全然話が進まねぇ!ナチスのゾンビ兵が空飛ぶサメに乗って全世界を襲う!未曾有の大バカZ級サメ映画「スカイ•シャーク」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(781日目)
「スカイ•シャーク」(2020)
マーク•フェーサ監督
◆あらすじ
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フランクフルト行きの飛行機が、飛行中に外部からの襲撃を受ける大惨事が発生。同じ頃、北極でナチス第三帝国の巨大な戦艦が発見される。戦艦の中には、かつてナチスが開発した極秘兵器が眠っていた。それは、遺伝子改変された超人ゾンビたちが操るサメの戦闘機で、世界各国の都市を襲い始める。70年前にこの兵器の開発に携わったリヒター博士と2人の娘たちは、世界を救うべく立ち上がるが……。(映画.comより引用)
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『ナチスのゾンビ兵団と空飛ぶサメの襲来により、世界中が大パニック!立ち向かうのは彼らの開発に携わっていた博士とその娘たち!果たして地球の運命やいかに!?』
という、ナチスやら戦争やらSFやらエロやらをこれでもかと詰め込んだZ級おバカサメ映画です。
『ステルス機能が搭載された空飛ぶサメに乗って襲いかかるナチスのゾンビ兵』というめちゃめちゃ出オチな設定だけで100分以上引っ張ります。もちろん画的にも面白いですし、Z級サメ映画としては最高of最高ですが、言うまでもなくストーリーはすっかすかで、物語がようやく動き出すまでに50分以上要します笑
『ナチスのゾンビ兵たちがサメに乗って飛行機を急襲する』という、言うなれば大事な冒頭のつかみのシーンにおいて見所であるゾンビたちが登場するまでに、どうでもいいモブキャラ同士のやり取り(神父とシスターの会話、たちの悪い酔っ払いと添乗員のやり取りetc…)におよそ8分も尺を割いてます。
つまり映画が始まって8分間、我々視聴者が目にし続けるのは無駄なシーンです。これは本来、映画としてはあってはならないことかもしれませんが、今作はZ級サメ映画です。そのため、この始まり方は100点満点と言えるでしょう。
以降も本編には一切必要ないキャラクターの会話ややり取り、さらには異常なまでに長い過去回想シーンが何度も何度も差し込まれるため、ストーリーは全然進まないし、テンポは最悪、時系列もごちゃごちゃ。途中からはこれは今の話なのか、それとも過去の話なのかも分からなくなります。
なもんで『ナチスのゾンビ兵と空飛ぶサメを倒すため、奴らを生み出した博士とその娘たちが命をかけて戦う』という、本来であれば一番見せなければならない大軸が断片的になってしまい、ストーリー自体もよく分からなくなりますし、重要な部分だけを凝縮したらたぶん30〜40分くらいにまとめられると思います。
私も途中から無意識に思考を止めており、何度か巻き戻しましたが、見終わる頃にはびっくりするくらいに内容が頭からスルスルと抜け落ちていました。
たぶんなんですけど、『主人公たちVS空飛ぶサメとナチスゾンビ兵団』以外にもSFやら戦争やらナチスやらエロやら色々やろうとして風呂敷を広げ過ぎた結果、収拾がつかなくなってしまったように思います。久々にハードな戦い(視聴)になりましたが、これでこそZ級サメ映画です。私は決して否定しません笑
しかし!どうしようもない今作にも最高の出オチ設定以外にもう一つ、素晴らしすぎるポイントがあります!
それは並々ならぬこだわりを感じるグロゴア描写とハイクオリティな戦闘シーンです。初っ端の飛行機のシーンでは乗客の頭は何度も吹き飛ぶし、喉は引き裂かれるし、サメに食べられるし、圧死もするし、血飛沫はこれでもかと大盤振る舞いです。
というのも今作には“ゾンビ映画の巨匠”ジョージ•A•ロメロ氏の右腕として多くの作品に携わった特殊メイク界の重鎮であるトム・サヴィーニ氏が特殊効果のスーパーバイザーとして参加しています。
そのため、ゾンビのクオリティ、グロゴア描写の表現やレパートリー、そして血飛沫等がとてもZ級サメ映画とは思えない出色の出来で、インパクトが半端じゃないです。クライマックスの空中戦や巨大サメ戦艦のスケールの大きさに度肝を抜かれること間違いなしです!本当にこれだけは全映画好きに見ていただきたいです!
