巨大ミミズの次はニワトリ!?キャスト、スタッフからも愛され続けるB級モンスターパニックムービー第2弾「トレマーズ2」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(644日目)
「トレマーズ2」(1996)
S•S•ウィルソン監督
◆あらすじ
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砂漠の町を恐怖のどん底に叩き込んだ人喰い怪物・グラボイズが、メキシコの油田に突如として出現。困り果てた石油会社は、7年前にグラボイズと死闘を繰り広げた男アールに退治を依頼。報奨金目当てで依頼を引き受けたアールはグラボイズ退治に乗り出すが…。(Filmarksより引用)
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『メキシコの油田に突如現れたミミズ型の巨大モンスター•グラボイズ。そんなヤツらを討伐するため、やさぐれ何でも屋のアールが再び立ち上がる』
という内容の痛快モンスターアクション映画に仕上がっております。
B級モンスターパニック映画のお手本とも言える名作「トレマーズ」(’90)の続編にあたり、前作よりもさらに派手な爆破やアクションシーンが多く、見応えがあって非常に面白かったです。
元々は前作同様に長編映画として製作される予定で、『製作費は1700万ドル!撮影場所はオーストラリア!さらには前作の主演ケヴィン・ベーコンも続投決定!』というファン大歓喜の内容でした。
しかし、いざ蓋を開けてみるとケヴィン・ベーコンは「アポロ13」(’95)と撮影スケジュールが被ってしまったことで泣く泣く辞退。さらに前作の人気キャラ•ヘザー役のリーバ・マッキンタイアも本職の歌手の方のコンサートツアーと被ってしまい出演は叶いませんでした。
配給元のMCAユニバーサルは前作が興行的に振るわなかったこと、そしてメインキャストの出演が叶わないことから製作に難色を示し、一時はこの「トレマーズ2」の企画自体が頓挫しかけました。しかし、複数の出演者やスタッフがギャラの値下げを申し出たことでなんとか企画の中止を阻止しました。
その後は前作のVHSの売り上げが良かったことからMCAユニバーサルのホームビデオ部門がこの企画を引き継ぎ、予算の大幅な削減(約400万ドルにまで減ったそうです)、戦車を使用する等の一部のシーンのカット、舞台をオーストラリアからメキシコにするなどの変更はあったものの、脚本はほぼそのままの内容でいけたそうです。
完成後の試写会での評判は上々で、劇場公開も検討された結果、完成からおよそ2年後の1996年に念願の劇場公開が実現しました。
このエピソードを見る限り、出演者やスタッフがどれくらいこの作品を愛しているかが分かります。実際、歴史に刻まれるほどの名作!とまでは行きませんが、映画愛やモンスター愛に溢れた素晴らしい作品となっています。その後も続編が作られて、長年ファンから愛されるシリーズとなっていくのも納得です。
監督•脚本を務めたS•S•ウィルソン氏は前作では脚本、原案、製作を担当しました。ちなみに続編となる「トレマーズ3」では脚本と製作、「トレマーズ4」では再び監督、そして製作総指揮、原案、キャラクターデザインを担当するなどシリーズに深く長く関わっているスタッフの一人です。そして前作で監督を務めたロン・アンダーウッド氏は今作では製作総指揮として加わっています。
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◇メキシコの油田地帯。そこに突如現れたグラボイズの群れは次々と作業員を捕食し、そんな現状に油田会社は頭を悩ませていた。そこで油田会社幹部のオルテガは七年前に砂漠の町でグラボイズを倒した経験のあるアールに討伐を依頼する。事業に失敗して多額の借金を背負っていたアールは一頭討伐につき5万ドルという高額報酬に目がくらみ、依頼を承諾。陽気なタクシードライバーのグラディを新たな相棒にしてグラボイズ討伐に乗り出す。
