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いるの?いないの?白黒はっきりつけなさい!ポロニア印の奇想天外パンダザウルス物語「パンダザウルス」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(789日目)

「パンダザウルス」(2024)
マーク•ポロニア監督

◆あらすじ
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動物園を経営するノーマンとマカリスターはハネムーンでカリブ海を訪れる。ボートで海へ出る途中、船は沈没。二人は南の島に打ち上げられるが、島内で奇妙なガチョウの卵のようなモノを発見。運よく救助された二人はその卵をこっそり持ち帰るが、卵からは見たことのない"怪物”が誕生。二人は経営する動物園で「パンダザウルス」として展示を始めるが、やがて檻を破っていなくなってしまう。世間では「パンダザウルス」の所在を巡って大騒ぎに。一方、この騒ぎに異論を唱えた精神科医は”怪物の存在”自体を否定する。果たして「パンダザウルス」とはいったい何なのか!?(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)
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『卵から産まれた不思議な生物•パンダザウルスは一躍動物園の人気者となるも、脱走し、次から次へと人々を襲い始める。一部の人間はその存在自体を否定する中、事態は悪化の一途を辿る…。果たして、いるのかいないのか!?白黒つける時がやってきた!』

という、いわゆるアニマルホラーものに分類できるようでできない、低予算のZ級パニック映画です。

監督を務めたのは私の企画ではもはやおなじみの数多のZ級クソ映画名作サメ映画を生み出してきた“ペンシルベニアのスピルバーグ”ことマーク•ポロニア監督です。

今作では精神科医のポロニア役としてがっつり出演しています。(https://landshark.crayonsite.com/p/2/より引用)

ポロニア監督についてはこちらの記事↓で詳しくまとめておりますので、もしご興味ある方はどうぞ!

同氏は主に低予算のZ級サメ映画を数多く手がけているため、あまりそれ以外のジャンルのイメージはありませんが、2016年にフランケンシャークの脅威を描いた「シャーケンシュタイン」が局所的にバズるまでは「ジュラシック•ビースト」(’15)や「ビッグフットvsゾンビ」(’16)など、いわゆる低予算のモンスターパニック系やZ級ホラーなどを手広く作っていました。

私も同氏のサメ映画以外の作品を視聴するのは初めてだったので、どんなもんだろうかとワクワクしていましたが、正直なところ、チープなサメがパンダザウルスに変わっただけで、テイスト自体はまったく同じでした笑

パンダザウルスの育ての親•マカリスター(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)

わけの分からないストーリー、チープにも程がある怪物、クオリティが低すぎる合成、素人に毛が生えた程度の大根役者、無駄な会話や意味のないシーンで尺稼ぎ、今やYouTubeですら聞かない安っぽい効果音やBGM、フリー素材の動画や資料映像の使い回しetc…

いつものどうしようもないサメがパンダと恐竜のクリーチャーになっただけで、上記に列挙したもはや名人芸とも言えるポロニア作品名物のZ級要素は健在です。なんならもっと酷くなっています笑

もちろんこのあたりを酷評する人もいますが、私のようなクソ映画愛好家はこれが見たくて見ているわけですから、大いに結構なことだと思います。

もはや誰かと競っているのかと思いたくなるほどにダサい効果音や衣装にも注目です。(https://youtu.be/kEAI9cMfzsY?si=6e6hWDWPBMfmoKKdより引用)

見どころでもあるパンダザウルスは登場の度に大きさが異なりますが、クオリティの低いストップモーションアニメのようなカクカクした動きが以外と好みでした。絶対に人気の出ないビジュアルではありますが、顔はパンダの要素が強く、体毛もあります。ですが、手足や背中の感じは恐竜っぽいです。

また、卵から生まれるということは恐竜としての要素のほうが強いのかもしれません。

これは絶対に人気出ないですね笑
あと、このシーンは夢なので恐竜はこれ以降登場しません。
(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)

基本的に今作は

『主人公のオブライアン夫妻が動物園で展示していたパンダザウルスが脱走し、人々を襲い始めるも、夫妻はそのことを否定するどころか、こっそり改良を加えてサイボーグ化してしまう』

というストーリーに軸を置くとともに、おばちゃんリポーター、中年太り刑事、パンダオタクのぽっちゃりさん、カリスマブロガー、中身がないことをめちゃくちゃ喋る博士、精神科医ポロニアなど、ともすれば必要のない脇役を多く登場させ、彼らや主人公夫妻のインタビューシーンを頻繁に差し込むことで、テンポの悪さと引き換えに尺稼ぎに成功しています。

内容が無いのにめちゃくちゃ喋るハンソン博士
(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)

