“落とした”のではなく“拾った” あの作品とは無関係なすれ違いスラッシャーホラー「スマホ拾っただけなのに」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(582日目)
「スマホ拾っただけなのに」(2019)
中元雄監督
◆あらすじ
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映画オタクの若者3人が、旅先の田舎町で道に落ちているスマートフォンを拾った。3人はスマホの持ち主であるユウカに出会い、村の案内を依頼する。途中、車が故障して近くの民家に助けを求めるが、怪しい老人たちからチェーンソーと鉈で襲われる。(Filmarksより引用)
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公式サイト↓
今日も今日とて中元雄監督作品です。もう完全にただのファンですね笑
シリーズでもないのに4日連続で同じ監督の作品を見るなんて初めてですし、それくらいに中元監督作品でしか得られない成分を欲している自分がいます。
一昨昨日から見てきた同監督作品はこちらから↓
今作は
『トイレを借りようと勝手に田舎の民家に上がり込んだら強盗と間違えられて、チェーンソージジイに追いかけ回される陰キャ大学生たち』
というおバカな展開から事態が二転三転していくのが毎度のことながら本当に見事で、ホラーの皮を被ったコメディかと思いきやがっつりスラッシャー映画に様変わりするあたり最早感動すら覚えるレベルです。
現在U-NEXTで配信中のほか、アマゾンプライムやDMMTV、Lemino等のサブスクサービスでは440円にてレンタルが可能です。
◇大学卒業を控えた映画サークルの仲良し三人組のサイトー、スズキ、アオキは群馬観光をしている際にスマホを拾う。なんとか持ち主である女性と連絡を取り、スマホを無事返却した3人。しかしスマホの持ち主ユウカに一目惚れし、半ば強引に群馬を案内してもらうことに。その道中、急な腹痛に襲われたアオキのためにトイレを借りようと近くの民家にやむを得なく無断で侵入。その家の住人である老婆に強盗と間違われ、さらにはチェーンソーを持った老人にも追いかけ回されるはめに…
という序盤は王道のドタバタコメディで、
『老夫婦を食人族だと思い逃げ回る4人VSサイトーたちを強盗と勘違いして撃退しようと試みる普通の老夫婦』
というすれ違いコントの構図の中で、チェーンソージジイや鎌ババア相手に家の中で逃げたり、隠れたりしながら奪われたスマホを取り返して警察を呼ぼうと試みるサイトーたちの視点で物語が進みます。
血みどろの姿でチェーンソーを振り回すジジイや遺骨をボリボリ食べるババアを見てビビり倒す4人でしたが、いたるところに違和感というか不自然な部分があり、これを中盤で回収していきます。
そもそも民家に一番最初に上がり込んだのは腹痛で一刻も早くトイレに行きたいアオキではなく、なぜかユウカなんです。知り合いでもなんでもない民家で誰も居なさそうだからとずかずかと上がっていくユウカの行動にはかなり違和感を感じましたがここもしっかりと回収してくれます。
◇実は食人族でもなんでもないただの仲睦まじい老夫婦は最近このあたりで起きている強盗事件に用心しつつ、いつも通りの日常を送っていました。そんな中、突如家に侵入してきたサイトーたちを見て強盗と勘違い。当然の如く、撃退しようと追いかけ回します。老人の服の返り血は猪の解体時に付着したものとトマトジュースをこぼしただけ、老婆が遺骨を食べていたと思われたのも、ただ単に紛らわしい器に入れていたお菓子を食べているだけでした。
ここでようやく、追いかけながらも深追いしなかったり、捕らえても暴行を加えなかった理由や、負傷したスズキはただ自分で転んで気絶しただけだったなど全ての誤解が解けます。
てっきりここで終わるのかと思いきや
◇誤解も解け、仲良く食卓を囲み、泊めてもらうことになった一同。夜中に物音で目を覚ましたサイトーが居間を覗くと明らかに悪そうな男二人組とユウカが老夫婦を殺害し、金を奪おうとしていた。
というどんでん返しが待ち受けていました。
序盤で民家にずかずかと上がり込むユウカに違和感を感じたのはこういうことだったんです。言うなれば元々この家にも狙いをつけており、下見と物色を兼ねての行動だったのでしょう。さすがにこれは予想できませんでした。
『サイトーたちVSユウカら強盗犯』で揉み合いになる中で手首を切断されながらも警察を呼ぶというサイトーの決死の行動で事件は収束しましたが、ここでも“アオキの着信音がデカい”や“「利き手は切断したくない」というサイトーの発言”など冒頭からこっそり張ってあった伏線を見事に回収して終わらせるのが本当に見事で、すごくキレイに終わります。
メインの3人が映画オタクなので随所にホラー映画ネタが散りばめられており、「バタリアン、エクソシスト、食人族のオールナイト上映が決定したぞ!」や「死霊のはらわたのアッシュみたいに利き手が切断されるのはやだなぁ」や「あのババア、バタリアンのオバンバそっくりだ」などついつい笑ってしまうようなセリフも多く、最後の最後まで楽しめる作品でした。
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
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