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帰ってきてしまったエクソシストシャーク!緩い設定、露骨な尺稼ぎ!これだからサメ映画はやめられない!!「帰ってきたエクソシスト•シャーク」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(751日目)

「帰ってきたエクソシスト•シャーク」(2024)
ドナルド•ファーマー監督

◆あらすじ
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”あの”人喰い悪魔サメとの死闘が忌まわしい過去になったと思われていた頃、世界に恨みをもつ修道女たちがサタンに祈りを捧げ、ふたたび召喚したのは『究極の悪』である悪魔ザメだった!時空を超えて復活した悪魔ザメは、ビーチや湖だけでなく、所かまわず人々を襲うようになっていく。そんな中”究極の悪”を倒すと誓った一人の神父・ダニエルが、神の力を借りんとして十字架を手に立ち上がるのだがー
(https://landshark.crayonsite.com/p/71/より引用)
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『あの忌まわしい惨劇から数年…再びあの悪魔が蘇る!!ダニエル神父は弟たちの敵討ちとばかりに十字架一つで悪魔ザメに立ち向かう!』

という、もう見なくても分かるZ級サメ映画です。

タイトルに“帰ってきた”と付いていることからお分かりの通り、この作品は「エクソシスト•シャーク」(’15)という作品の続編にあたります。

前作はそのあまりにも酷すぎる内容や不要なシーンのオンパレード、そして「デビルシャーク」や「ジョーズvsエクソシスト」など色んなタイトルが付けられて、もはやどのタイトルが正式な邦題なのかも不明なことで一部界隈では有名な作品となっております。

簡単に前作の内容をまとめておくと

邪教に傾倒し多くの子供たちの命を奪った修道女•ブレアがある女性を殺害し、生贄として海に捧げたことで悪魔ザメが爆誕。人間に憑依する悪魔ザメから人々を守るために悪魔祓い初心者のマイケル神父が大いなる脅威に立ち向かう!

といった感じで、『悪魔祓いのやり方を本で学んだだけのポンコツ神父が弟の敵を取るために悪魔ザメに立ち向かうも返り討ちにされてしまう』というのが前作の内容です。

解決しているようで何も解決せず、かつ本編の7〜8割が本当にどうでもいいシーン(水着美女を盗撮するおっさんやポッと出の女子たちの降霊術、心霊系YouTuberとカメラマンのやり取り)で構成されているため、「手軽に虚無が感じられる映画」、「5時間にも6時間にも感じた」(実際の尺は70分)などある意味伝説となっています。

ちなみに余談ですが、“ホラーの帝王”でお馴染みのスティーヴン・キング氏は今作に対して「SHARK EXORCIST is a real movie」とSNSにポストしたことがあり、全サメ映画関係者、ファンに激震が走りました。なもんでその後は勝手に「スティーヴン・キングお墨付き!」や「あのスティーヴン・キングが認めた!」など名前を使われまくってます。

マイケル神父の初めての悪魔祓いは成功するものの、逆に取り憑かれてしまい、その後すぐに犬死します。(https://landshark.crayonsite.com/p/32/より引用)

一応“エクソシスト”と謳っているだけあって、悪魔祓いのシーンや本家リスペクトの嘔吐シーン等もたくさんあります。この前作に関しては現在アマゾンプライム、U-NEXT、ABEMATV、WOWOWにて配信されておりますので、年始早々自暴自棄になってしまった方はこちらを見て虚無を感じてチルしてください。

諸悪の根源であるブレアは神父との間に子供をもうけるも、その罰として子供を殺害される。そのショックから罪のない子供たちを次々と殺害し、世界を呪い、悪魔ザメを召喚しました。(https://landshark.crayonsite.com/p/32/より引用)

そして今作はおそらく前作から数年後を舞台としており、ポンコツなマイケル神父の兄であるダニエル神父が悪魔ザメに立ち向かうというお話になっております。

今作の凄いのはダニエル神父が悪魔祓いの経験があるということです。これは凄いアドバンテージです!作中何度も登場しては罪のない人々に襲いかかる悪魔ザメを十字架一つで追い払ってしまうので非常に頼もしいです。

めっちゃ活躍するダニエル神父(https://landshark.crayonsite.com/p/71/より引用)

悪魔ザメは前作で一度は封印されたのか眠りについたのか、とりあえずはいなくなったんですけども、今作ではリンダ・ブレアの姉である修道女•アンが妹の意志を継ぎ、再び悪魔ザメを復活させます。