中でも、監督であるマークポロニア氏演じる精神科医のポロニアは事あるごとに登場してはパンダザウルスの存在を否定します。

「あれは夫妻の妄想だ」とか「彼らが捏造したファンタジー計画の崩壊だ」とか「出ることができない箱に入ってる状態」等など、それっぽいことをインタビュー形式でダラダラと喋ります。

おそらくは『パンダだけにいるのかいないのか白黒はっきりつける』という発想から、“否定するため”だけのキャラを用意し、しかもそれを自らが演じ、カンペをガン見しながら長々と喋ります。

『監督自らが尺稼ぎ要員のキャラを演じ、同じ場所でカンペをガン見しながらただ喋る』って究極の時短であり、コストカットではないでしょうか。

サメはワンシーンだけ登場します。(https://youtu.be/kEAI9cMfzsY?si=6e6hWDWPBMfmoKKdより引用)

これはポロニア映画も行くとこまで行きましたね。これだけの離れ業を披露してしまった以上、これ以降の作品への期待のハードルが上がってしまうこと必至ですが、きっと余裕で越えてくれることと思います。

この作品を機にポロニア監督のサメ映画以外の作品も日本に入ってくることを願っています。

現在Amazonプライム、U-NEXT、DMMTV、hulu、Lemino等の各種サブスクでレンタルが可能ですが、新作ということもあってか料金は550円前後です。

DMMTVだと275円と比較的手を出しやすい価格になっておりますが、そのうち普通に配信も始まると思いますので、クソ映画愛好家を自負している方以外は今すぐ見なくてもいいと思います笑

レトロ調のデザインと右下のムカつく文言がいい味だしてます。(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)
玩具の取り扱い説明書みたいなこのデザインは良いですね。
(https://shop.commafilm.com/ca28/168/より引用)

◇オブライアン動物園を経営するノーマンとマカリスター夫妻は客が入らず閑古鳥が鳴く中、ハネムーンへ出発。しかしカリブ海で船が難破し、無人島に漂着。そこで不思議な卵を拾う。奇跡的に生還を果たした夫妻は卵から生まれてきた不思議な生物•パンダザウルスを我が子のように育て、動物園でパンダと同じ檻に入れて展示したところ大盛況。動物園の経営も持ち直す。しかし突如としてパンダザウルスが脱走。次から次へと人々を襲い始める。一方、ノーマンのかかりつけの精神科医•ポロニアはパンダザウルスの存在を完全否定し、夫妻の精神疾患、または単なる妄想が生み出した架空の生物だと断定。

果たして、巷を騒がす謎の生物はパンダザウルスなのか!?そもそもいるのかいないのか?今こそ白黒はっきりつける時が訪れる…

というのが今作の細かめのあらすじです。

脱走したパンダザウルスを探すマカリスター(https://youtu.be/kEAI9cMfzsY?si=6e6hWDWPBMfmoKKdより引用)

冒頭からどこかの動物園の資料映像でサイやらカバやらキリンやら様々な動物を見せるワクワクの演出に心が躍りました。

ノーマンとマカリスターのオブライアン夫妻が経営する動物園は2頭のパンダ(ジョジョとジュジュ)のおかげで大盛況。しかしそこへ突如として恐竜が急襲。園内はパニックになり、マカリスターも食べられてしまう。しかしそこへパンダのような恐竜のような不思議な生物•パンダザウルスが颯爽と現れ、恐竜を撃退。そしてノーマンに襲いかかるが…

という夢を最近見るようになったノーマンはかかりつけの精神科医ポロニアに相談します。しかし、ポロニアは当然パンダザウルスの存在は夫妻の妄想だと断定し、インタビュー等でも「夫妻には精神疾患があり、パンダザウルスの存在は動物を改造したいという願望が生み出したもので、全て2人の妄想だ。私はこれをアナマナミリアと名付けた」と言っております。

※アナマナミリアの意味は調べても分かりませんでした。すいません…

一方、テレビか何かのインタビューを受けている夫妻。彼らは自分たちの動物園の経営が傾いている時にハネムーンでカリブ海を訪れるも、船の難破により無人島に漂着。そこで拾った大きな卵を持ち帰り、生まれたのがパンダザウルスでした。我が子のように一心に愛を注ぐも、新種の動物ゆえに何もかもが手探りで、ある程度成長したパンダザウルスは2頭のパンダと共に動物園で展示されるという運びになったそうです。

ちなみに夫妻がハネムーンの話をする時は衣装が赤いアロハシャツにチェンジします。あと、このあたりからちょこちょこ時系列がバグり、パラレルワールドなのでは?と思うようなシーンも多々あるので混乱します。

