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不条理すぎるドタバタコメディクライムホラー!こんなの面白いに決まってる!「ショッカー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(612日目)

「ショッカー」(1989)
ウェス・クレイヴン監督

◆あらすじ
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殺人犯の姿を予知するジョナサン。犯行が繰り返される中、ついにテレビ修理人のピンカーが逮捕される。しかし電気椅子で処刑されたピンカーの体は電流とともに消滅。なんと彼は電波と化し、あらゆる場所に出現し始める。縦横無尽、神出鬼没の殺人鬼ピンカーを食い止めることはできるのか?(映画.comより引用)
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「予知夢を駆使する大学生VS電気に変身する連続殺人鬼」

という超絶ぶっ飛び設定もさることながら、『スラッシャー×サスペンス×コメディ×青春ラブロマンス×アクション』とあらゆる要素を盛り込んでいるにも関わらず、それらが一切喧嘩することなく調和しているのが本当にすごいです。

監督を務めたのは「エルム街の悪夢」シリーズや「スクリーム」シリーズでおなじみのウェス・クレイヴン氏で、やはりこの頃から遊び心をふんだんに折り込みながら意欲的な挑戦を続けており、現在では一般的となった『ホラー+α』を確立させた立役者の一人と言っても過言ではないでしょう。BGMにロックやメタル調の曲を取り入れるあたりもダン・オバノン監督やダリオ・アルジェント監督へのリスペクトが感じられます。

サム・ライミ監督の弟であるテッド・ライミ氏がメインキャスト(ラグビー部のマネージャー•パック役)として出演していたり、ウェス・クレイヴン氏御本人や娘のジェシカや息子のジョナサン、さらには「エルム街の悪夢」のヒロイン•ナンシー役で有名なヘザー・ランゲンカンプ氏らがカメオ出演しており、そういった人達を探すために視聴するというのもまた楽しいかもしれません。同監督の人気シリーズと比較すると知名度は落ちるかもしれませんが相当な良作です。

ピンカー(左)とジョナサン(右)
ちょっとシャイニングみたいですね。(Amazon.co.jpより引用)

そして、今作のマスコットキャラクターである連続殺人鬼のピンカー(↑画像参照)は黒魔術によって電気と一体化できるというアベンジャーズもびっくりな特殊能力を手に入れるものの、びっくりするくらいに華が無いです。ジェイソンやフレディのようなキャッチャーさは皆無の強面スキンヘッドで、どうあがいても絶対に人気が出なさそうなのが逆に面白かったです。

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映画.comより引用

◇フットボールの優秀な選手である大学生のジョナサンはある日、練習中に頭を強くぶつけてしまう。大事をとって帰宅したその日の晩、実家で家族が惨殺される夢を見る。そしてそれは現実となり、彼の養父で刑事のドンに予知夢のことを話し、最初は半信半疑だったドンもあまりにも詳しく事件のことを言い当てる息子のことを信じ、犯人と思われる修理屋のピンカーのもとを尋ねる。ピンカーは警察の捜索を振り切り逃走し、今度はジョナサンの恋人•アリソンを殺害。ピンカーを捕まえようと躍起になったジョナサンは夢の中にダイブし、再びピンカーと対峙。居場所を突き止め、ドンや親友のライノの手助けもあり、見事ピンカーを捕まえる。

という冒頭から中盤にかけては

『頭をぶつけたことでなぜか予知夢が見られるようになった大学生が身内や恋人の命を奪った連続殺人鬼を追う』

という展開になっており、おそらくこれだけで最後までやり通しても相当面白いと思います。予知夢で犯人の殺害現場を特定したり、自ら夢の中にダイブして犯人と対話をするなどSFチックなところもありつつ、家族愛や友情なども感じられ、もし私がこの設定を思いついたらこれだけで映画を一本撮ってしまうと思います。

スラッシャー映画として見てもかなりレベルが高いです。
(Amazon.co.jpより引用)

しかしです!

すでに面白いこの作品がより加速するのはここからなんです!

◇ついに御用となった連続殺人鬼のピンカーは死刑となり、主人公たちが立ち会う中、電気椅子で電流を流される。しかしピンカーは死刑直前に獄中でテレビの配線を自分に繋ぎ、黒魔術を用いて体内に電流を流していたため、自身の魂を電流内に逃がせるようになっていた。そのため自身に触れた医師の体に乗り移る形で見事脱走。再び犯行を繰り返し、ジョナサンの命を狙い続ける。

というふうに、中盤からいきなり強烈なトンチキ設定が放り込まれます。さらにはこの後、「これがあればピンカーを遠ざけられるわ」と当たり前のように幽霊となったアリソンが登場してジョナサンにペンダントを託すなど、普通に幽霊が登場するファンタジー要素も加わります。

当たり前のようにアリソンの霊が登場します。
(Amazon.co.jpより引用)

こういう展開が異色にも程があるんですけども味変としてはカンペキすぎてめちゃくちゃ面白いです。

ピンカーの能力に関しては『電流や電子機器内を自由に行き来出来る特異体質となった』とでも言うべきでしょうか。このあたりは詳しい説明がないものの、これ以降ピンカーは触れることで他人の体を乗っ取ったり、テレビやコンセント口などから移動することが可能となります。

この電気椅子のシーンもかなり迫力があります。
(Amazon.co.jpより引用)

ピンカーは幼女やその母親、警察、さらには養父である刑事のドンなど様々な人間に入り込んでジョナサンの命を狙うんですけども、可愛らしい幼女がツバを吐き捨てたり、ショベルカーでジョナサンを追い回す姿はかなり滑稽で、緊張感はあるんですけどもコメディっぽさもあってすごく良かったです。

これも中身はピンカーです。(Amazon.co.jpより引用)

◇紆余曲折ありながらもドンの体に乗り移ったピンカーを電波塔に追い詰めるジョナサン。アンテナに触れた際に感電したことでドンは正気を取り戻すも、ピンカーはアンテナの電波に乗って拡散され町中のテレビに出没することになる。ジョナサンは自分を囮にしてピンカーをおびき出す様子をテレビ局に生中継で放映するように依頼する。斯くして、テレビの世界に吸い込まれたジョナサンとピンカーは様々な番組の中を移動しながら最後の攻防を繰り広げる。

という後半へと繋がっていきます。

ピンカーがテレビ内を行き来するのは分かるんですけど、ジョナサンまでテレビに入ってしまう流れが意味分からなすぎて完全に置いてけぼりにされるんですけど、「ボボボーボ・ボーボボ」みたいな不条理さが感じられて逆に面白かったです。

ボクシングの試合に乱入したり、クイズ番組の司会者をぶん殴ったり、ドラマの登場人物に「危ないから窓閉めたほうがいいよ」と言ったり、テレビのリモコンでピンカーの動きを封じたりともう無茶苦茶なドタバタコメディっぷりで、前半との高低差がえげつないです。

ジョナサンとアリソン(映画.comより引用)

ラストは『ジョナサンが生中継のカメラに飛び込んだタイミングで手筈通りライノたちに発電所のブレーカーを落としてもらい、テレビの世界にピンカーを閉じ込める』というかなりパワープレイなオチながもキレイに着地しており最後の最後まで楽しめました。オススメです!

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