非の打ち所がない面白さ!激キモ寄生生物の魔の手が忍び寄る学園青春SFホラー「パラサイト」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(672日目)
「パラサイト」(1998)
ロバート•ロドリゲス監督
◆あらすじ
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オハイオ州ハリントン高校。アメリカのどこの都市にでもあるような平凡な高校で、いじめられっ子のケイシーは、グラウンドで奇妙な生物を見つける。ケイシーはそれを生物の先生の元に持って行き、水槽の中に入れてみると、その生物は生き返ったように動き出す。一方、チアリーダーのデライラは、教師たちの様子がおかしいことに気づく。
(パラサイト(1998年の映画)Wikipediaより引用)
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『謎の寄生生物の出現により学校は徐々に支配されていく!この異変に気づいたいじめられっ子のケイシーは同級生たちと協力し、町を救うべく立ち上がる』
という、なんとも胸が躍る内容の王道SFホラーで、本当に文句の付けようがないくらいに面白かったです!
学生側には当時の勢いのある若手俳優をキャスティングし、寄生生物に乗っ取られる教師陣には実力のあるベテラン俳優を起用しているため、映像作品として非常にバランスが取れていて見やすいですし、舞台を学園にしているため、恋愛や青春などの要素をうまいこと入れており、ティーンズ映画として見ても相当レベルが高いと思います。
登場人物一人ひとりのキャラやそれぞれの関係性、パワーバランスなどの描き方に非常にセンスを感じました。これは相当手練れの脚本家の方が担当しているのではと思いましたが、それもそのはず、本作の脚本を努めているのは「スクリーム」(’96)や「ラストサマー」(’97)など数々の名作ティーンズホラーを生み出しているケヴィン・ウィリアムソン氏でした。
そして、監督には「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(’96)や「スパイキッズ」シリーズ等、アクション映画を得意とするロバート•ロドリゲス氏が起用されています。
『名作映画はBGMも一級品』と私は常々思っておりますが、今作もその例に漏れず揃いも揃って曲が良いです。
ロックミュージックで始まる躍動感溢れるオープニングから、ピアノなどを用いたオーケストラ調の緊張感を煽る静かなBGM、その後のポップな雰囲気から自然に転調していく心地良さなど、耳で楽しむことも出来る作品なので音楽好きの方にもオススメしたいところです。
ちなみに本作で音楽を担当されたのはイタリア出身のマルコ・ベルトラミ氏で、映画音楽を主に手掛けている作曲家の方です。
ざっと見ただけでも「スクリーム」シリーズ、「バイオハザード」(’02)、「人生の特等席」(’12)、「ベン・ハー」(’16)等など、ありとあらゆるジャンルの名作映画に携わっており、どうりで良いはずだわと妙に納得してしまいました。やっぱり音楽の力ってすごいですね。
現在U-NEXTで配信中のほか、アマゾンプライムにて10月末まで99円でレンタルが可能です。
大筋自体は非常にシンプルなもので
『とある高校で一人また一人と教師たちの様子がおかしくなる。偶然拾った謎の生物と何か関係しているのではと思ったいじめられっ子のケイシーは同級生たちに協力を仰ぐ。しかしその頃には教師はおろか、ほとんどの生徒が恐ろしい寄生生物によって支配されていた』
といった感じで、そこまで目新しい展開や要素があるわけではありません。しかし、このメインとなるホラー部分のプロットがシンプルだからこそ、余白の部分で学園モノとして青春や恋愛の要素を入れることができているんだと思います。しかもその両者が絶妙なバランスでマッチしているのが本当に凄いです。
寄生されても見た目が変わらないので、自然と『誰が寄生されているか分からない』という状況になるところに脚本の妙を感じました。“誰に相談していいのか分からない”というもどかしさもあり、『お互いを疑ってしまう』という展開は「スクリーム」や「ラストサマー」にも通ずるものがありました。
かと言って「同じ展開じゃん」、「前にも見たよ」とはならないのが不思議ですよね。
寄生生物の設定は王道ではあるものの、かなり練ってあってとても良かったです。