このサメの厄介なのが、時空を越えてやって来たので前回のように人間に憑依せずともどこにでも現れることが出来ます。時空を切り裂いて出現する悪魔ザメとダニエル神父の壮絶な死闘、そしてその騒動に巻き込まれた女子2人、そしてめちゃくちゃバカンスに行きたいパーティーダンサーのケーシーがどうにかしてバカンスに行こうとするストーリーが交差していくのが今作です。

前作よりかは不要なシーンが減り、それなりにストーリーもあるので個人的には結構楽しめました。ぬるい演技と緩い設定で年末の疲れた体にはちょうど良かったです。

ジェサ•フラックス氏演じるケーシー(https://landshark.crayonsite.com/p/71/より引用)

ですが、どう考えてもケーシー関連のシーンは不要で、完全に尺稼ぎ要員のキャラです。しかしこのケーシーを演じているのは今作の脚本を担当したジェサ•フラックス氏です。つまり彼女は自らの意思で尺稼ぎのキャラクターを演じているわけです。それを踏まえたうえで本編を見てください。無駄だから飛ばそう等とは思わないはずです。

口が裂けても「まともな脚本書けばよくね?」等と野暮なことを言うのはやめましょう。

時空を切り裂く悪魔ザメ(https://landshark.crayonsite.com/p/71/より引用)

今作の監督•脚本を務めたドナルド•ファーマー氏は御年70歳の大ベテランで、「エクソシスト•シャーク」シリーズ以外はいわゆる単館上映的な国内のみで公開される映画を手がけております。70歳でこれだけエネルギッシュなZ級映画を生み出すわけですから、これからも精力的におバカな映画を発表して欲しいですね。

ドナルド•ファーマー監督(https://nobodystudios.com/?team=donald-farmerより引用)

あと書くほどのことではないかもですが、今作はクラウドファンディングによって制作費を調達して完成に漕ぎ着けました。そのためオープニングにおいてスペシャルサンクスという形でクラファンに参加した方々のお名前が表示されるんですけども、これがまぁ長いです。5〜6分はあります。しかもほぼほぼ日本人です笑

昨今は結果至上主義で狭苦しい世の中になっていますが、あんなにも無駄なものやバカなものを愛する同志たちがいることを知れてとても暖かい気持になりました。まだまだ世の中捨てたもんじゃないですね。次回は私も参加したいと思います!

そんな今作は現在DMMTVにて配信中のほか、各種サブスクにてレンタル(アマプラでは550円)もやっております。ですが年明けにはアマゾンプライムでも配信がスタートするそうなので、配信が待ち切れないZ級映画好きの方を除き、のっぴきならない事情が無い限りは配信を待った方が良いと思います。この作品をレンタルするためにお金を使うなら明日の初詣で使ってください。

Amazon.co.jpより引用

◇あの忌まわしい惨劇を人々が忘れ始めた頃、諸悪の根源である修道女•ブレアの姉であるアンは妹の意志を継ぎ、サタンに祈りを捧げ、再びあの悪魔の人喰いザメをこの世に復活させてしまう。時空を越えてやって来た悪魔ザメは水辺だけではなく、どこにでも現れて、辺り一帯を地獄絵図に変えてしまう。過去に悪魔ザメと壮絶な死闘を繰り広げて命を落としたマイケル神父の兄であるダニエル神父は悪魔ザメ復活を察知し、戦いに終止符を打つべく立ち上がるのだった…

というのが今作の細かめのあらすじです。

罪の無い人々を生贄に捧げるブレアの姉•アン(https://youtu.be/Y8360xI1hjM?si=89UXEQWYhLeKIYFqより引用)

前作においてブレアは戒めにと殺された自身の赤ん坊を生贄に悪魔ザメを呼び起こしたとされています。しかしその前作では赤ん坊ではなく、面識の無い訳知り顔の女性(もしかしたら神様的な存在かも)を殺害し、生贄として捧げております。

この時点で前作との矛盾が生じていますが細かいことを気にするのはやめましょう。

湖で優雅なひとときを過ごす母と娘はさっそくサメに狙われてしまい、無残にも母親は食べられてしまいます。残された娘はおそらく出演者かスタッフさんのガチ子供が演じているのか、ものすごく照れながら「ママ!どこに行ったの?」とボソボソ言います。とても初々しくて可愛らしいです。