めちゃくちゃ沈む船(https://youtu.be/kEAI9cMfzsY?si=6e6hWDWPBMfmoKKdより引用)

おばちゃんレポーター•ポリーの取材やパンダ大好きぽっちゃりさんのジミーなんかで閑話休題をした後、めちゃくちゃ喋るけど内容が全くないハンソン博士はパンダザウルスの生態を調べたいと申し出るも夫妻から門前払いを食らう。

しかし彼は学会で古代生物である恐竜とパンダによる種と時空を超えた交配について熱弁し、拍手喝采を浴びます。※学会の参加者や聴衆の映像はフリー素材です。

ですがこれもポロニアは完全否定。種が異なるのに子孫が残せるわけがないと、また長々喋ります。

しかしここでパンダザウルスが同じ檻にいた2頭のパンダを食い殺し、そのまま脱走。夫妻もハンソン博士もその行方を追うとともに、ジミーは大好きなパンダの敵討ちに繰り出します。ここでもポロニアは「いることを証明できなくなったから逃げたことにしただけだ」と一蹴します。

おばちゃんリポーターのポリー(https://youtu.be/kEAI9cMfzsY?si=6e6hWDWPBMfmoKKdより引用)

その後、森の薄暗い下水溝にてカリスマブロガーのブラッド、ハンソン博士、パンダ大好きのジミーが立て続けに襲われて死亡。いよいよ中年太りの敏腕刑事マーシュも捜査に乗り出しますが、夫妻はあくまでパンダザウルスの犯行を否定し、生け捕りにしようとします。

所変わって、牛がたくさんいるどこかの平原にてリポートをしているポリー。そこへパンダザウルスが現れ、彼女も食べられてしまいます。それを目撃したマーシュはついに軍隊を出動させ、夕方まで続いた長期戦は大爆発によって集結。騒動に終止符を打ちました。

アメリカ軍とパンダザウルスの激闘(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)

ポロニア曰く「これはただの集団ヒステリーに過ぎず、彼らが捏造したファンタジー計画の崩壊を意味する」と、あくまでも否定のスタンスを取り続けます。とんだ水差し野郎です。

その後、行方をくらました夫妻は森の中で怪我を負ったパンダザウルスと再会。偶然にも機械工学の学位を持っていたマカリスターはパンダザウルスを救うため、改造手術を施します。

パンダの弔い合戦に繰り出すジミー(https://youtu.be/kEAI9cMfzsY?si=6e6hWDWPBMfmoKKdより引用)

いよいよ痺れを切らして動物園に押しかけてきたマーシュは「想像はいいが創造はやめろ!」と夫妻に訴えかけるも、改造を施されたメカパンダザウルスは夫妻を守るためにマーシュを一瞬にして葬り去ります。※この時、マーシュがメカパンダザウルスと対峙するんですけども、もちろん合成なのでマーシュが全然明後日の方向を向いています。

その後、夫妻は動物園や他の動物を売り払い、メカパンダザウルスと共にあのカリブ海の無人島へと移住を果たす。しかしポロニアは「彼らは社会から逃げた。妄想が壊れただけだ」と言い張る。

ようやくインタビューが終わった彼が駐車場に向かうとそこには自身がその存在を否定し続けていたメカパンダザウルスが…

呆気にとられた彼が「パンダこりゃ?」と呟き、物語は幕を閉じます。

ポロニアに襲いかかるメカパンダシャーク(https://landshark.crayonsite.com/p/70/より引用)

いやぁ終始くだらなかったですね笑

結局、“パンダザウルスはいた”というオチでした。個人的に一つ思ったのが、もしかしたらなんですけど『パンダザウルスは卵ではなく、夫妻が禁忌に触れるような遺伝子実験の末に生み出した存在なのでは?』ということです。

夫妻の発言には支離滅裂な点が多く、整合性に欠けています。そんなイカれたマッドサイエンティストの2人だからこそ生み出せた存在ではあるものの、どう考えても倫理的にもアウトだし、いっそのこと卵を拾ったということにして動物園で展示し、金儲けをしようと思いついたのではないでしょうか。となると執拗に生け捕りにこだわっているのも合点がいきます。

また、2人のハネムーンの回想シーンにおいて、ビーチを歩いていた男女が明らかに別人なんです。もしかしたら夫妻はカリブ海にも行っていないのかもしれません。

これがもしかしたら今作に隠された大きな伏線だったのかもしれません!

もちろん、十中八九ただフリー素材の動画を流しただけで、私の推理は検討違いも甚だしいものだと思います…

ですがこういった低予算のおバカ映画で自分なりの考えを持つのもまた一つの楽しみ方かもしれません。オススメはしませんがオススメです!

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もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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