過去イチくだらないけど愛おしい!不条理ワールド全開のB級お下劣サメ映画!「ハウスシャーク」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(642日目)
「ハウスシャーク」(2017)
ロン•ボンク監督
◆あらすじ
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息子テオと二人暮らしの元警官フランク。ある夜、シッターのベッツィに家を預け帰宅した彼が見たのは、血の海となった自宅トイレの中に引きずり込まれていくベッツィの凄惨な最期だった。家にサメらしき怪物がいると主張し、テオと庭でテント生活を始めたフランクだが、地元の悪徳不動産会社は勝手に家を売ろうと画策。内見に来たカップルもまた犠牲者となってしまう。自分の家以外でも同様の事件が起きていることを知ったフランクは、怪物「ハウス・シャーク」の駆除専門家という人物を探し出す。犠牲者は数を増していく中、ハウス・シャークとフランクたちとの奇想天外な戦いが幕を開ける!(curiouscope.co.jpより引用)
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「ハウスシャーク」というタイトルだけでもうお分かりの通り、低予算のB級サメ映画です。この手の作品から得るものなんて何もないと分かっているのについ見てしまうのはなぜなんでしょうか。
おバカ映画からしか摂取できない何かがあるのかもしれません。
『壁をすり抜ける怪物•ハウスシャークの出現により多くの尊い命が失われる。そんな怪物から自宅を取り戻すべく元警官のフランクは専門家のザカリー、飲んだくれのエイブラハムと協力し、壮絶な戦いを繰り広げる』
という如何にもなテイストの上、不要にも程がある会話の数々、無駄に濃い脇役、突拍子もなく現れるモブ、支離滅裂でカオスな展開等のせいで、本来であれば70〜80分ほどで済む内容を110分にまで引き伸ばしています。
そのあまりにも不条理でくだらない内容自体は週刊少年ジャンプで連載されていた「ボボボーボ・ボーボボ」のようなカオスっぷりで個人的には相当面白かったですし、良い意味でバカらしくてめちゃくちゃ好きでした。
ですが流石に110分はキツいです。これが80分(せめて90分以内)に収まっていたらもっともっと高評価だったかもしれません。あとびっくりするくらい直接的な下ネタが多く、ロン•ボンク監督の趣味なのか特に肛門ネタが頻出します。このあたりが苦手な人は無理かもしれません。
面白いのは面白いんですけど先述したように長いですし体力を持っていかれるので一気に見ずに3回とか4回に分けて、1.5倍速とかで視聴するのが良いかもしれません。
あと、余談ですが今作はクラウドファンディングを募ったそうで、目標金額がいくらだったのかは定かではありませんが、最終的にはその目標額の1150%越えの資金が集まったそうです。
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◇失業中の元警官のフランクは離婚をして、現在は息子のテオと二人暮らし。そんなフランクが再婚相手を見つけるべくマッチングアプリで知り合った性豪の女性とデートをしていた日の夜、テオはシッターのベッツィと自宅で二人きり。夜も更けた頃、尿意を催したベッツィは全裸になって便座に腰を下ろす。すると何かが便器の中から忍び寄り、ベッツィに襲いかかる。帰宅早々ベッツィの悲鳴を聞き付けたフランクが慌ててトイレに向かうと、血まみれのベッツィがトイレに吸い込まれていき、便器からはサメのヒレのようなものが見えた。家の中にサメの怪物がいると主張するフランクはその日以降、自宅の庭でテオとキャンプ生活を送っていた。
という、いわゆる導入のシーンだけで10分近く使っている時点で嫌な予感がしました。マッチングアプリの性豪女性はそれ以降登場しませんし、帰宅したフランクの口元に大量の陰毛が付いているみたいなくだりも絶対にいらないです。『オレが留守の間にそんなことが…』みたいな感じで2〜3分でまとめられるであろう内容をなぜこんなにも広げるのでしょうか。
