愛すべきお馬鹿ホラーの金字塔!Z級映画の帝王ロイド・カウフマンの代表作「悪魔の毒々モンスター」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(514日目)
「悪魔の毒々モンスター」(1984)
マイケル・ハーツ監督
ロイド・カウフマン監督
◆あらすじ
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冴えない清掃員のメルビンは、不良たちにからまれて散々な目にあった挙句、工場の有毒廃棄物を全身に浴び、化学反応を起こして醜悪なモンスターになってしまう。しかし、心根の優しいメルビンは怪物になったことで得た超人的な力を用い、次々と街の悪者を退治していく。やがて目の不自由な美女サラと出会い、恋に落ちるが……。(映画.comより引用)
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ずっと前から見たかった作品です。
現在、U-NEXTで配信中です。
私は五反田のTSUTAYAでレンタルさせていただきました。
Z級映画の帝王•ロイド・カウフマンとマイケル・ハーツが設立し、数々の悪名高きZ級映画を生み出しているトロマ・エンターテインメントの作品です。
これまでに見たトロマ映画はこちらから↓
◇犯罪が横行する町トロマビル。その町のジムで働くドジでおバカだけど誰よりも心優しき青年メルビンは町の不良たちに貶められ、有毒廃棄物を全身に浴びる。すると化学反応を起こし、長身ムキムキだが醜悪な容姿のモンスターになってしまう。
という導入だけでもう堪らないです。
有毒廃棄物を浴びたことで、皮膚が爛れて醜悪な見た目になってしまうのはまだ分かります。でも背が伸びてムキムキになるのはマジで意味わからないですよね(笑)
しかもこの廃液を浴びるまでの一連のシーンも結構無茶苦茶です。
治安最悪のジムで働くメルビンは不良たちのイタズラでパニックになり、建物の二階から転落してしまいます。更には運悪く、下には発がん性物質を含む有毒廃液の入ったドラム缶を蓋を開けたまま大量に積んだトラックが停車しており、メルビンはそこにダイブしてしまい、全身に廃液を浴び、もだえ苦しみ、全身発火した後、モンスターへと変貌を遂げます。
この導入に入るまでのジム内のシーンが長く、エキストラさんたちのフィットネスシーンや不良カップルの濡れ場など不要なシーンのオンパレードです。
不良のやることも完全にタガが外れていて、バキバキに薬物をキメて飲酒運転をしながら、「年寄りを撥ねたら○点、子供は○点」などとほざきながら、自転車に乗った少年を轢き殺し、見るも無惨な死体を写真に収めて馬鹿笑いする等、常軌を逸しています。
ちなみにトラックの運転手がたまたまジムの前に停車していた理由はコカインを摂取するためですし、転落するシーンはスタントマンを使っているのがバレバレでもう本当にくだらないです!
もちろん良い意味でです!
ホラー映画というよりかは低予算おバカ映画だと思いながら見るのが良いと思います。
モンスターとなったメルビンにはこれまたなぜか悪を探知するレーダーのような機能が備わり、町に蔓延る悪を次々と殲滅していき、連日新聞を賑わせます。
そしてある日、ファーストフード店で強盗を退治したメルビンは盲目の女性サラと出会い、互いに惹かれ合います。
このシーンも「アイツはショットガンのリロイ、レジには手クセの悪いリコ、どん尻は皆様のフランク!」など強盗三人組の無駄なやり取りや前口上が多いです。
サラの連れていた盲導犬が銃殺されるシーンも、寝ている犬に内臓みたいな何かをふわっと置いているだけです。愛おしいですね。
サラとの仲を深めつつ、悪と戦い、不良にも復讐を果たし、町の人気者となるメルビン。
しかしその一方、悪徳市長を筆頭に悪巧みや犯罪で金を儲けていた人々はメルビンのことを快く思わず、なんとかして失墜させようと躍起になります。
サラとの仲睦まじいシーンではなぜかそれまでのシーンが何度も何度も繰り返し差し込まれます。これはかなり退屈でキツかったです。
そんな楽しい時間も束の間、メルビンは善良な市民を殺めてしまいます。自身の中にある破壊衝動に怯え、サラとも距離を置こうとしますが、サラの決意は固く、二人は愛の逃避行を決め込みます。
しかしメルビンが殺めた市民が実はめちゃくちゃ悪い奴だったことが判明。国際買春組織のやり手ババアで、更には過去にも犯罪歴が山程あったのです。
メルビンの悪人レーダーは正しかったことが証明されますが、悪徳市長はここぞとばかりにその事実を隠し、メルビンを始末しようとします。
軍も出動させ、州知事からの生け捕りにしろとの命令も無視し、憎き化け物討伐に執念を燃やします。
そしてこのあたりでもそれまでのシーンがしつこく繰り返し差し込まれます。単純な尺稼ぎという訳でもなさそうなんですけど、本当に意味がわからなかったです。
武装した軍隊に包囲されたメルビンでしたが、今までメルビンに救われた住民やメルビンの母親が駆けつけ、軍隊の前に立ち塞がります。
正直この頃には、悪徳市長以外は「そもそもあの怪物がやってることは正しいんだから、何もここまでしなくても…」と冷めてしまっていたため、その場にいる軍隊や警察も銃を降ろします。
しかし、はらわた煮えくり返っている悪徳市長はメルビンに発砲。しかしどれだけ撃たれようがピンピンしているメルビンは市長の内臓を抉り出し、「こいつが有害物質だ」と言い、その場にいる全員が拍手喝采。サラと口づけを交わし、物語は幕を閉じます。
ちょいちょい書きましたが、雑に組み合わせただけの同じシーンの繰り返しが本当にしつこいです。絶対に不必要だと思えるシーンも多く、内容自体はシンプルなんですけどテンポがあまりよくないです。
ですがストーリー自体は相当面白いですし、作り手のホラー愛が随所に見られます。例えば、不良カップルのエレファントマンのくだりは「ハロウィン」(’78)のオマージュっぽいですし、アクションシーンやグロ描写にもかなり力が入っており、見応えたっぷりです。
愛すべきおバカ映画の金字塔とも言える今作を見ることができて本当に良かったです。近いうちに続編も見ていこうと思います!
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
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