伝統芸能(詩吟)は、どこに向かって広げるべきか?
heyheyです。
衰退しつつある伝統芸能の詩吟を、どうしたら活性化できるのか、実は日々考えています。
考え続けていても頭の中でぐるぐるするだけなので、ここで吐き出しつつ、客観視できたらと思います。
ここから本題です。
伝統芸能が向かう相手は3つある
僕は詩吟のことしか詳しくありませんが、伝統芸能を活性化する際に、向かうべき相手は3つあると考えています。
年配の方
若者
日本文化好きの海外の人
簡単に思いつく内容ですが、誰を相手にするかによって進め方が大きく変わるので、それぞれ整理していきます。
1.年配の方を相手にする場合
年配の方は、伝統芸能に対して心理的ハードルが一番低いです。
この方々が若いころは、伝統芸能が盛んだったということもあるでしょうし、年を重ねるにつれて、伝統芸能が心に響くようになるということもあると思います。
僕自身、10代20代の頃よりも、30代の今の方が、詩吟に対する感じ方は変わっていきました。苦くて深みのあるコーヒーを楽しめるようになった…という感覚に近いのかもしれません。
ですので、伝統芸能の良さを伝えた場合、一番伝わりやすい、理解してもらいやすいのは年配の方だと思います。
一方で、SNSやネットを通じて効率的に伝えるのが一番難しい相手でもあります。
詩吟の世界の場合、平均年齢は70歳を超えていますので、LINEですら使っていないという方が少なくありません。以前に僕の先生にLINEの使い方を伝えたら、大変感謝されました。
スマホを使って気軽にネットで検索する、SNSで情報を見るという、僕たちの常識が通用しないのです。
ましてや、Discordを使って、効率的に、無駄無く情報をやり取りするというのも非常にハードルが高いです。
個人的には、詩吟のコミュニティをDiscordで作れたら、色々と動きやすいなあと思っているのですが…。
各流派の部屋を作ったり、出場予定の大会の部屋を作って、各々が研鑽したり情報交換する場にするのもアリだと思います…。
とはいえ、悪いことばかりでもありません。
日本において年配の方は今後ますます増えていきます。
それこそ世界一のペースです。また、少なくとも現役世代と比べて、時間的・精神的余裕があるので、伝統芸能に時間を割きやすいとも言えます。
ここまでをまとめます。
メリット:
・心理的ハードルが一番低い。理解してもらいやすい。
・対象人口は増え続ける。
・時間的、精神的余裕が現役世代よりある。
デメリット:
・ネットやSNSで情報を伝えることが難しい。
・効率的なソフトがあっても活用しにくい。
2.若者を相手にする場合
伝統芸能を活性化するぞ!という人は、ほぼ100%「どうすれば若い人が入ってくれるか?」を議題にします。
気持ちは分かりますし、僕としても、やっぱり入ってくれる方が嬉しいです。でも、実際のところはレッドオーシャンで、やり方を相当工夫しないといけない相手だと思います。
「普通に戦う」が一番通用しない相手だと思うのです。
そもそも「若い人」という定義が広すぎます。
10代なのか20代なのか30代なのか。
詩吟業界では、50代も若者と呼ばれます(苦笑)
僕自身30代なのでよくわかりますが、各年代での感性は全く違います。
正直今の年齢では、10代の感性を理解するのにあまり自信がありません。
TikTokですら、最近ようやく見始めたという感じです💦
それこそ「本気で10代のことを知ろう」と思って調べないといけないレベルです。無策で行ける相手ではありません。
20代はなんとなく分かります。
ですが、大学生から社会人になり、仕事で手一杯で、他の事をやる余裕がありません。
社会人になりたてで、もっと世界を拡げたい気持ちもあるでしょう。
飲み会にいったり、社会人サークルに入ったり、友人と出かけたり。
そんな中で「よし、詩吟をやろう」「伝統芸能を始めよう!」とはならないのです。
