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ハリウッドでもリメイクされたタイ発のジメジメ胸糞ホラー!因果応報とはまさにこのこと…「心霊写真」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(732日目)

「心霊写真」(2004)
パークプム•ウォンプム監督
バンジョン•ピサンタナクーン監督

◆あらすじ
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カメラマンのタンは恋人のジェーンと、大学時代の友人の結婚式に出席し、楽しい一夜を過ごす。その帰り道、二人が乗る車の前に、突然女が飛び出してきた。ジェーンのブレーキは間に合わず、女をはねてしまう。駆け寄ろうとするジェーンをタンは引き止め、そのまま現場から逃げ去る道を選ぶ。数日後、タンが現像した写真に女の顔のようなものが浮かび上がった。心霊写真だと騒ぐジェーンをなだめるが、それ以降、2人の周囲で次々と不可解な出来事が起こり始める…(Filmarksより引用)
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『轢き逃げ事故を起こしてからというもの様々な怪奇現象に悩まされる若いカップル。彼らが被害者について調べていくと恐ろしい事実が明らかになっていく…』という王道の鬱々ジメジメの胸糞ホラーです。

特に目新しい要素があるわけではないんですけども、良い意味で何度も我々の予想を裏切る方向にストーリーが展開していくので中々予想がつかないですし、中盤以降はかなり胸糞な展開が続くため、因果応報で悪いやつには全員もれなく天罰が下るという終わり方はある意味スッキリするので非常に好みでした。

じわじわと怖がらせてくれます。(https://moviewalker.jp/mv35569/より引用)

タイの作品なんですけども、演出や怖がらせ方等がどことなく日本のホラー映画に近いような気がしました。『心霊現象に見舞われた主人公がその原因を究明していき、やがて恐ろしい真相に辿り着く』というのは「リング」(’98)や「呪怨」(’03)などのレジェンド•オブ•ジャパニーズホラーに通ずるものがありますし、どこか淀んだ色合いといいますか、言葉では言い表せないジメっとした雰囲気は日本のホラー通にもハマると思います。

2004年にタイで公開されると瞬く間に話題となり、その年の年間興行収入で1位を獲得するほどのスマッシュヒットを記録しました。その後、各国で順次公開が決まり、日本でも2006年に公開されました。

新宿シネマミラノは歌舞伎町タワーのある場所で2014年末まで営業していました。あと、本編に登場した心霊写真は全て本物だそうです。(https://natalie.mu/eiga/film/145166より引用)

“心霊写真”という万国共通の怖いものがテーマになっていますし、ストーリーも非常に分かりやすいのでどこの国でもハマる気がします。

全然余談ですけど、私が小学生の頃は夏になると「奇跡体験アンビリバボー」等で頻繁に心霊写真特集をやっていましたが、ヤラセだと言われたり、「ゴールデンの時間帯にそんな怖いもん見せんな」等の苦情が入ることから今ではめっきり見なくなりましたね。あれ大好きだったんで定期的にやって欲しいんですけど駄目なんでしょうか。

別にヤラセでも面白かったら良いような気がするんですよ。こっちもこっちで「これは偽物だろ!」とか「これは本物っぽい!」とか言いながら見るのが楽しいわけですし、一つのエンタメとして続いて欲しかったです。

そして、今作の監督•脚本を務めたパークプム•ウォンプム氏とバンジョン•ピサンタナクーン氏についてなんですけども、まずパークプム氏は今作以降も数本のホラー映画を手掛け、2019年には森絵都先生の小説「カラフル」を原作とした「ホームステイ ボクと僕の100日間」を発表しています。

↑こちらの作品もアマゾンプライムやU-NEXTで見られるようです。

そしてバンジョン氏も数本のホラー映画を手掛けた後、コメディやラブストーリーを経て、2021年にはモキュメンタリーテイストの民間伝承鬱々ホラー「女神の継承」を手掛けております。この作品はもう本当にえげつないのでホラー好きの方でまだ見ていない方には是非とも見ていただきたいです。

こちらは現在アマゾンプライムとhuluにて視聴可能です。

少し話は逸れるんですが、今作は2008年に「シャッター」というタイトルでハリウッドリメイクされており、私もこの企画の大分初期の頃に見ていました。なもんで今作を視聴している際にやたら既視感があり、後半の展開もほぼほぼ同じなのでどういうことだ?となりましたがそりゃそうですよね。リメイクなんですから。

個人的にはオリジナルの今作の方が構成がスッキリしているので好みですが、リメイク版は奥菜恵さんや宮崎美子さんも出演しており、非常に良いリメイク作となっております。よかったらどちらも視聴して見比べてみてください。

