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学生たちがワープした先は魑魅魍魎が跋扈する地獄!?低予算ながらの創意工夫が素晴らしい一作「ワープ トゥ ヘル」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(671日目)

「ワープ トゥ ヘル」(2015)
ニック•ライオン監督

◆あらすじ
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アメリカのある大学生の研究チームが転送実験に成功(?)し、クレーターのような巨大な穴と共に“異次元”の扉を開けてしまう。一人を残し、6人の学生を呑み込んだその穴は、得体の知れないモンスターやゾンビがうようよひしめく、まさに地獄の世界だった。知らせを受け、現場に駆け付けた教授は、「3時間以内に応答装置で交信しないと救出は不可能だ」と頭を抱える。果たして6人の学生は生きて地獄を脱出することができるのか?(sonypictures.jpより引用)
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現在ソニー•ピクチャーズ様の公式YouTubeチャンネルにて本編が無料公開中です。期間限定なので気になる方はお早めに!

『転送実験で出現した異次元の穴に吸い込まれた学生たちが行き着いた先はなんと地獄!偏屈教授の助力を得ながら、彼らは元の世界への生還を目指す』という、どことなく中二病臭さが漂いつつもワクワクせずにはいられない魅力的なストーリーが非常に良かったです。

おそらくはかなりの低予算なのか、爆発や炎のCGや学生たちが異次元へと繋がる穴に吸い込まれるシーンの合成はお世辞にも良い出来とは言えず、2000年代初頭の作品かと見紛う部分も多々ありました。

余談ですが「スター・ウォーズエピソード1 ファントム・メナス」(’99)のCGや合成も今見ると中々にアレですけど、1999年製作ということを考えるとやっぱりすごいですよね。ちなみに私のお気に入りキャラであるジャー•ジャー•ビンクスはエピソード2以降出番が爆発的になくなってしまい、なんだかモヤッとした記憶があります。なんでも、海外のファンから「キモすぎる!」、「空気読め!カス!」という具合に異常なまでに嫌われてしまったのが原因らしいです。

もっと人気が出てもおかしくないキモカワ具合だと思うんですけどね。(Amazon.co.jpより引用)

話が逸れてしまいましたが、今作はそういった映像的に気になる部分もあるにはあるんですけど、地獄に登場するゾンビや人獣などのバラエティに富んだモンスターのビジュアルや特殊メイク、廃工場や家屋などを上手いこと地獄っぽく見立てている舞台セットや装置、そして小道具などは中々に目を見張るものがありました。

キャストもほぼほぼ無名ではあるものの学生たちがメインの作品なので、逆に“そこら辺にいる大学生感”が出ていて良かったです。

『限られた予算の中で自分たちが撮りたい作品のビジョンを明確に描き、その中で優先順位を付けていき、お金をかけるところはかける、削るところは削る』というのがはっきりしていて個人的にはかなり好感が持てました。

この内容の映画を『豪華キャストで予算も使い放題』という状況で撮ったとしたら、それはもちろんクオリティも上がるでしょうし、もっとたくさんの人の目に触れる作品になると思います。ですが、それを低予算でやりくりするからこそ生まれる面白さもあると思うのでそこは一長一短なのかもしれません。

そして、今作で監督を務めたニック•ライオン氏の手掛けた作品一覧を見ていただければわかると思いますが

「シン•アルマゲドン」(’16)や「シン•タイタニック」(’22)など、何かしらの続編っぽいパチモノまがいの作品や、如何にもなB級映画ばかり手掛けております。しかし、裏を返せば私のようにそういったマニアックな作品が好きな層は一定数いるわけですから需要があるんだと思います。それに、同監督の「ゾンビ•アルカトラズ」(’12)はこの企画を始めたばかりの頃に見ていましたが普通に面白かったです。あの名優ダニー・トレホも出演しています。

現在「ワープ トゥ ヘル」はアマゾンプライムの100円レンタルにもありますが、冒頭にも掲載しているように公式YouTubeチャンネルにて本編無料公開中なのでお気をつけください。

VRを使用した体験型アトラクションとかにしても面白いと思います。(sonypictures.jpより引用)

◇ロシアに突如出現した巨大クレーター。アメリカのとある大学の学生たちはこのクレーターが自分たちの転送装置による実験で現れたものではないかと踏む。その確証を得るために再実験をしたところ、偶然にも異次元の扉が開いてしまい、数名の学生が吸い込まれてしまう。そして彼らが行き着いた先は異形の者や悍ましい怪物が跋扈する地獄の世界。その一方、元の世界では助力を求められた偏屈教授のマーロが独自の計算で算出した結果、彼らに残された時間は3時間しかないという。ピーターたち学生は無事に元の世界へと戻ることが出来るのか!?