そんなどうしようもない大バカな今作の監督•脚本•製作•編集諸々を務めたマーク•フェーサ氏は、この作品以外には基本的にはドイツ国内でのみ上映される映画を主に手掛けているようです。何がどうなって今作を担当することになったのでしょうか。
現在U-NEXTにて配信中のほか、明日(1月31日)までAmazonプライムにて100円でレンタルが可能です。でもそのうち普通に配信も始まると思いますので無理に借りなくてもいいと思います笑
◇突如として現代に蘇ったナチス兵士は空飛ぶサメ•スカイシャークに乗り、マンハッタン発フランクフルト行きの飛行機を急襲。乗客を皆殺しにし、飛行機はあえなく墜落した。
墜落事故のニュースを見たリヒター科学技術研究所の所長であるリヒター博士は娘のディアブラを調査のため北極の墜落地点に向かわせる。現地に赴いた彼女は偶然、氷河に埋もれた戦艦を発見。なんと艦内ではゾンビ兵士が大量に生産されていた。命からがら帰還した彼女は事のあらましをリヒターたちに報告。すると、この不死身のナチス兵団や空飛ぶサメは第二次世界大戦中にリヒターが仲間たちと生み出した軍事兵器だったことが発覚。当時は頓挫したあの計画が水面下で復活して進行しており、潜伏中に武力を整えたナチス兵団はサメにステルス機能まで搭載し、世界の主要都市を次々と襲撃。リヒター博士は過去にけじめをつけるべく、娘のディアブラとアンジェリークらとともにナチス兵団と壮絶な死闘を繰り広げる!
というのが今作の要点をまとめたあらすじです。
シンプルに『VS現代に蘇ったナチス兵団とスカイシャーク』だけを描けば良いものを、よくもまぁここまでこねくり回したなというくらいにややこしくなっています笑
まず、この騒動の発端は第二次世界大戦中にまで遡ります。当時劣勢に追い込まれていたドイツ軍がリヒター博士やカムラー博士に開発させた“K7B”は『男性を不死身の超人に、女性を無敵のゾンビにしてしまう』というとんでもない新薬であり、これによって最強の兵士を増やして軍事力を増すヒメルスファウスト計画が誕生しました。
しかし大量生産にまでは至らず、戦況の悪化、カムラー博士の国外逃亡、また巨大戦艦の不可解な消滅などで企画は頓挫。すべては幻に終わりました。
一応、“K7B”を投与した人の頭に電極を埋め込んでちゃんと操作できるようにしたかったっぽいです。
しかし、“K7B”を投与されていたナチスの残党が北極の巨大戦艦内で密かにその数を増やしており、当時開発されていた空飛ぶサメ•スカイシャークもまだ20頭しかいないものの、新たにステルス機能を搭載させたこともあり、世界を崩壊させるには十分な数。さらには繁殖にも着手しており、もしそれが成功し、これ以上サメの数も増えればいよいよ手が付けられなくなってしまう。
これを察したリヒター博士は過去を清算するべく、娘たちや世界各国の首脳陣たちとZoomで協議を重ね、奥の手を用いて、ナチス兵団と最終決戦に挑む。
というのが今作の一番大事な大軸です。
本編ではこれをダラダラとやりつつ、どうでもいい話も差し込んでくるので何度も睡魔に襲われます。睡眠導入にはもってこいですね!
ステルス機能を弱める方法を発見した一行は戦闘機に乗り込み、空中でナチス兵団とスカイシャークを迎え打ちます。結局、ステルス機能を弱める作戦は失敗に終わり、ディアブラも北極調査の時に“K7B”を打たれており、凶暴なゾンビとなり大暴れ。人間軍は劣勢に立たされます。
と、そこへ、過去に“K7B”を打たれたことで115歳になってもまだまだ元気なリヒター博士は自身の脳で操作する超巨大サメ戦艦で駆けつけ、スカイシャークやナチス兵を次々と屠り、ディアブラもアンジェリークからゾンビ抑制剤を投与されたことで正気を取り戻し、どうにかこうにか人間軍が勝利を収めます。
しかし、北極ではナチスの残党がスカイシャークの個体数を増やし、次なる襲撃に備えていたのだった…
という続編匂わしたところで物語は幕を閉じます。
こうして大事な部分だけをまとめてみるとあんまり面白くないんですよね笑
だからこそ、ナチス兵士がスカイシャークをメンテナンスして頭撫でるシーンとか、極秘の世界首脳会議がZoomでダラダラ進行したり、大丈夫か?ってくらいにエロいシーンとか裸が映りまくることでバランスをとっているのかもしれません。
薬(K7B)は男女によってなぜ症状が違うのかとかも説明が欲しかったですし、そもそもサメ映画ではあるもののサメはほとんど添え物です。もう少し描きたいものを絞った方が映画としては見やすくなるかもですね。御興味ある方は配信が始まってから視聴されてみてはいかがでしょうか。
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