基本的には手のひらサイズのミジンコのような見た目の水生生物で、水がないと生存できません。元々住んでいた星の水分が枯渇したため地球にやって来ており、生物に寄生すると身体を乗っ取って、体内の水分を吸収して成長します。複製が可能で、人間に寄生した後は複製した小型のものを他の人間に寄生させたりして数を増やします。
寄生された人間は数を増やすためにまだ寄生されていない人間に襲いかかります。その寄生された人間の切り離された部位(指や首)などもそれぞれが独立した個体となって襲ってくるため、対抗策としては脱水や利尿作用のある薬やジークお手製の薬物を摂取させることが挙げられます。
見分け方としては急に性格が変わったり、そういった薬や薬物を拒絶したり、常に水を欲しているということくらいで見た目は人間のままなので判別は困難です。そのためケイシーたちもお互いに「突然部活を辞めたのは怪しい」、「留年した不良のくせに頭がいいのはおかしい」、「メアリーベスが転校した途端に事件が起きたのはタイミング良すぎる」など疑心暗鬼の状況に陥ってしまいます。
どこかに潜む本体(人間のフリをしてる)を倒せば複製したものも全て死滅するため、とにかく本体を見つけ出すということが大事になってきます。
職員室に常備されている水の量が異常なまでに増えたり、生徒たちがウォータークーラーに長蛇の列を成すなど、寄生された人間が爆増していることをセリフや説明無しで表現しているところが素晴らしかったです。
登場人物も一人ひとりが非常に個性的で魅力が溢れています。
主人公のケイシーはいかにもないじめられっ子でとにかく頼りになりません。ピンチの状況に置かれても、クラスのマドンナであるデライラの髪の毛の匂いをさりげなく嗅いだり、好意を抱いていたストークリーがスタンとキスをしているのを見て凹んだりと童貞少年丸出しでもはや愛おしさすら感じます。ですが、このパラサイト騒動を経て大きく成長し、最後は寄生生物のボスをたった一人で倒します。エンディングでは町のヒーローになり、さらにはデライラと交際するにまで至っており、これぞ“THE主人公”という感じに大活躍します。
不良少年のジークは裏ビデオやオリジナルレシピで配合したクスリを同級生に販売するなど、とにかく教師陣から疎まれている厄介者です。しかし、クスリを作製するための秘密基地にケイシーたちを匿った際には、顕微鏡や動物(マウス)実験で寄生生物を分析する頭脳明晰っぷりを見せつけたり、不意のメガネ姿を披露するなどギャップがカッコいいです。たぶんですけど女子人気エグいと思います。しかもエンディングでは自分のことを気にかけていたエリザベス先生と良い仲になります。
ヒロインのデライラはルックスが抜群なのは一目瞭然なんですけども、性格がめちゃくちゃ悪いです。当初スタンと交際していたのも彼がフットボールチームのエースだったからで、彼がチームを辞めると用済みとばかりに一方的に別れを告げます。孤立しているストークリーをレズビアンと吹聴したり、彼女が寄生生物に対する独自の見解を述べる度に水を差します。途中で改心するわけでもなく、ナチュラルにそういう人間です。エンディングではケイシーと付き合っていますが、あの性格ですから彼が町のヒーローになったから言い寄ったのではと勘繰ってしまいます。なんですけどもどこか憎めないし、嫌いになれないキャラです。
そんなメインの若手俳優たちを売り出したい感じがビンビンに出ている今作ですが、その内の数名は現在でも第一線でしっかりと活躍しております。
まず、主人公のケイシーを演じたイライジャ・ウッド氏は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの主人公フロド役でお馴染みの売れっ子俳優です。
メインの7人の中では極端に出番が少なかったゲイヴ役のアッシャー・レイモンド氏はアメリカでは抜群の知名度を誇る人気R&Bアーティストとなり、音楽業界で花を咲かせています。
その他、デライラ役のジョーダナ・ブリュースター氏、ストークリー役のクレア•デュヴァル氏、ジーク役のジョシュ•ハートネット氏も数々の映画で渋い活躍を見せています。
本当にこれは面白かったです!今ならアマゾンプライムで99円で見られますし、そこまでグロいシーンもないのでホラーが苦手な方でも全然大丈夫だと想います。オススメです!
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