トウモロコシ神、いよいよ都会へ!廃工場裏で収穫されたもろこしが美味いのなんの!「チルドレン•オブ•ザ•コーン3/都会の収穫」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(645日目)
「チルドレン•オブ•ザ•コーン3/都会の収穫」(1994)
ジェームズ•ヒコックス監督
◆あらすじ
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田舎町のガトリンにある広大なトウモロコシ畑の主である父を惨殺したイーライ。彼は何も知らない兄ジョシュアとともに、シカゴの里親のもとに引き取られる。ジョシュアは次第に周囲と打ち解けていくが、イーライはただひとり、トウモロコシ畑を作り始める。そして、そこに棲む何ものかに操られるように、いつしか周囲の子どもたちにとって教祖のような存在になっていく。
(映画.comより引用)
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公式サイト↓
「トウモロコシ畑の神が舞い降りた少年が今度はいよいよ都会に進出!シカゴの片隅で畑を作り始め、ぞくぞくと信者を増やし、ある目的を遂行しようと画策する」
という、B級映画好きには堪らない如何にもな内容で、タイトルからお分かりのとおり大人気カルトホラー映画「チルドレン•オブ•ザ•コーン」シリーズの第3弾です。
1作目↓
2作目↓
原作はホラーの帝王スティーヴン・キング氏の短編小説「トウモロコシ畑の子どもたち」ですが、映画化に際して原作を大きく変えられたうえ、手掛けた脚本もリライトされまくりでキング氏は激おこなようで、一応原作としてクレジットはされているものの、この映画には否定的なスタンスを取り続けています。
日本では「スティーヴン・キング/アーバン•ハーベスト」として公開されており、今回の1〜3作劇場公開化に際して「チルドレン•オブ•ザ•コーン3/都会の収穫」と改題されました。
余談ですがあのシャーリーズ・セロン氏が信者の一人として出演しています。映画初出演で、セリフもクレジットもなく、その他大勢のような立ち位置ですがビジュアルが群を抜いているのですぐに気づくと思います。
監督を務めたジェームズ•ヒコックス氏は今作が初監督作品で、彼の実兄であり「ヘル•レイザー3」(’92)や「沈黙の追撃」(’05)等の監督も務めていたアンソニー氏が製作総指揮を担当しています。また、クライマックスに登場するクリーチャーの特殊効果を担当したのは「ゴースト•ハンターズ」(’86)や「プレデター」(’87)にも参加している日本人エフェクトアーティストのスクリーミング・マッド・ジョージ氏です。
上映中または上映予定の劇場に関してはこちらの公式サイトからご確認ください!
◇田舎町ガトリンでトウモロコシの改良に勤しんでいた飲んだくれの暴力親父を殺害したイーライは、そうとは知らない兄•ジョシュアと共に、里親であるアマンダとウィリアムのポーター夫妻が住むシカゴへと身を移す。隣家に住むマルコムやマリアと打ち解けるジョシュアとは対照的に、イーライは誰とも関わらずに廃工場裏に秘密のトウモロコシ畑を作り始める。その畑で採れたトウモロコシは非常に美味しく、貿易会社で働くウィリアムはこのトウモロコシに目をつけ、さっそく海外へ輸出をしようと交渉を始める。しかし、トウモロコシが育っていくにつれて周囲の子どもたちはイーライの信者となり、彼の真の目的が明らかになっていく…
という展開になっております。
1〜2作目は『教祖となった少年が子供たちを率いて大人を次々と殺害する』という突飛な設定ながら、“片田舎で巻き起る大人狩り”や“言われるがままに凶行に及ぶ子どもたち”といった恐怖ポイントと上手いことマッチしており非常に面白かったです。また田舎町ゆえに『近隣の町や人々にまで情報が届かず、助けが来ない』という閉鎖性があるため、“どこにも逃げ場がない”という絶望感や“誰も信じられない”という不安感があり、ホラー映画的にも非常にクオリティが高かったです。
そして今作は『教祖となった少年が父親を殺害し、兄と共にシカゴに住む里親に引き取られる』というところから物語が始まります。
正直なところ1〜2作とも展開がほとんど同じかつ、絵的にも広い畑や田舎町ばかりで少々飽きが来ていたため、大都会シカゴに舞台を移すというのは個人的にはかなり良い試みだなと思いました。
さらに今作では教祖となる少年イーライと兄のジョシュアが主人公ポジションであるため、被害者側の視点で進行する前作までとはまた違う見方ができるため新鮮でした。基本的には弟の変容っぷりに戸惑うジョシュアの視点で進行し、要所要所でイーライによって里親であるポーター夫妻や隣家のマルコムとマリアの両親などが殺害される展開が入ります。
殺戮描写はどれも出色の出来で、首が吹き飛んだり、顔が縦に割れたり、身体の内側から燃えたりと映像映えするものが多くてとても良かったです。口から大量のゴキブリが飛び出したり、目や口が縫われるのも非常に好みでした。
映画的には今作も十分面白かったんですけど、前作までと比べるとイーライ以外の子どもたちがほとんど何もしていないのが気になりました。物語の中盤くらいから子どもたちを率いて行くんですけども、前作のように『教祖の指示のもと、子どもたちが町の大人たちを次々と殺す』というお決まりの展開が一度もなく、ほとんど全員後ろで突っ立っているだけです。
そもそもイーライの目的も大人狩りではなく、『都会で育てたトウモロコシを世界中に輸出して、トウモロコシの呪いを広める』というもので、周囲の大人を殺す理由がほとんどありません。なもんで作中で命を落とす人数も前作までと比べるとかなり少なく、ストーリー自体が一本道過ぎるようにも感じました。
イーライが廃工場の裏に作った秘密のトウモロコシ畑も広さはそこまででもなく、そんな狭苦しいところでクライマックスのイーライとジョシュアの壮絶な死闘シーンを描いてしまうのも勿体ないように思いました。
イーライに関する設定も『いつトウモロコシ畑の力を手に入れたのか』や『ジョシュアが生まれるよりもはるか昔から存在していた』といった部分が回収されないままでした。そこまで気にはならないんですけども、イーライのキャラ設定だけまとまりがなく、『元々養子として引き取られたためジョシュアと血縁関係にない』や『トウモロコシ畑の呪いを世界中に広めたい』や『聖書とイーライ本体を同時に仕留めないと倒せない』等など、行き当たりばったりで作っているというか、処理が雑だなと思いました。
子どもたちによる凶行も無いですし、終盤まではホラーらしいホラーシーンが少なく、製作陣も流石にマズいと思ったのか最後の最後に唐突なクリーチャーを出現させます。
一応、ジョシュアに倒されたイーライがトウモロコシ畑の呪いで変身した最終形態なのでラスボスには相応しいんですけど、あまりにも唐突すぎて『クジャを倒してエンディングかと思ったら、ペプシマンみたいな謎のラスボスが登場する』というファイナルファンタジーⅨ唯一のがっかりポイントを思い出しました。
個人的になんですけど、前作までは助けが来ない田舎町が舞台だったので“大人がいない”という状況が無茶苦茶怖かったです。ですが今作は思いっきり都会なうえにほとんど死人も出ず、大人も周りにたくさんいるのでイマイチ子どもたちの恐怖を感じず、“大都会の小さいトウモロコシ畑”というのはやっぱりスケール的にも規模が小さいように感じました。
気になるところも多々ありましたが、映画としては普通に面白かったです。なんなら前作よりも私は楽しめました。劇場公開は期間限定ですので気になる方はお見逃しなく!!
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