指輪物語 「22 / huhu」
神戸の「湊川公園手しごと市」に出店しているときでした。
ご夫婦のお客様がいらっしゃいました。
明るくお話される奥様と無口な旦那様。
シンプルでいいからペアリングが欲しいとのこと。
旦那様の指が凄くしっかりされていました。
手持ちの商品にサイズの合うものもなく、
オーダーを受けて作ることになりました。
後日、指輪の形や色などのヒアリングをさせてもらっているときでした。明るい奥様が「私事ですが、、、」と、ペアリングを希望される事情をお話下さいました。
夫婦ともに手を使う仕事柄から、結婚して一度も指輪をつけることはなかったそうです。でも、昨年から2度、旦那様が救急搬送される事態になりました。命はとりとめたものの後遺症が残りました。そこで改めて2人いっしょにいられることが幸せなことだと感じられたそうです。そしてこの絆を目に見える形で残したいと言う思いから、22年越しの結婚指輪をつくることにしました。
完成した指輪をお渡した際、奥様からこんな言葉を頂きました。
「これからも誰かを幸せにして下さい。」
ものをつくる仕事の喜びと意味を改めて考えたご依頼でした。