透明人間VS透明人間!あいも変わらず覗きがお好きな変態透明おじさんがアメリカ政府へ宣戦布告!「インビジブル2」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(682日目)
「インビジブル2」(2006)
クラウディオ•ファエ監督
◆あらすじ
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ある研究所のパーティで博士が惨殺され、軍の介入により捜査を外された市警の刑事フランクは、次の標的とされるマギー博士の警護を命じられる。やがてフランクは、研究所が軍の極秘計画である「姿なき戦士」を開発していたことをマギーから知らされるが…。(Filmarksより引用)
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『軍の極秘計画で透明人間になった男が隠された真実を知り、政府への復讐を誓う』というサスペンス要素多めの王道スリラーです。
上記の大筋の中で『計画に携わった博士の警護を任された刑事がこの大きな事件に巻き込まれていく』という主人公視点の物語が展開していき、『透明人間VS主人公の刑事と博士』という対立構造が出来上がるため、ストーリー的にも非常に分かりやすいですし、どう見ればいい作品なのかが明確でした。
『狂気の天才科学者が透明人間となり、自身の凶行を阻止しようとする同僚たちと対峙していく』という非常に魅力的な内容の人気SFスリラー映画「インビジブル」(’00)の正式な続編にあたります。
前作はこちらから↓
前作では透明人間となる天才科学者を演じたケヴィン•ベーコン氏の鬼気迫る演技や、普通の人間が透明人間になる過程を「皮膚→筋肉→骨格→透明人間」と段階的に消えていくという斬新な映像技術もあり、ストーリー自体は少々ご都合主義な展開もありましたが個人的には相当面白かったです。
「俺は天才だ!お前ら凡人とは違う!」と常日頃から周囲を見下すプライドの塊のような主人公が透明人間になった途端、同僚の女性の胸を触ったり、無関係の女性を襲ったり、未練タラタラの元カノの情事を覗いたりと、透明になること、つまり人間と乖離していくことで己の変態性や異常性をさらけ出し、『本能赴くままの人間らしい人間になる』という皮肉が非常に滑稽で、これをまたスマートなケヴィン•ベーコン氏が演じているのが非常に良かったです。
そんな今作は前作から5年後が舞台となっており、人間を透明にする実験が再開しているという前設定があります。そのため物語の冒頭から正体不明の透明人間が登場し、『パーティー会場でどうやら因縁のありそうな科学者をとっ捕まえ、情報を吐かせて殺害する』という衝撃的な始まり方で視聴者の心を掴みます。
この透明人間の正体、そして政府の陰謀や様々な因果関係などが少しずつ明らかになっていくというサスペンス映画としての側面を持ち合わせており、前作とはまた違った面白さや魅力がありました。
前作で監督を務めたポール•バーホーベン氏は今作では製作総指揮を担当し、新たにクラウディオ•ファエ氏が監督に起用されています。同氏が発表している作品自体はそこまで多くないものの、最新の監督作となる「エア•ロック 海底緊急避難所」(’24)はかなり高評価のサメ映画のようなので配信が開始されたらさっそく見てみたいと思います。
ちなみに今作の脚本を担当したジョエル•ソワソン氏は「ドラキュリア」シリーズや「ピラニア リターンズ」(’12)など、B級ホラー映画の脚本を数多く手掛けており、私の大好きな「チルドレン•オブ•ザ•コーン」シリーズでは「ザ•チャイルド:悪魔の起源」(’10)にて監督•脚本を担当しています。
現在、今作前作共にU-NEXTにて配信中の他、アマゾンプライムにて両作とも100円でレンタルが可能です。
というのが冒頭から中盤までの流れになります。
いきなり透明人間による殺人シーンを見せることで視聴者を引き付けてから本題に入るという演出も素晴らしいですし、入り組んだ設定が無いのですんなりと作品の世界観に入り込めます。「この透明人間は何者なのか」や「なぜこんなことをするのか」など視聴者が気になって仕方が無いポイントを少しずつ明かしながら、透明人間による脅威を見せることも忘れていないなど抜かりがありません。
そして中盤以降は
といった感じに展開していきます。
『透明化した人間を用いて政敵を排除する』という軍の極秘計画である“サイレントナイト(静かなる騎士)計画”というネーミングセンスゼロの計画がありまして、表向きは国家安全のためと謳うも、その実は政府の役人を暗殺するというとてつもなく恐ろしい計画でした。
グリフィンを含めた3人がこの計画のために透明人間となりますが、その代償として緩和剤を打たなければ一ヶ月で死に至るという副作用のことは伏せられており、さらには国家機密であるその計画を外部に漏らすわけにはいかないため、一ヶ月経てばもう用済みとばかりに捨てられる運命だったわけです。
それを知ったグリフィンが脱走し、計画に携わっていた科学者を襲い、緩和剤を作っていたのがマギー博士であることを突き止め、狙い続けていたというわけです。
なもんで、グリフィンの犯行やら凶行は至極真っ当とまでは言えないまでも情状酌量の余地は十二分にあるのでもう少し救いのあるラストでも良かったのかなとも思いました。なんならグリフィン視点の物語も見てみたかったです。
おそらくは前作のヒットを受けて作られた続編なんだと思われますが、その割には予算が大分削られているように感じました。
大変申し訳無いんですけども、前作と比較するとキャストも明らかにスケールダウンしており、ストーリー自体もやや一本調子というか、面白いは面白いんですけど、諸々の設定も浅く、キャラクター個々の魅力だったりもグリフィン以外にはあまり感じませんでした。
そのため、終盤の『副作用で死ぬということを分かっていながら、フランク刑事が透明化する薬を自身に投与する』というシーンも本来であればめちゃくちゃカッコイイ!となるのかもしれません。なんですけども如何せんフランク刑事のキャラがそもそも薄く、死を受け入れる葛藤や覚悟のようなものが描かれていないので、出会ったばかりのマギー博士を救うため、ひいてはグリフィンの凶行を止めるためとはいえ、『自らの命と引き換えに透明人間になる』という決断が唐突に感じました。
全てはクライマックスの見せ場である『透明人間(グリフィン)VS透明人間(フランク)』を見せたいがための流れなので仕方がないんですけども、脚本の意図が見えてしまい少々冷めました。なんなら「透明人間にならなきゃ倒せないのか?」とすら思いました。
透明化したグリフィンはもちろん透明なので目視はできませんが、水を被ったりすると姿がくっきり見える他、血液などが付くとどこにいるかおおよその位置の検討がつきます。また、カメラ(通常のハンディカメラや赤外線カメラなど)越しだとその姿が映るため、軍もフランクもカメラ越しに辺りを見てグリフィンを探したりします。
どこからグリフィンが襲ってくるか分からないという緊張感や臨場感があり、この設定は非常に面白かったです。しかし、一番最初にこの『カメラ越しなら透明人間も見えますよ』という設定を見せるためのシーンが、若いカップルが性行為をビデオカメラに収めようとしているところに映り込むという、あいも変わらず覗きが好きだなとツッコミたくなる不要なシーンだったのが残念でした。
その後すぐにグリフィンを捕らえにきた軍のカメラに映るわけですから、何もカップルのハメ撮りビデオに映らなくてもいいと思うんですけどどうなんでしょう。やっぱりお色気シーンが欲しかったんでしょうか。
前作と比べるとどうしても物足りなさを感じますが、これはこれで面白いと思います。終わり方も少し切ない感じでとても良かったです。「続編あったんだ!」と言われがちな今作ですが、前作を楽しめた方には是非とも見ていただきたいです。
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もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