ロマン溢れる海底遺跡で巨大サメと追いかけっこ!酸素無くなるから慌てず落ち着いて!「海底47m 古代マヤの死の迷宮」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(631日目)
「海底47m 古代マヤの死の迷宮」(2020)
ヨハネス・ロバーツ監督
◆あらすじ
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いじめられっ子の女子高生ミアは気弱な性格で、父親の再婚相手の娘サーシャとの関係にもギクシャクしていた。考古学者であるミアの父親は2人の娘の距離を縮めるため、週末に行われる船中からサメを鑑賞するツアーへの参加を提案。そしてツアー当日、連れて来られた2人の前に友人のアレクサとニコールが現れて、もっとスリリングな遊びをしないかと誘われる。それはマヤ文明の遺跡が眠る海底洞窟に潜るケーブダイビングだった。ダイビング初級者だった姉妹だが、その魅力的な誘いに乗ってしまい、海に潜るのだった。神秘的なマヤ文明都市の遺跡にたどり着いた4人だが、複雑で迷路のような遺跡を前に迷子になってしまう。そしてそこは盲目の巨大人喰いサメがいる場所でもあった。出口なき迷路、途切れる命綱、酸素は残り僅か。絶望だらけのこの迷宮から、彼女たちは生還することができるのかー(Filmarksより引用)
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『遊び半分で海底に沈むマヤ文明の遺跡を訪れた女子高生4人組が盲目の巨大ホホジロザメに襲われる。サメの脅威に怯えながらも彼女らは迷宮と化した遺跡からの生還を目指す』
という内容のパニックスリラーサメ映画で、先日視聴した「海底47m」(’17)の続編にあたる作品です。前作の大ヒットを受けて作られましたがストーリーに繋がりはないため、こちらから見ていただいてもまったく問題はありません。
ちなみに今作は2世俳優の共演でも話題となったようで、サーシャ役のコリーヌ・フォックス氏は「ジャンゴ 繋がれざる者」(’12)などでおなじみのジェイミー・フォックス氏の娘で、ニコール役のシスティーン・スタローン氏はあのシルベスター・スタローン氏の娘で、さらには今作がデビュー作です。
前作に引き続き監督•脚本を務めたヨハネス・ロバーツ氏は1976年のイギリス・ケンブリッジ生まれで、2010年に手掛けた「F エフ」という作品がジョン・カーペンター監督らから絶賛され脚光を浴びました。ホラーやパニック系の作品を得意としており、今後注目すべきクリエイターの一人です。
現在、前作今作ともにアマゾンプライム、U-NEXT、huluにて配信中です。
前作は『シャークケージダイビングに参加した姉妹が水深47mの海底にケージごと落下。船との通信も絶たれ、酸素も残り少ない状況下、超巨大なホホジロザメが2人に襲いかかる』という内容で
最悪な状況のオンパレードにボコボコにされがらも何としてでも助かろうとする姉妹の生に対する執念、希望から絶望に叩き落とす容赦ない展開の数々、そして緊張感と恐怖を常に維持し続ける絶妙な脚本と演出がバチッとハマっており非常に楽しめました。
前作の舞台はシンプルな海でしたが、今作は迷宮と化した海底遺跡や洞窟です。このセットが非常にハイクオリティですし、狭くて暗い空間は不安を煽るため非常に恐怖を感じます。フルCGの超巨大ホホジロザメはたくさんの生傷や皮膚感がとてもリアルで迫力満点でとても良かったです。
良いところもたくさんありますし、作品的にはそれなりに楽しめるんですけど、個人的には前作の方が好きでした。
前作は『海底47mに落下した檻の中で、多少移動はできるもののサメがうろついているから基本的にはそこからあまり動けない』という、言うなればワンシチュエーションに近い設定かつ、“逃げられそうなもんなのに”と思わせる絶妙な状況やその可能性を潰す悪条件の数々がサメ映画とも相性が良かったです。そして、ただただツアーに参加しただけなのに機材トラブルのせいで大変な目に遭った姉妹には同情しますし、なんとか助かってくれと応援したくなります。
そして今作は『無断で海底遺跡を訪れた女子高生4人組が盲目のサメに襲われて、遺跡や洞窟内を逃げ回る』という風に、そもそもサメに襲われるのが完全に自業自得です。しかも彼女たちのせいで遺跡を調査していた作業員三人(そのうちの一人はミアとサーシャの父親)がサメによって命を落としています。
その上「パニックになったら酸素が減るから落ち着こう」と何度も言っているのにも関わらず、事あるごとに4人ともパニックになります。中盤ではようやく脱出できそうだったのにサメの出現でまたもやパニックになり、ケーブルを奪い合って結果的に脱出に失敗したりとなんならちょっとフラストレーションが溜まります。
遺跡や洞窟はロマンがあってとてもかっこいいんですけど、いかんせん狭い空間が多いのでそこまで巨大サメの存在が活かせていなかったように思いました。『狭い通路に逃げ込んでサメの襲撃を回避』みたいな展開が多く、前作のように『360度&上下どこから襲ってくるのか分からない』という緊張感や臨場感はありませんでしたし、『盲目のサメ』という設定は別に無くても良かったんじゃないでしょうか。
一応、『目が見えない分、聴覚が異常に発達しており音に敏感で、緊急用のアラームの波長を嫌がって逃げる』というくだりもあるんですけど、もうちょっとその設定を活かしたシーンが見たかったです。
“音に敏感な盲目の怪物”が登場する作品って、「息を殺してその場から動かないようにする」とか「逆に音を出しまくって気を引く」とか「とある波長や音が弱点」みたいに割とネタが出尽くしてる感があるので結構難しい印象です。
メインの登場人物が主人公のミアとサーシャ、そして友人のアレクサとニコールの4人なんですけども、この4人で潜るという時点で絶対にアレクサとニコールは殺され要員だなというのが予想出来てしまうのが少々残念でした。
クライマックスは非常に見応えがありましたし、サメのクオリティや迫力に関しては今作の方があると思います。ですが、当たり前なんですけど海中ではみんな同じ格好をするので見分けが付きにくいですし、狭くて暗い空間での逃走劇は画面が暗すぎて見えづらく、かつ先述したようにすぐパニックになる4人にイラッとさせられるなど中盤が色々ともったいなかったです。
導入とクライマックスが良かった分、そのあたりが気になってしまいました。前作みたいにもう少しシンプルな方が個人的には好みでした。
ここからは余談ですが
エンディングの最後に字幕で
『サメによる被害は年間で10人程度。だが人間に殺されるサメは年間1億頭に上る』
という文言が出ます。これにはやはり色々と考えさせられます。私が医学部専門予備校に通っていた時の生物の先生が授業中によく雑談をする方でとても好きだったんですけど、その先生がある日の授業で
「スピルバーグがJAWSなんて映画を作ったせいで“サメ=人間を襲う危険な生物”という図式が出来上がったんだ。だから今でもサメは見つけ次第殺さなければいけないと思ってる奴らがたくさんいる。サメの個体数は減る一方だ。全てはスピルバーグのせいです。私はアイツが大嫌いです!」
という熱の籠もった話をしていました。果たして本当にスピルバーグ監督のせいなのかは定かではありませんが、サメの個体数が減らないように願うばかりです。
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