縦横無尽に襲いかかるサメ竜巻と自然の脅威!でもこの作品、サメは一番の被害者なんじゃなかろうか…「シャークネード」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(687日目)
「シャークネード」(2013)
アンソニー•C•フェランテ監督
◆あらすじ
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太陽が照りつけるカリフォルニアのビーチは、いつもの賑わいを見せていた。一方、史上稀にみるハリケーン“デビッド”がメキシコ沖から急速北上。急激な海流の変化で、突如としてサメの大群がビーチに現れる。サーファーのフィンは、サメの出現にいち早く気付き人々を避難させるが、荒波と共に迫って来るサメの猛威は凄まじく、ビーチは地獄絵図と化す。だが、その恐怖はまだ始まりに過ぎなかった。大量のサメを巻き込んだ3本の巨大竜巻が発生。ロスの都市部にもサメの脅威が襲い掛かる。ビーチから何とか逃げ出したフィンは、ロスに住む妻子の元へと向かうが…。(albatros-film.comより引用)
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私の大好きなB級サメ映画です!見るの久しぶりだったので心が躍りました。ちなみに、これまで私が見てきたB級サメ映画のサメは
突然変異や
生物兵器
さらには神出鬼没の霊や
人形
等など、色々なパターンを見てきました。
しかし!
今作にはごく普通のサメしか登場しません。それだけを聞くと資料映像と雑なCGのサメしか登場しない某作品を思い出すところではありますが、今作はその普通のサメに自然災害という“人間の力ではどうすることもできない脅威”を足すことで作品に厚みが増しています。
さらに凄いのが、タイトルからもうお分かりの通り、巨大な竜巻に巻き込まれたサメの群れが空から次々と降ってきて人々を襲います。陸地では洪水の影響でサメが我が物顔でウジャウジャと群れをなし、竜巻の影響で屋内に避難しても家屋は破壊され、更には空からサメも降ってくるという『竜巻+洪水+サメ』のトリプルコンボによってカリフォルニアやロサンゼルスは一瞬で血の海と化します。
ちなみにサメは海で穏やかに暮らしていただけの普通のサメです。なもんで『竜巻の影響によって海流が変化したせいでカリフォルニア沖に行き着き、さらには竜巻に飲み込まれて陸地に落下する』という、サメからしたら溜まったもんじゃない状況です。さらに地上からは人間から狙い撃ちされたりと完全に獣害扱いされてしまいますが、サメからしたら知ったこっちゃないでしょう。この作品の一番の被害者(鮫)はサメなのかもしれません。もちろんそのサメによって人々も襲われまくっているのでなんとも言えませんが…
正直なことを言うと、本編に登場するサメや破壊される町や車のCGはお世辞にもクオリティが高いものではありません。せいぜいPS2のムービーと同等かそれ以下です。10年以上前の作品なうえ、200万ドルという超低予算で作られたので仕方がなといえば仕方がないのかもしれませんが、映像のクオリティを求めている人からしたら開始数分で見るのを辞めてしまう可能性もあります。
しかし!
そこをなんとか堪えてもう少しだけ見てください!
ストーリー自体は相当面白いんです!『竜巻に乗ってサメが空から降ってくる』という設定もB級サメ映画としてはこれ以上ないくらいに魅力的ですし、キャストもそこまで派手さはないものの非常に味があってとても良いです。竜巻の影響で転がってきた巨大観覧車が人を潰したりビルに衝突する絵は迫力満点ですし、先述した通り演出や構成も文句無しです。
ただ映像だけがちょっと“アレ”なだけなんです。
なもんで最初はサメのチープなCGにあれっ?となるんですけども、そこを堪えて10〜15分くらい見進めていくと不思議なもので「面白いからまぁいいか」となっていきます。その証拠に今作はそのぶっ飛んだ設定がウケて、その後は計5作の続編が作られるなどサメ映画の中でも一つのブランドを築き上げております。
そんな今作の監督を務めたアンソニー•C•フェランテ氏は全シリーズで監督を務めており、その他にも良い感じのB級ホラーをいくつも手掛けております。
その中でも「ゾンビ津波」(’19)はこの企画でも視聴させていただきましたが相当面白かったです。こちらに関しても確かに映像的には低予算を感じるところがあるんですけども、『おびただしい量のゾンビが巨大な津波に乗ってやってくる』というこれまたバカ過ぎる設定や、派手なアクションシーンの数々は一見の価値ありだと思います。
おそらくフェランテ監督は『予算を削れるところは削る、掛けるところには掛ける』という風に低予算の中でのやりくりが相当得意なクリエイターだと思われます。今後も良作B級ホラー映画を生み出してくれそうなので要チェックです!
