見出し画像

エド・ウッドよ、あなたはどこまで我々を魅了すれば気が済むのか…「プラン9•フロム•アウター•スペース」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(629日目)

「プラン9•フロム•アウター•スペース」(1959)
エドワード•D•ウッド•Jr監督

◆あらすじ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アメリカ各地で空飛ぶ円盤が目撃される。それは、軍拡競争で自滅の道をたどる人類に警告するため、外宇宙からやって来た宇宙人たちだった。宇宙人は合衆国政府に接触を図るが、軍上層部は彼らのメッセージを理解できずに拒絶、攻撃してしまう。宇宙人は墓場から死者をよみがえらせて人間たちを驚かせ、地球を征服する「第9計画」を発動する。(映画.comより引用)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

“史上最低の映画監督”として今なお世界中で愛されているエド・ウッド監督の代表作とも言える奇天烈SFホラーです。

エド・ウッド監督は世間的には『最低最悪の映画の撮り続ける監督』として認知されておりますが、どれだけ酷評されても新作を撮り続け、その映画作りに対する愛と情熱を失うことが無かったことから、「ハリウッドの反天才」「芸術の突然変異」等とも称されていたそうです。

ちなみに女装趣味があったそうで、第二次世界大戦に従軍していた際、軍服の下にブラジャーとパンツを身に着けていたそうです。(エド・ウッドWikipediaより引用)

今作「プラン9・フロム・アウタースペース」の監督、原案、脚本、製作を全て務めたエド・ウッド氏はこの作品を自身の最高傑作だと信じて疑いませんでした。しかしいざ蓋を開けてみると上映権の買い手は中々つかず、最終的にはテレビ局に安く買い取られてしまったそうです。

結果的には深夜帯にテレビで何度も放送されたことで一部界隈から人気を博しましたが、これ以降、苦楽を共にしたプロデューサーやエド・ウッド作品常連の名優ベラ•ルゴシ氏が立て続けに亡くなるなどのショックが重なり、落ち込んだエド・ウッド氏は次第にアルコールに依存するようになりました。そのため今作以降はそれまでのような意欲や情熱が失われていき、晩年には低予算映画の脚本や官能小説の執筆で生計を立てていたそうで、54歳の時にアルコール中毒によってその生涯を終えました。

現在アマゾンプライムでモノクロ版が配信されていますが、私は浜田山のTSUTAYAにて総天然色版をレンタルさせていただきました。(パブリックドメイン化されているため、YouTubeやWikipediaに本編の字幕無しver.が無料で公開されています)

「ヒドすぎて、愛おしい」まさにそのとおりです。
(映画.comより引用)

私は毎日この企画用に映画を1本見て(基本的に午前中)、移動中や仕事の休憩中などの隙間時間でこのnoteを書くようにしており、大体は概要諸々を書いた後に自分なりの感想や考えを書くようにしています。

しかし今作に関しては見た瞬間からもうストーリーに関しては何の記憶も残っていないと言いますか、奇天烈すぎる内容に意味不明な会話の応酬、手作り感溢れるチープなセットや衣装、特撮と呼んでいいのかすら怪しい特撮などを見た事実は残っているんですけど、「ストーリーを説明しろ」と言われると本当に無理です。

視覚では追えてるんですけど脳が追いつかないんです。というか無自覚に思考を止めていたのかもしれません。お恥ずかしい限りです。

これがゾンビです。
演じているトー・ジョンソン氏は元プロレスラーです。
(映画.comより引用)

ざっくりと今作をまとめると

『人間同士の無益な争いに対して警鐘を鳴らしに来た宇宙人たち。しかし政府は一向に聞く耳を持たない。そんな愚かな人間に業を煮やした宇宙人たちは死者を蘇らせ、人類を脅かすことで地球を征服する“第9計画”を発動する』

という感じになると思います。

彼らが宇宙人です。
こういう、見ただけでZ級だと分かるシーン大好きです。
(映画.comより引用)

このプロットだけ見ると、SFスリラーにゾンビが上手いことマッチして中々に面白くなりそうなもんですが、いざ本編を見てみると、先述したような意味の無いセリフの応酬やコントのようなセット、肝心のゾンビもたったの三人とそのスケールの小ささに度肝を抜かれます。

チープな作りに関しては大好きなので全然ウェルカムなんですけど、会話の中身が無かったり意味不明だったりするのが個人的に一番シンドくて、思い返すと割と早い段階から思考を止めていたんだと思います。

ゾンビになってしまった老人(ベラ・ルゴシ)の妻
演じているメイラ•ヌルミ氏はヴァンパイラという芸名の怪奇女優として活躍しました。(映画.comより引用)

一応、テーマとしては反戦なのではないでしょうか。

人間同士の無意味な争い、科学技術の進歩による弊害、原爆や水爆の恐ろしさ等など

今もっとも見るべき映画なのかもしれません。

良い翻訳ですね。(s.cinemacafe.netより引用)

深夜帯にテレビで放送されたことでマニアからの支持は得ていたものの、一般的な知名度は低いままだった今作は意外な形で日の目を浴びることになります。

それは1994年にティム・バートン監督が手掛けた「エド・ウッド」という、その名の通りエド・ウッド監督を題材にした伝記映画です。

エド・ウッドを敬愛するティム・バートンがメガホンを取り、エド・ウッド役にはジョニー・デップが起用されています。アカデミー賞において助演男優賞(ベラ・ルゴシ役:マーティン・ランドー)やメイクアップ賞なども受賞した今作はエド・ウッドが「プラン9•フロム•アウター•スペース」を完成させるまでの黄金期を描いており、この作品によってエド・ウッド監督と「プラン9•フロム•アウター•スペース」の知名度は飛躍的に高まり、再評価に繋がったそうです。

宇宙人や第9計画に巻き込まれる人々
(映画.comより引用)

そんな今作はスポンサー探しもかなり難航したそうで、なんとバプテスト教会というキリスト教プロテスタントの一教派である教会にスポンサーを務めてもらったそうです。しかも製作費捻出のためにエド・ウッド氏は出演者全員をバプテスト教会に帰依させたとも言われています。

ちなみに今作は1976年に出版された「ゴールデン・ターキー・アワード」で『映画史上最低の作品』に、そしてエド・ウッド監督は『映画史上最低の監督』にそれぞれ選出されています。

両方ゾンビです。(映画.comより引用)

何が一番凄いって、これをエド・ウッド監督が大真面目に作っているということだと思います。私のような凡人には到底理解できない崇高な作品であると同時に、今もなお映画界に燦然と輝く不朽の傑作です。無料で視聴もできますので、どうか皆様もエド・ウッドの世界を堪能し、魅了されてください。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?