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都市伝説を絡めた青春スリラー群像劇!どこかで見たことあるフォーマットだけど気のせい?「ルール」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(676日目)

「ルール」(1998)
ジェイミー•ブランクス監督

◆あらすじ
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ナタリーの通う大学では、25年前、精神に異常をきたした教授が寮の生徒を全員惨殺し、教授も最後に自分の心臓を突き刺して死んだという言い伝えがあった。これは「スタンリー寮における殺人」という都市伝説として、学生らの間で広まっていた。しかしその真偽のほどは分からず、ナタリーは「単なる噂」と考えていた。だが、彼女の周りで都市伝説になぞらえた殺人事件が起こり始めた。(ルール(映画)Wikipediaより引用)
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『大学内で巻き起こる連続猟奇殺人事件。なんとその全てが有名な都市伝説になぞらえられていた!』

という、ミステリー要素が強いスラッシャーホラー映画です。例の如く、終始ミスリード盛り盛りの展開で、主人公たちも我々視聴者も正体不明の殺人鬼に翻弄されてしまうため、最後の最後まで目が離せません。派手さは無いものの脚本は中々に良い出来なうえに、起承転結もはっきりしているので個人的には結構好きなタイプの作品でした。

しかし!

舞台が大学、若者たちが織り成す群像劇、正体不明の殺人鬼、次第に疑心暗鬼となり崩れていく仲間との絆etc…

「スクリーム」や「ラストサマー」シリーズ等の名作スラッシャーホラー映画に見られる要素が満載で、正直なところ既視感がエグかったです。

この上記の2作で、『若者たちの青春群像劇✕正体不明の殺人鬼』というフォーマットが面白いということはすでに証明されているため、よっぽどのことがない限りはそこそこ面白くなるんだと思います。

そもそも「スクリーム」(’96)も「ラストサマー」(’97)も脚本を担当したのは同じケヴィン・ウィリアムソン氏ですし、「ラストサマー」のプロデューサーを務めたニール•H•モリッツ氏が今作「ルール」(’98)でも同じくプロデューサーとして加わっています。

ケヴィン・ウィリアムソンWikipediaより引用

さらには映画が公開されたのも

’96(スクリーム)→’97(ラストサマー)→’98(ルール)

と一年刻みなうえに、3作とも続編が1〜2年以内に作られていることなどを鑑みるに、『フォーマットがもうすでに完成されている、売り出したい若手俳優たちをメインに据えるのでギャラも抑えられる、ある程度の興行収入が見込める』等など、プロデューサーや作り手側からすると、この手の作品はこれ以上無い金脈だったのではないでしょうか。

実際3作ともに長期に渡りシリーズ化しており、「スクリーム」は計6作+テレビシリーズ、「ラストサマー」は計3作(リブート版が2025年に公開予定)、そして「ルール」は計6作が今のところ発表されています。

その他、私がこの企画で視聴した作品に限っても「ハロウィン•キラー!」(’23)、「ラスト•パーティー LAST PARTY」(’18)、「キラー•ブック•クラブ」(’23)、「ビキニ•キラー/真夏の食い込み殺人」(’01)、「パラサイト」(’98)(※視聴日数古→新順)

ざっと探しただけでもこれだけの作品がおそらくは先述したフォーマットをなぞっているように思われます。

ここまで来るとそれ以外の部分で他の作品と差別化を図らねばならず、タイムスリップやエイリアンなどのSF路線、女性キャストの肌の露出を増やしてシンプルにスケベな層を狙うなど、それぞれの作品で試行錯誤が見てとれます。

そして本作は“都市伝説”というキャッチーな題材を織り込むことで勝負に出ております。そこまでパンチが強いわけではないんですけども、それなりに楽しめる一作に仕上がっています。

現在Netflixにて配信中です。

原題は「Urban Legend」で、意味はそのまま都市伝説です。(natalie.muより引用)
やはりスクリームは至高ですね。(Amazon.co.jpより引用)
ジャケ写を見比べてみるとやっぱりどことなく雰囲気が似ていますね。(sonypictures.jpより引用)

◇ナタリーの周囲で都市伝説になぞらえた猟奇殺人事件が多発。彼女は新聞部のポールと協力して一連の事件を追う中で、この大学に隠された悍ましい真実が明らかになっていく。

といった感じで、主人公の友人や知人が次々と正体不明の殺人鬼の手によって亡き者にされる中、怪しい清掃員や何か知っていそうな学長やウェクスラー教授、さらには新聞部のポール等など、続々と「こいつが犯人なんじゃないか?」と思わせるミスリード演出が多いため退屈しません。