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『どこにも逃げ場がなく人々がパニックに陥る中、主人公のバーのマスター兼ライフガードのフィンが家族や友人を守るために奮闘する』
という大筋がある中で、テレビの生中継やラジオが逐一被害状況を伝えたり、それを見たり聞いたりしている人々の絵を入れることで、“今のこの状況がどれくらいヤバいのか”や“規模の大きさ”みたいなものをより明確化しているというのが中々に効果的な演出や構成だなと思いました。
主人公のフィンは正義感が強く、困っている人や助けを求めている人を見過ごせない性格で、それ故に家族と衝突してしまったり、ロープ1本で橋の上からスクールバスに取り残された子供たちを全員救出したりとThe主人公という感じでかなり好印象でした。
それ以外のキャラは薄味なわけではないものの、人数が多いのでもう少し押さえても良かったような気もしますが、全員が全員作中で上手く機能しているためこれはこれで正解なんだと思います。バーの常連客のおじさんがやたら存在感があるなと思ったらそれもそのはず、ホーム・アローンの主人公ケビンの父•ピーター役でお馴染みのジョン・ハード氏でした。
ホーム・アローンのイメージを払拭したいという思いと、『空からサメが降ってくる』という設定に惹かれて出演を決めたそうで、今作のことも相当気に入っており次回作への出演にも意欲的でした。しかし作中でサメに食べられてしまったため、以降のシリーズへの出演は叶いませんでした。
物語終盤では『ヘリコプターに乗って上空から巨大竜巻に爆弾を落として消滅させる』という王道ながらロマン溢れるクライマックスへと繋がっていきます。この作戦の準備中のシーンではフィンに思いを寄せている従業員ノヴァが自身の過去を打ち明けたり、フィンが家族との関係性を見つめ直したりするんですけども、これはなんだか取ってつけたようなやり取りのようで正直なところ蛇足にも思いました。
その後、ヘリコプターに乗るのがなぜかマット(フィンの息子)とノヴァというのもよくわからない組み合わせでした。ここはストレートにフィンとマットで良かったんじゃないでしょうか。
順調に3つの竜巻のうち2つを消滅させたものの、最後の一つに向かう途中で飛来してきたホホジロザメにノヴァが食べられてしまい万事休す。しかしフィンが爆弾を積んだ車を竜巻に突撃させて見事に消滅させるというくだりも中々に盛り上がる展開で良かったです。
『竜巻が全て消滅し、ようやく事態が収束したかと思いきや、空から巨大なサメがフィンの娘•クラウディアを急襲。フィンはクラウディアを庇ってチェーンソー片手にサメに突撃し、丸呑みにされてしまう。しかし次の瞬間、チェーンソーでサメの腹を裂いて中からフィンが顔を出し、さらには偶然だがノヴァを丸呑みにしたのと同じサメだったため、ギリギリ生きていたノヴァを助けだす』
という、そんなわけないだろ!と思わずツッコみたくなるような奇跡が幾重にも重なったトンチキなラストシーンは一周回って面白いです。なんだったらここだけでも見て欲しいです。めちゃくちゃ面白いので!
陽気に「シャーク!」を連発するバカなエンディング含め、個人的には相当楽しめるサメ映画でした。このシリーズは今後も追っていきたいと思います。オススメです!
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