そんな人は、もともと興味やきっかけがあって、その気持ちが残り続けていて、社会人で時間とお金が自由になってきて、自分から動くような人です。決してマジョリティではありません。
30代は自分事なのでよくわかります。
20代の比にならないくらい、ライフステージの変化が目まぐるしいです。
恋人との付き合いを経て、結婚したら、あとはもうノンストップです。
結婚式をあげて、子供が生まれて、家を買って、、、
1~2年おきにライフステージが変わっていく感じなので、その変化についていくのがやっとです。本当に時間がありません。お金もありません。
なので、僕自身、今は子育てを理由に詩吟の団体から離れて休会している状態です。余裕がないのです。
独身の方ならありかも?と思うかもしれませんが、濃厚な趣味を持っていたり、婚活を頑張っていたりで、詩吟の優先度が高まる理由がありません。
さらにいうと、詩吟業界は年配の方が超ハイパーマジョリティなので、若いのに独身の女性が入ると、色々と過ごし辛い可能性も想像できます。。。
ここまでを無理やりまとめます
メリット:
・若い(笑)
・SNSやネットで繋がるのでコミュニケーションしやすい
デメリット:
・年代ごとに特徴が違い過ぎる
10代:僕も良くわからない。狙うなら本気で知ろうとする姿勢が必須。
20代:社会人になって一気に広がった世界を楽しむ時期。
伝統芸能の存在はその他大勢の1つになるだけ。
30代:ライフステージの変化がめまぐるしい。
他のことをやる余裕なんてない。
3.日本文化好きの海外の人
僕も安直に考えがちなこのルート、よくよく考えると注意が必要です。
久(HISAHI)さんという、琴や和楽器を演奏されていて、NFTのプロジェクトリーダーでもある方が話していた内容を一部ご紹介します。
日本アニメが好きで、日本が好きになった!という海外の方と話されたときに、琴の話をすると、琴という名前自体が知らなかったそうです。
そもそも認知されていないというのが、最大の課題です。
どんな素晴らしい文化があろうが、知られていなければ存在しないのと同じ。伝える以前に、存在を知ってもらう必要があります。
また、「海外の人」という言葉の大きさも大問題です。
英語圏の方なのか、中華圏の方なのか。
国はどこなのか?
それだけでも、伝え方が全く異なります。
詩吟なら、もしかすると中華圏の方が伝わりやすいかもしれません。
さらに、「日本文化好きの人」というのもすごくあやふやです。
日本のアニメが好きなのか、建物が好きなのか、J-POPが好きなのか。
それらが好きだからといって、日本の伝統芸能が好きかどうかはまったく別物です。
先ほどの久さんの話でもありましたが、サイゼリアが好きだからと言ってイタリア好きとは言えませんし、K-POPの大ファンだからといってチマチョゴリを着ているわけではありません。
ここまでを無理やりまとめます。
メリット:
・新しい市場が開ける可能性がある
デメリット:
・そもそも知られていないので、知ってもらうことから必要
・相手への解像度を高める必要がある。
・どこの国のどんな人なのか?
・日本文化の何にどれだけ興味があるのか?等
相手は誰を想定するのか、具体的にしていくことがやっぱり大切です。
ビジネスでも何でもそうですよね。
広く伝えようとすれば浅くなり、誰にも刺さらない。
狭く細くすることで、だれか一人にグサッと刺さる。
深く刺すことができれば、その人が拡散してくれるかもしれないし、同じ属性の人が集まるかもしれない。
ただし、狭く細くするということは、伝え方がそれぞれ全く異なるということ。違う戦略を用意しないといけないということです。
全てを追いかけていては時間がいくらあっても足りません。
相手を決めて、見定めて、まずやってみる。
相手の反応を見て、次の行動を考える。
書いていて普通だなーと思いましたが(笑)、とはいえ、きっとこんな方針になるんでしょう。
僕もついつい「若者を増やしたい」「海外の人に知ってもらいたい」とフワッと考えることがあるのですが、戒めないといけないなと思いました。
おわり。