今作「心霊写真」は現在アマゾンプライム、huluにて配信中で、リメイク版の「シャッター」は現在U-NEXTでのみ配信中です。

「知ってる?あれが写ったら死ぬらしいよ」のフォントがガラケーっぽくて懐かしいですね。
(https://natalie.mu/eiga/film/145166より引用)

◇女子大生のジェーンはカメラマンの恋人•タンと一緒に彼の友人の結婚式に出席した。楽しいひと時を過ごした2人はジェーンの運転で帰路につくも、道中で余所見が原因で女性を撥ねてしまう。パニックになるジェーンに対してタンは救助せずに逃げろと指示し、気が動転していたジェーンも言われるがまま車を走らせて逃走してしまう。

それからというもの、タンの撮影した写真に白い影や人の顔が写り込んだり、ジェーンも女性の霊を目撃したりと心霊現象に苛まれる。気になった2人は色々と調査するも、警察や病院に轢き逃げや負傷者の記録は存在しなかった。さらにはタンの友人たちが立て続けに建物から飛び降りて死亡する。あの轢き逃げしたと思っていた女性はタンが学生時代に交際していたネートではないかと睨んだ2人は彼女の実家を訪ねるも、彼女は数年前に飛び降り自殺をしており、この世にはいなかった…

というのが序盤から中盤までの細かめのあらすじです。

主人公のカメラマン•タン(映画.comより引用)

今作はタイトルからも分かる通り、“写真”が非常に重要なアイテムとなってきます。人の顔が写ってる!怖い!とかではなく、『心霊写真はその写真に写っている誰かと関係がある。親類や友人恋人、またはその人に恨みを持つ者かもしれない』というのが作中で語られており、このセリフが最後の最後まで効いてきます。

あと中盤に登場するネートの母親がべらぼうに怖いです。一見普通だけど常軌を逸した行動や発言が多く見られ、常に何をするか分からない感じに恐怖を感じました。この役者さん凄いです。個人的にはここのシーンが一番好きでした。

※ここからめちゃくちゃネタバレします。ショッキングな内容も含まれますのでお気をつけください。

どこに霊がいるか探してみましょう。(映画.comより引用)

実はタンは学生時代に周囲から孤立していたネートを「こいつなら簡単に付き合えそうだ」という最低の理由でさも彼女に好意があるかのように近づき、交際に至りました。ネートはそんなタンの思惑には微塵も気づくことはなく、本気で彼のことを愛してしまいます。ですが遊び半分で彼女に手を出したタンに好意などありませんから、自然と友人たちとの予定を優先してネートを蔑ろにして、そのまま自然に別れる流れにもっていこうとします。

しかし、タンと別れたくないネートは自傷行為や自殺未遂を繰り返し、いよいよタンも不用意に手を出したことを後悔します。それを聞いたタンの友人たちは二人を別れさせるために、あろうことか複数人で彼女に性的暴行を加え、さらにはその現場を目撃したタンに写真を撮らせ、口止めをしたうえで強引に別れさせたのです。

そして精神を病んだネートは自宅に引きこもり、最終的には病院から飛び降りて命を絶ちました。

もちろんこの事実を全て隠したうえでタンはジェーンと交際しており、ネートはどうにかしてジェーンにこの事実を伝えるために写真に写り込み、自分が暴行を加えられてる証拠写真の在り処をジェーンに伝えます。

ジェーンは完全にとばっちりです。(映画.comより引用)

事実を知ったジェーンはタンと別れ、タンも過去の過ちを悔やみ供養します。しかし、ネートはずっとタンに取り憑き続けます。轢き逃げ事故以来彼が訴えていた首の痛みは、あの時からずっとネートがおぶさっていたからだったわけです。

『絶望し、部屋から身を投げたタンは一命を取り留めるも精神に異常をきたし廃人となって、精神病院に入る。そしてそんな彼にはまだネートがしがみついていた…』

という終わり方もキマってました。すごい胸糞なんですけどネートによって命を落としたのは全員もれなくクズですし、タンにもそれ相応の罰が下っています。しかし、おそらくネートは今でもタンのことを愛しているんだと思います。

“死者は愛する人に会いたがる”と言われており、あんな酷い目に遭ってもなお彼女はタンに会いたかったんでしょう。怒りや恨みではなく、寂しさによって彼女は霊となって現れたのかもしれません。

これはちょっとメンタルにくる描写もあり、誰彼かまわずオススメするのはあれかもですがすごく良い作品でした。ホラー映画として十分に楽しめると思います。

あと、余談ですがエンディングがわりと爽やかなので一見本編の内容にそぐわないようにも感じるんですけど、歌詞がめちゃくちゃ怖いです。本編を見た直後ということもあり、全歌詞がそう聞こえてしまうのでめちゃくちゃ後味悪くなります。なもんでもしお時間に余裕があったらエンディングまで見てみてください。オススメです。

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渋谷裕輝 公式HP↓


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