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メンヘラうさちゃん人形と子供部屋おじさんの行く末は…臓物血みどろハートフルムービー「ベニー•ラブズ•ユー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(618日目)
「ベニー•ラブズ•ユー」(2019)
カール•ホルト監督
◆あらすじ
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おもちゃデザイナーとして働く実家暮らしの男性ジャックは、35歳の誕生日に事故で両親を亡くしてしまう。仕事でも失敗してお金に困った彼は、家を売ることを決意。部屋に溢れる思い出の品を処分していく中で、幼い頃に大切にしていたぬいぐるみのベニーを捨てようとするが……。(映画.comより引用)
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「子供部屋おじさんが幼い頃に大切にしていたぬいぐるみ•ベニーを処分するも、命を得て彼のもとに戻ってきて騒動を巻き起こす」
という、私の大好きな“人形が登場する”系ホラーです。
がっつりなグロ描写が非常に多く、生首やら臓物やらを惜しむことなく出してきます。しかしテイストとしてはかなりコメディよりでテンポが良いため、なぜかそういった殺戮シーンでも“怖さ”や“グロさ”などはあまり感じず、ついつい笑わされてしまいます。さらには割とハートフルな展開になるため油断しているとラストで泣かされます。
なもんで、ホラー好きな方はもちろん、そうでない方でも楽しめる内容になっているのではないでしょうか。(そもそもグロいのが苦手な方は無理だと思いますが…)
監督を務めたカール•ホルト氏は監督の他にも脚本、製作、撮影、音楽、編集、視覚効果、主演を務めており、さらには人形のベニーの操作も担当したそうです。
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(映画.comより引用)
撮影自体は2014年に始まり1年ほどで終了しましたが、なにぶん編集や視覚効果などもホルト氏自身で行ったため公開が2019年にズレ込んだようです。
しかしそれだけ時間を掛けて丁寧に作り上げただけあって、低予算感や人手不足、手抜きなどを微塵も感じさせない素晴らしい完成度で最後の最後まで楽しませていただきました。
現在U-NEXTで配信中のほか、アマゾンプライムでは400円でレンタルが可能です。まだ少々お高いですが余裕で400円以上の価値はあります!
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◇オモチャ会社•トイボックスで働く実家暮らし35歳のジャック。しかし彼の誕生日に不慮の事故で両親が死亡。仕事でもミスをして窓際族に追い込まれ、金銭的に困窮した彼はいよいよ家を売ることになる。私物も整理することになり、幼い頃に大切にしていたうさぎの人形•ベニーも泣く泣く処分する。しかしその晩、命を得て復活したベニーはジャックが手元に残したオモチャを一つ残らず破壊。さらには家の売買のために出入りしていた営業顧問デビッドをも殺害してしまう。その後もジャックの邪魔となる人間を次から次へと殺してしまう無邪気なベニーと子供部屋おじさん•ジャックの奇妙な共同生活が幕を開ける。
という流れになっています。
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物語の冒頭で「命を得た人形が子供を殺害する」という、いわゆる導入(どんなテイストの作品なのか)のシーンがありまして、ざっくりまとめると
『聞き分けがなく我儘な娘とそんな娘にうんざりの母親。娘は新しいオモチャを買い与えてもらった途端、それまで可愛がっていたクマさんのぬいぐるみを無下に扱う。その晩、母親は目玉を抉り取られた娘の無残な姿と血塗れのクマさんを見て絶叫する』
という導入でして、これだけ見るとよくある感じです。
しかし!
やたらとヒステリックに金切り声をあげる可愛くない娘や、そんな娘が嫌いすぎてGoogleで「我が子を叩くのは合法?」と検索するヤベェ母親。その後、クマさん人形が動いたことに驚き悲鳴をあげる娘を思いっきり張り倒すシーンがあったりと、無くてもいいようなおバカな要素をさりげなく散りばめているため、我々視聴者はこの冒頭の数分を見ただけで「あっ、この映画はバカだ!(もちろん褒め言葉です笑)」ということが分かります。
母親に思いっきりビンタされた娘の頬に手形が残っている辺りがもう完全に確信犯です。この数分で今作をどう見ればいいかの指針が定まるため、この導入のシーンから相当センスを感じました。
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(映画.comより引用)
本題に入ってからは『不運続きの子供部屋おじさん•ジャックのもとにベニーが舞い戻り、次から次へと騒動を繰り広げる』という分かりやすい大筋の中で明確な起承転結があるため非常に見やすいです。
ベニーは人形だった時に元から収録されていた「OK」、「抱っこして」、「ベニーはキミを愛してる」などしか喋りませんが、行動原理が『ジャック大好き!ずっと一緒にいたい』と『ジャックを邪魔するモノやジャックが好意を寄せているモノは排除する』の2点であるため、言葉をベラベラ喋らなくても意思が感じられますし、行動の一つ一つに無理がなく非常に自然です。
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そんなベニーが命を得て、ジャックと奇妙な共同生活を送る中で、うだつの上がらなかったジャックがベニーのおかげもあって仕事が上手く行きだしたり、恋人ができたりと物語の中盤はかなり順風満帆で、テンポよくスピーディーに展開していくので見ていて心地が良いです。
ジャックのためにシャツのアイロン掛けや靴磨き、一緒にお風呂に入ったりと仲睦まじいシーンもありつつ、ジャック家を出入りする不動産屋などを葬り去ることも忘れず、要所要所でしっかり殺戮シーンがあるためダレることもありません。
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ジャックが社長から一時的に世話を押し付けられたプレシャス(黒いパグ)すらもベニーのやきもちセンサーに引っ掛かってしまい、洗濯機に放り込まれて殺されてしまいます。ジャックもジャックでなんとか誤魔化そうとびしょびしょのプレシャスの死体をドライヤーで乾かしてみたり、言い訳の文言を練習したり、ペットショップに似た感じの犬がいないか問い合わせたり、グロいシーンでもおバカなコメディ展開で笑わせてくれます。
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後半ではプレシャスの一件でジャックをクビにした社長や会社の人々相手にベニーが次々と殺戮を繰り広げ、ジャックと恋人のドーン、そして鼻に付く同僚のリチャードの3人でジャック家に籠城してベニーを迎え撃つという終盤の展開へと入っていきます。
正直、このあたりが個人的には少々とっ散らかっているなと思いました。「ジャックたち3人VSベニー」という構図が物足りないと思ったのか、ドーンのトラウマとなっているエイミー人形やリチャードの開発した高性能ロボット玩具までもが襲いかかってきます。リチャードが腹を切り裂かれて掃除機で内臓を吸い取られるシーンなどはもちろん面白いんですけど、何を見せたいのかが不明瞭になってしまい、シンプルに「対ベニー」だけでも良かった気がします。ベニー対ジャックが開発したロボット玩具の対決なども相当クオリティが高く、見応えがあります。
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(映画.comより引用)
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死後、全ての罪を擦り付けられます。(映画.comより引用)
ラストは駆けつけた警官たちによってベニーが射殺されてしまうのですが、このあたりでジャックとベニーの回想シーンが入るのでついつい泣かされてしまいます。「ジャックがどれだけベニーを思っていたのか」が分かる、良い意味で非常に憎らしい演出で素晴らしかったです。
そんな泣けるラストからのエピローグでは全ての事件がリチャードに擦り付けられており、これまた笑わされてしまいます。「ジャックはドーンとの関係も良好で、ベニーや他のオモチャたちを捨てることなく一緒に引っ越しをする」というハートフルな終わり方で感情が忙しいですが最後の最後まで面白かったです。さらにはエンディング後もお楽しみがあり、こちらも必見です!
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