こんな調子で最初から最後まで無駄なシーンややり取りのオンパレードでテンポは壊滅的です。110分ですが、それ以上に長く感じると思います。しかし、その意味の無いやり取りやギャグパートのような部分がくだらなくて面白いので、これが無いとそれはそれで物足りないと感じてしまうと思います。
流れ的には
◇貧乏なテント生活を送るフランクは勝手に自宅を売りに出されたりと不運続き。しかし内見に来た若いカップルや調査に乗り出した住宅診断士が次々と怪物に襲われたことで、フランクはハウスシャーク専門家のザカリーにコンタクトを取る。テオを元嫁に預けたフランクはザカリー、そして飲み屋で無理矢理仲間に入ってきたアル中のエイブラハムと協力してハウスシャークと壮絶な死闘を繰り広げる
という流れになります。これだけの話なのになぜあんなにも長いんでしょうか。全く持って不思議です。
個人的にハマった不条理カオスな展開をいくつかご紹介すると
•いきなり出てきて「ハウスシャークよ!」と叫んで気絶するモブキャラや、不動産屋の社長が調査を依頼した住宅診断士がスター・ウォーズに出てきそうな黒ずくめの自称先住民でフォースを扱えるにも関わらずハウスシャークに秒殺されたり、壮絶な死闘を繰り広げている最中に急に現れてすぐに食べられる謎のおじさんが登場する
•フランクの自宅を内見中にハウスシャークに襲われた若いカップルの養子になるはずだった少女が仲間を引き連れて、「私はあのカップルに引き取られるはずだったのよ!あんたのせいで施設に逆戻りだわ!」とフランクに文句を言いながら袋叩きにするという絶対に無くていいシーン
•ハウスシャークを見たザカリーが「あれはトイレ•グリズリーかシンク•ピラニア、カウチ•ワニかも」と無駄に世界観を広げるようなセリフ
•ぽっと出のアル中おじさん•エイブラハムの中身空っぽの絶対に必要ない自分語り
•ハウスシャークを倒すにはプルトニウムで被曝させる以外に方法はないと言われているのに、なぜかカマリキ拳が有効だと言い張るエイブラハム。そして案の定食べられてしまう。
•浸水した地下室に潜るシーンは『口を膨らませて息を止めながらスローモーションで動く』という、水がある体の芝居をして、後から水や魚影のCGを足すという「揃いも揃って大の大人が何やってんだ!」と言いたくなるような手の抜きっぷり
•ハウスシャークから身を隠すために、四つん這いになって背中に物を乗せて机のフリをしたり、腕に本を乗せて本棚のフリをするおバカなシーン
このあたりは相当突き抜けていて良かったです!めちゃくちゃ笑いました。
「ボボボーボ・ボーボボ」のような意味不明な不条理ギャグ漫画のギャグって全部が全部ハマるわけじゃないんですけど、その中でなぜか異常なまでにツボに入って笑い狂うレベルのくだりがあったりして、気づけばやみつきになっているんですけども、それに近い感覚かもしれません。
そして!
サメのクオリティは言わずもがなで、実は専門家のザカリーがこのサメの生みの親であることが後半で明らかになります。
『彼が過去に米軍から盗み出した特殊なプルトニウムは、被曝した生物の知性が高まるというとんでもない代物だった。ある日の実験中のミスで致死量の被爆をした彼のペットのサメはとてつもない能力を手に入れ、今日に至るまで姿を消していた。』
というもので、壁や床をすり抜けて移動するほか、大きさを変えたり、二足歩行で歩いたり、レーザー銃を扱ったり、再生能力があったりと、ザカリーの予想以上に進化を遂げていたため、もはや生け捕りはおろか、倒すことすら不可能に近い状況でした。
最終的には「もう一度被曝させれば連鎖的に爆発が起きて再生不能になるかも」というザカリーの言葉を信じ、フランクがプルトニウムをサメに注入し、アル中で体中にアルコールが染み渡っているから引火しやすいだろうという雑な理由でエイブラハムごと爆破させて木っ端微塵にして倒すことができました。
辺り一帯焼け野原のようになり、なぜか首だけなのに元気なエイブラハムと、そんな彼のバラバラになった体を集めているフランクが仲良く会話を交わしながら物語は幕を閉じます。
エンディング後には続編を匂わせるようなシーンが差し込まれますが、110分見させられた後なので「匂わせんな!続編なんかあって堪るか!」と思わずイラッとしてしまいました笑
最後の最後まで愛おしかったです。
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