取り込まれ、組織に至るとヘモグロビンが酸素を手放すことで細胞内に到達します。
この時、組織内血液の二酸化炭素分圧が高いほどヘモグロビンは酸素を手放しやすく、細胞への酸素共有は促進されます。
国試の勉強では私は正直何のために覚えたのか分からなかったのですが、『ボーア効果』(響きだけがやたらと印象に残る)という働きですね。それが何に役立つのかがピンとこないと人間、なかなか覚えられないものです。
ボーア効果:肺では酸素の分圧が多少低くても酸素飽和度は高いので酸素を取り込みやすくなっており、組織では酸素飽和度が低いため、ヘモグロビンから酸素が解離しやすい働きのこと。
酸素飽和度が低いほど酸素は細胞へ多く渡される。つまり、組織では血中の二酸化炭素が多いほど酸素が行き渡りやすい。
二酸化炭素って、何かと悪者扱いされがちですが、実は細胞へ酸素を手渡すためにとっても大切な役割を担っているんですね。
まとめ
呼吸数を減らす・息止めを行うことは心身リラックスしながらも研ぎ澄まされた活動的な状態を目指すもの。
なんだか、かっこいいですね〜。
でも、最後にリスクをお伝えします。
呼吸数を減らす・息止めにおいてのリスク
利点を聞くととても魅力的な『呼吸数を減らす・息止め』ですが、この試みは体内を酸欠状態一歩手前に意図的に至らせるものでもあります。
体内の二酸化炭素が増えすぎることは体内を酸性に傾倒させることであり、最悪昏睡状態となるリスクを伴います。
呼吸数を減らすこと・息止めは徐々に訓練して行うことがとても大切です。
特に、呼吸器疾患や心疾患のある方は主治医にご相談のうえ、専門的な知識を持つ指導者のもとで実践されることをお勧めします。
呼吸法は、初めはゆるく。
まずは全身のリラックスを感じながら「あ〜〜〜〜」と長く声を出す。
とってもシンプルですが、これだけでもとっても効果的です。
お風呂の中で「あ〜〜〜〜」。
やってみてくださいね。
最後まで読んでいただき有難うございます。
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