という単純明快なストーリーに魅力的なモンスターの群れ、そして派手な爆破やガンアクション盛り盛りの内容で、誰が見ても楽しめる娯楽映画になっています。こういう映画を見ながらダラダラ食べるお昼ご飯は最高に美味しいでしょうね。テレ東の午後のロードショーとかで定期的に放送して欲しいです。
前作では巨大なグラボイズを1体1体命がけで倒しており、主人公側にもそこそこの犠牲があるので緊張感があり、終始ハラハラドキドキの展開でした。
しかし今作ではラジコン作戦(爆弾を付けたラジコンに食い付いたところで爆発させて倒す)で次々と簡単に討伐するので、あまりグラボイズの脅威が伝わって来ませんでした。『知能が高く学習するため、一度引っ掛かった手には二度と掛からない』という前作の設定はどこかに行ってしまったようです。
もちろん今作の見所はグラボイズの新形態であるシュリーカーで、グラボイズはあくまで前座です。なもんであれくらい簡単に倒してしまっても流れ的にはOKなのかもしれません。
新形態のシュリーカーはグラボイズの繁殖期の姿で、成熟したグラボイズの体内を突き破って出てきます。頭部はグラボイズとおなじ見た目ですが、フォルムはニワトリのようで動きはかなり俊敏です。
頭部に収納型の熱センサーがついておりそれで獲物を感知します。視覚や聴覚は退化しており、鳴き声を上げた時に発せられる熱で仲間とコミュニケーションを取ります。また雌雄同体であり、交尾をせずに個体を増やすことができます。個体数を増やすために常に食べ物を探しており、必要な量の栄養を摂取すると口から幼体のシュリーカーを吐き出します。
『視覚と聴覚が退化している』や『熱を探知する』という設定を上手いこと活かしており、熱湯に浸した服を囮にしておびき寄せたり、外れたドアに身を隠しながら移動したり、アールが全身にドライアイスを吹き掛けた状態でシュリーカーの群れが閉じ込められている倉庫に侵入して爆破装置を起動するなど、脚本や設定の妙を随所に感じられます。
またシュリーカー側の視点があるのも良かったです。シュリーカー視点だといわゆるサーモグラフィーカメラのような映像になり、「赤い人型が逃げていくのを追いかける」みたいな演出がとても良かったです。ちなみにこのシーンはキャストに赤いスーツと黄色のストッキングを着用させて撮影したそうです。
アールから協力を求められるとトラックに大量の銃火器や爆弾、非常食を積んでメキシコまではるばるやってくる軍事マニアのバートも大活躍でした。
前作に引き続きの登場になりますが、今作の方がより出番も多く、その存在感を遺憾なく発揮します。持ってきた大量の非常食を全てシュリーカーに食べられたことで数が増えてしまったり、脱出するためのトラックがある倉庫にシュリーカーの群れを閉じ込めてしまったりと、中々にトラブルメーカーな一面も見せますが、その度に「だって知らなかったんだよ…」と言い訳するなどかわいいところもあります。
ちなみにバートの妻•ヘザーは先述した理由でリーバ・マッキンタイアの出演が叶わず、『離婚して出ていった』という設定になっています。
クライマックスは
『ドライアイスで全身を冷やしたアールがシュリーカーの群れが閉じ込められている倉庫に入って爆弾を仕掛ける。ドライアイスの効果が切れ、シュリーカーに襲われるも間一髪のところで脱出。シュリーカーの群れは大爆発に巻き込まれ、アールたちは見事シュリーカーの殲滅に成功する』
という非常に爽快なものでとても良かったんですけど、『一網打尽にして大爆発』という、悪く言えばよくあるオチで少々物足りなく、欲を言えばもう一捻り、もう一展開欲しかったです。そしてメインのモンスターであるシュリーカーも怖いは怖いんですけど、1体1体がそこまで大きくないので群れになってもそこまで怖さが伝わって来ませんでした。やはりグラボイズくらい大きい方が脅威や迫力があって個人的には好きでした。
続編ではあるので前作を見ていたほうがより楽しめるんですけども、先述した通り単純明快なお話なので今作から見ても全然内容は理解できますし十分楽しめます。このシリーズは良いですね。私は大好きなので今後も追っていきたいと思います。オススメです!
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