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オバケも恐怖も大盤振る舞い!サービス精神旺盛なインドネシア発の鬱々ホラー「悪魔に呼ばれる前に」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(563日目)

「悪魔に呼ばれる前に」(2018)
ティモ•ジャヤント監督

◆あらすじ
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疎遠の父親が意識不明に。突然の父の異変にまつわる謎を解き明かそうと、古い別荘を訪れたヒロイン。そこで彼女と腹違いのきょうだいを、戦慄の恐怖が待ち受ける。(Filmarksより引用)
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インドネシア発のNetflixオリジナル作品です。

監督を務めたティモ•ジャヤント氏はコメディ、ホラー、アクションと様々なジャンルの作品を撮っている監督で、若い頃に見たヒッチコック監督の「サイコ」(’60)やトミー・リー・ウォーレス監督の「IT」(’90)に影響を受けたそうです。

内容自体はかなりシンプルで特に意外性があるわけでもなく、登場人物も薄味なので印象に残るようなセリフやシーンも個人的にはありませんでした。

しかしです!

今作の見所はストーリーや俳優陣ではなく、
“恐怖”そのものです!

詳しくは後述しますがとにかく怖いものをかき集めて、それを全て作品にぶち込んでいます。ホラー映画をたくさん見ている人間からすると『これはあの作品で見たことあるな』とついつい思ってしまうものが多いので、正直言うと新鮮味みたいなものはなく、“ホラー映画あるある”として楽しんでいた部分もありました。

ですが、これだけ“恐怖”を詰め込んでいるので当然飽きは来ません。ホラー映画に馴染みがない人からしたら入門編として持って来いの一作だと思います。

悪魔に呼ばれる前にWikipediaより引用

◇富•名声のために悪魔の儀式に手を出したレスマナは巨万の富を得て、さらには元女優の若くて美しい妻も手に入れた。しかしその後は破産し、現在は謎の奇病により入院していた。娘のアルフィは父の病の原因を探るため、後妻のラクシュミは子供たちを連れて金目になるものを探すため、それぞれ一家の別荘を訪れる。

といった感じの導入で

その後、御札でびっちり封印されていた地下室を開けてしまったことで再び呪いや悪霊が解き放たれてしまうという流れになっていきます。

Netflixより引用

テイストとしてはサム・ライミ監督の「死霊のはらわた」(’81)にかなり似ているように感じました。『悪霊の取り憑いた人間が襲いかかる』『血反吐をアホみたいにぶちまける』といったあたりは特に「死霊のはらわた」オマージュではないでしょうか。

更にはそこに『ALL黒目』、『顔面の皮膚ズル剥き』、『ベッドの下の攻防』、『がっつり肉弾戦』、『ただそこにいる』、『呪術と人形』等など、ありとあらゆるジャンルの恐怖演出を堪能させてくれます。

腹違いの兄•ルーベンが逃げようとした際に、呪術の掛けられた人形の足を折られ、それと同時にルーベンの足も折れて階段から転げ落ちるシーンは非常に良かったですし、その後人形の首をもがれて、ルーベンの首も吹っ飛ぶというシーンもセットで素晴らしかったです。

Netflixより引用

悪霊や悪霊に取り憑かれた人間のビジュアルは非常にクオリティが高く、めちゃくちゃ怖いです。

ですが割と序盤からその怖い顔の正面からのショットが多いので、残念ながら後半からは見慣れてしまいます。そこからもう一段階怖くするか、もしくは中盤や後半くらいまではあまり悪霊の顔を見せないなどして視聴者を焦らした方がより怖さが引き立つようにも思いました。

diariouno.com.arより引用

レスマナは富•名声と引き換えに妻の魂を呪術師に差し出しており、それゆえにアルフィの母親は死亡(表向きは事件性ゼロの投身自殺)してしまい、アルフィは後妻のラクシュミとも反りが合わず、家族とも疎遠になっていました。

『アルフィはマンションから落下する母の手を一度は掴むも悪霊に妨害され、こらえきれずに手を離してしまったことを未だに悔いている』というシーンがラストへの伏線となっています。この伏線回収も気持ちいいですし、後半から物語が一気に加速するのも緩急が効いていて良かったです。

diariouno.com.arより引用

ストーリーをあまり理解していなくても楽しめるので、「何か怖い映画見たいなぁ」ぐらいの気分のときに見るのに持って来いの作品です。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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