そして都市伝説に関してはわりと有名どころを押さえており、

ガソリンスタンドで給油をしようとした若い女性。会計時に無愛想な店員から「カードが使えない。カード会社から電話が来ているから一度車から降りてくれ」と言われた。不審に思い女性がそのまま車で逃走したところ、実は後部座席に殺人鬼が隠れており、女性は背後から襲われ死亡する。実は店員は後部座席の人物を不審に思っており、なんとか犯人には悟られないように女性を救おうとしていたのだった。

ある女性がベビーシッターの仕事で依頼主の家に滞在している際に掛かってきた脅迫電話。そのあまりの内容に身の危険を感じた女性は警察に通報する。警察が逆探知した結果、その電話はその家の2階から掛かっていた。

等など、展開やオチが微妙に変わることはありますが、どこかで聞いたことがある都市伝説や怪談のような話が登場し、それをモチーフにした殺人事件が起こります。ナタリーたちはウェクスラー教授の授業(おそらくは歴史や社会学、民俗学など)でそれらの都市伝説の話を聞いており、教授曰く、「都市伝説とはそれを生んだ社会の価値観(ルール)の反映だ」とのことで、普段から馴染みがありました。

中盤以降で姿を見せる犯人はフードを目深に被っており、分厚いコートを羽織っているため当然の如く正体は読めません。※以降めちゃくちゃネタバレしますのでお気をつけください!

“その子”が語る「恐怖の都市伝説」ってどんなイベントなんですかね。非常に気になります。(natalie.muより引用)

結局のところ、犯人はナタリーの親友のブレンダ(上のジャケ写の左端)でした。

ナタリーとミッシェル(冒頭で殺害される女性)は実は高校時代は親友同士でした。ある日の深夜、車を飛ばしていた2人は対向車に対してヘッドライトを付けたり消したりを繰り返す悪質なイタズラを行い、その結果、対向車が事故を起こして運転手は死亡。しかし、運転していたミッシェルも同乗していたナタリーもイタズラの事実を隠し、ただの交通事故と処理され、2人は保護観察処分に留まった。

という過去がありました。

ここまででなんとなくお気づきかとは思いますが、この時に亡くなった運転手のデビットと当時交際していたのがブレンダでした。

ミッシェルがあの時の車の運転手であったことを知ったブレンダは見事復讐を果たしますが、以降も次から次へとナタリーの同級生たちを手に掛けます。

ここが少々腑に落ちなくて、ミッシェルへの殺害動機は理解できるんですけども、それ以降ナタリーの同級生が次々と殺されていく理由が分かりませんでした。

ナタリーは自分の周囲で事件が立て続けに起こったことで精神的に参ってしまい、ブレンダに対して『ミッシェルと親友だったこと、あの事故の時に同乗していたこと』をついついこぼしてしまい、その新事実を知ったブレンダは「親友であろうとも許せぬ!」とナタリー殺害を企て、実行に移しているので、ここもまだ分かります。

だけどやっぱり同級生や犯人候補だった学長やウェクスラー教授の死は完全にとばっちりな気がします。そこまで気になるほどのことではないんですけど、このあたりのディテールを詰めていかないとやはりオリジナルには勝てないのかもしれません。

クライマックスでは見所の一つでもあるナタリーを拘束したブレンダの豹変っぷりがちょっと“アレ”でした。愛する者を奪われた恨み、そして親友であろうと散々苦しめたうえで殺してやろうという狂気を表現したかったんだとは思うんですけど、いかんせんブレンダ役のレベッカ•ゲイハート氏の演技力の問題なのか、あまりその辺りがうまいこと表現できておらず、大げさな演技も相まってヴァンパイアみたいになっていました。このあたりはちょっと勿体なかったです。ちなみに余談ですがゲイハート氏は今作の前年には「スクリーム2」にも出演しております。

マイナーな作品だからなのか関連画像がとにかく見つかりませんでした。(natalie.muより引用)

ラストは

『おそらくあの事件から数年後、学生たちがこの大学で起きたとされる殺人事件(本編の一連の事件)を都市伝説として語っていると、「その話、詳しく知りたくない?」とブレンダと思われる女性が会話に入ってくる』

という風に、生死不明とされていたブレンダが生き延びていたことを示唆する形で幕を閉じます。この終わり方は個人的には相当センスを感じました。すごく良かったです。

最近では“ターボばあちゃん”や“八尺様”、さらには宇宙人、UFOなどのオカルトや都市伝説をテーマにした漫画「ダンダダン」が流行っていますし、こういった最先端の都市伝説を取り入れてリブート版を作ったらかなり面白くなるかもしれません。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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