といった感じで展開していきます。

なんと言っても『地獄にワープしてしまう』という展開にはロマンが溢れますし、その地獄に登場する異形の者たちが揃いも揃ってビジュアルが素晴らしいです。

カロンの渡し守(日本で言うところの三途の川)のくだりも良かったです。ピーターが後ろから首を刎ねたのには引きましたが…(sonypictures.jpより引用)

映像自体はそれなりに面白く、物語の大筋や設定自体もワクワクするものでとても良かったんですけど、如何せん肝心の脚本にあまり中身が感じられませんでした。

•なぜ学生たちの転送装置の実験でロシアにクレーターが出現したのか

•またその確証を得るための再実験で異次元への扉(地獄)が開いたのか

•教授がはじき出した「彼らの猶予は3時間。それを過ぎたら戻れなくなるぞ」というよくわからない時間制限

•クライマックスでまた異次元の穴に吸い込まれたトリッシュは元の場所に生還したのに、直前でドラゴンに連れ去られたピーターはロシアのオムスクのクレーターから救助された理由とは

等など、明確にするべきところを全てその場のノリでふわっと流してしまっているので話全体がボヤケていました。とりわけ気になったのが教授の言う「猶予は3時間」という設定がそれ以降活かされる場面が無かったことです。

例えばカウントダウン的な演出がちゃんとあり、残り数秒のところで異次元の穴が出現し、トリッシュはそこに入れたけどピーターは間に合わなかったとか視聴者が焦ったり緊張感を持てるようなシーンがあれば良かったんですけど、何をもってどんな計算をした結果の3時間猶予なのかも分からないし、今現在地獄にいるピーターたちは時間の猶予のことは知らないので急ぐことも焦ることもありません。なので時間制限を設けるならちゃんと後から回収して欲しかったです。

あと、自分たちの実験でクレーターが出現したと思うのもかなりヤバいですけど、確証を得るためにもう一回同じ実験をしようという思考になるのも中々にヤバい奴らですよね。

そしてそんな登場人物が揃いも揃って最小限の味付けなのもあまりいただけませんでした。それぞれがどういうキャラなのか、また生い立ちや関係性などが何も分からず、せいぜい主人公ポジションのピーターとトリッシュが付き合っているというぐらいの情報しかありません。

そのため誰に対しても感情移入することができないので作品にのめり込みにくいです。

地獄という抽象的なものを廃工場やら森やらで表現しちゃうのは中々に斬新でした。(sonypictures.jpより引用)

そして『本物の地獄ではなく、各々が想像する地獄へのイメージが具現化した世界に迷い込んだ』という展開自体はすごく面白いですし、夢のようにそれぞれの場所や世界観がコロコロ変化していくのも魅力的でした。ですが、詰まる所「じゃあこの世界は一体何なの?」という大事な部分がうやむやにしており、先程述べた諸々含めて、作り手側がそういったディティールを何も考えていないのが明白な作品となっているのは些か残念でした。

あと、これは個人的に気になっただけなので書くほどのことではないかもなんですけど、この作品が劇場公開なのかそれともテレビ等で放送された2時間ドラマ的な立ち位置なのかは分かりませんが、所々で「画面が暗くなってまたそこから始まる」みたいないわゆる“CMまたぎ”みたいなものが5回ほど見受けられました。特に盛り上がっている所でそれがあるというわけでもなさそうなので不思議というか何だったんでしょうか。

色々と微妙な部分はありましたがダラダラとお菓子でも食べながら見るのに持って来いの映画だと思います。期間限定で今なら無料で見られますのでこの機会に是非!

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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