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前作からややスケールダウンかも…ワニワニパニック•ワンス•モア「アリゲーター2」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(560日目)

「アリゲーター2」(1990)
ジョン•ヘス監督

◆あらすじ
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ある夜、町の下水道に化学廃棄物を流す男たちがいた。後日、釣りをしていた町の住民が何かに襲われて死亡し、食いちぎられた足だけが発見される。刑事デヴィッドは妻で爬虫類学者のクリスティーンの協力によって、事件は下水道に潜む巨大ワニの仕業と突き止める。デヴィッドはそのことを署長に報告するが、町では再開発事業を手かける企業の主催するイベントを控えており、意見を聞き入れてもらえなかった。やがて町に巨大ワニが出現し、住民たちはパニックに陥る。(映画.comより引用)
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先日視聴した「アリゲーター」(’80)の続編です。

10年ぶりの続編であり、監督は前作のルイス・ティーグ氏からジョン•ヘス氏にバトンタッチしています。

決してつまらないわけではないんですけど、テンポが良くて一切無理がない脚本、まったく無駄のない登場人物の設定、ワニの見せ方など工夫を凝らした恐怖演出等など

前作の良かったところがだいぶ失われており、かなりスケールダウンしてしまった印象です。

アクションは見応えがありました!(映画.comより引用)

前作の公開から10年経過しており、それに伴い映像技術もかなり進化していると思います。ですがそのあたりの技術的な進歩や進化もあまり感じられず、前作が非常に面白かったので個人的には少々物足りなかったです。

続編ではあるものの前作との繋がりはあまり無く

「下水道のワニよ。NYでも前例があったでしょ」
という主人公デヴィッドの妻•クリスティーンの発言

「製薬会社の事件覚えてるか?」
「あの証拠不十分で不起訴になったやつか」

という前作で事の発端となった製薬会社を連想させる警察の会話

があったりと、一応前作での出来事が起きた後の世界線だと思われますが、いくらデヴィッドがワニの存在を同僚や周囲の人々に訴えかけても全然信じてもらえないため、「みんなあの事件のことキレイさっぱり忘れた?」と疑いたくなるほど市民の理解力が無いです。

現在DMMTVとU-NEXTで配信中です。

映画.comより引用
このVHSやDVD版のジャケットも時代が感じられて好きです。(Filmarksより引用)

『一匹狼の刑事•デヴィッドと爬虫類学者の妻•クリスティーン』という組み合わせ自体がそもそも前作とほぼ同じで、更にはややこしいことに前作の主人公もデヴィッドという名前の刑事でしたが、関連性はありません。名前や設定くらい少しは変えればいいのにと思ったのは私だけではないでしょう。

中盤までは

『デヴィッドが調査し、その調査を元にクリスティーンが研究によってワニの存在を裏付ける』

という流れなんですけども、その大筋の中に肉付けをして物語に厚みを持たせたかったのか、デヴィッドの相棒である新米刑事•リッチと市長の一人娘•シェリーが恋仲となるシーンを足しています。

それは別に全然良いと思うんですけど、ほぼ初対面の状況で「良い眺めだ。イイ尻してるって言われたことある?」とかほざくポンコツ刑事に惹かれるシェリーの気がしれませんし、その後すぐ飲みに行ってキスまでしてしまうなど不自然な流れというか、脚本に強引さを感じました。

にも関わらず、物語の後半になるとワニハンターのホーキンスがデヴィッドたちと同行することになるため、自然とホーキンスが解説や知識担当になるため、クリスティーンはせっかく爬虫類学者という設定なのにほとんど出番がなくなります。そしてヒロインポジションのシェリーに至ってはほぼ空気と化してしまいます。リッチと恋仲にした意味がありません。

中盤までに色々と関係性や設定を作り過ぎたものの、後半でそれをあまり活かせずにチグハグになっているような印象を受けました。

主人公デヴィッド(映画.comより引用)

ワニのクオリティに関してはそれなりに迫力があり、人間を襲うシーンなどはかなり見応えがありました。前作は人間を丸呑みにしたり、尻尾で車をペシャンコにしたりとコメディやアクションっぽさもありましたが、今作は鋭い牙で足や腕を食いちぎるなどのリアル傾向にあり、個人的にはこっちも全然有りだと思いました。

映画.comより引用

『前作の流れを引き継ぐ』

『まったく違うものを作る』

のどちらでもなく、なんだか中途半端な印象を感じる部分も多々ありましたが、もちろん良い部分もあります。

中でも、再開発事業の悪徳社長•ヴィンセント•ブラウンは下水道に化学廃棄物を流すよう命じたり、ワニの存在を隠蔽するなど、完全に諸悪の根源で作中屈指のクズキャラです。

基本的には狡猾で嫌なヤツですが、もちろんブラウンも一般市民なので、法の目をすり抜けて悪さをしてきたわけです。ですが後半からは突如大胆な行動を取るようになり、公衆の面前でデヴィッドに拳銃を向けたり、人が多い遊園地で市長を殺害したりと、これまた強引な脚本のせいで完全にキャラが崩壊します。

そういうのは作品としてはあまりよろしくないことだと思いますが、クレバーなタイプの悪役がここまでおバカキャラになるのは逆に面白かったです。

ブラウン(左)とアンダーソン市長(右)
野郎二人で観覧車乗るなよ!と言いたくなりますね。ちなみにこの直後に市長は殺されます。(映画.comより引用)

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