文月の書(2024)〜「蝉時雨」
盛夏という言葉がぴったりの暑さを通り越し、まるで服を着たままサウナ風呂に放り込まれたような、蒸籠で蒸される小籠包の気持ちがよくわかる酷暑が続く毎日、外では蝉の声が響きまくっております。
多くの蝉の声が降るように鳴り響く様子を日本では「蝉時雨」と表現します。
「時雨」とは強弱を繰り返したり止んだりする季節的な雨のこと。
たしかにものすごい声量なので正直やかましいのですが、セミが鳴くのはオスがメスを引き付けるためで、限られた寿命の中で次世代を残すという使命を果たそうとしていることを考えると、「良いお相手が見つかるといいね」と思ってしまいます。
もしあれが蝉ではなく人間が街中で、
「彼女募集中で〜す!」と大声で叫んでたら、不快指数満々な暑さも手伝って、聞いてるこっちはイラっ💢とするだろうし、
「嫁に〜来ないか〜♬」と大声で歌ってたら、「お前は新沼謙治か?!」と若い人ポッカ〜ン…なツッコミをしてしまうところですが、
「蝉時雨」と表現することで、あの凄まじい喧騒が急に品のある風流なものに思えるのですから、言葉とは不思議なものです。
日本語にはこのように美しい言葉がたくさんあります。
私はそういう素晴らしい文化を次世代に遺していくことは、カリグラフィーアーティストとしての大切な務めの一つだと思っています。
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