そんなこんなで復活した悪魔ザメの存在をいち早く察知したダニエル神父は被害を食い止めるためにまずは遊園地を訪れます。きっと悪魔ザメの反応というか気配がしたのでしょう。

復活した悪魔ザメ(https://youtu.be/Y8360xI1hjM?si=89UXEQWYhLeKIYFqより引用)

同時刻に遊園地に居合わせた同性カップルのジェシカとオータムは、その後に訪れた湖で悪魔ザメに狙われるも駆けつけたダニエル神父によって助けられます。湖で襲われるなら遊園地のシーンは不要ですし、湖のシーンもスマホで撮影したかのような粗めの映像でオータムたちのサービスショットが差し込まれます。このあたりもZ級サメ映画ならではの仕様ですね。

その後、悪魔ザメ、引いてはアンのターゲットにされてしまったオータムは翌朝を迎えることなくサメに食べられてしまいます。その直前にオータムはサメと大型巨人が戦う夢を見るなどおそらくは霊感というか、波長が合ったのか、それで狙われたのかもしれません。なぜオータムだけが執拗に狙われたのかは視聴者も、おそらくは制作陣も分かってないと思われます。

あと、余談ですが終盤にも登場するナンパ男のチャドは声がめちゃくちゃガスガスです。

アンの迫力が凄まじいです。(https://youtu.be/Y8360xI1hjM?si=89UXEQWYhLeKIYFqより引用)

そして皆様お待ちかね!

バカンスにめちゃくちゃ行きたいパーティーダンサーのケーシーの一切本編とは関係の無いシーンがしばらく続きます。

理由は定かではありませんが彼女はデスティンビーチの高級ホテルに行きたがっていました。しかし夫が飲んだくれのヒモ野郎なので、仕方なく露出高めの衣装でパーティーダンサーとして日銭を稼いでいました。飲んだくれ亭主と罵りあったり、夫が催涙スプレーを自分の目に噴射して悶絶したり、目を洗うから水をくれというくだりを長々とやってたっぷり尺を稼ぎます。

その後は彼女に仕事を依頼した男性•クロードの自宅にて、デスティンビーチに連れてってくれとねだったり、山手線ゲームみたいな感じで映画トークを繰り広げたりと、これでもかと本編から逸脱します。

ですが先述した通り、今作の脚本を担当しているのはドナルド•ファーマー監督とケーシー役のジェサ•フラックス氏です。

騒動に巻き込まれるクロード(https://youtu.be/Y8360xI1hjM?si=89UXEQWYhLeKIYFqより引用)

その後、本当にデスティンビーチへ行くことになったケーシーとクロードが途中でお酒を買うシーンや、なぜか水族館を訪れたダニエル神父とジェシカが魚を見たりするシーン、そしてダニエル神父とシスター•ジェーンの会話(冒頭と同じ)などで再び尺を稼ぎます。

ちなみにおそらくですけど水族館のシーンは許可を取ってないっぽいです。普通にお客さんがたくさん横切ります。

音もなく忍びよる悪魔ザメ(https://landshark.crayonsite.com/p/71/より引用)

どう見ても湖にしか見えないビーチに到着したケーシーは「ここデスティンじゃないじゃん」と怒ったりしますが、とりあえず泳ぐことに。しかしそこへ突如ジェシカがやって来ます。

◇彼女によるとここはブラントンビーチという場所で、かつてあのブレアが生贄を捧げた場所だった。愛するオータムを失ったジェシカは自暴自棄になり、入水自殺を図る。それを必死に止めようとするクロード。そこへ突如として悪魔ザメが急襲!

という終盤の流れが個人的には相当ポイントが高かったです。

というのもこのビーチ(湖)で行われるケーシーたちとジェシカのやりとりが明らかに別撮りなんです。ジェシカに至ってはおそらく違う場所で撮影しています。そのため必然的に喋ってる方のみを映す単調な構成になり、ジェシカは誰にも止められずに湖に入って行きますし、クロードは誰もいない水辺で必死にジェシカを探します。

無名の役者ばかりなんだからスケジュールくらい合わせろよと言いたくなりますが、個人的には最高でした。

ケーシーを助けるダニエル神父(https://youtu.be/Y8360xI1hjM?si=89UXEQWYhLeKIYFqより引用)

その後、ダニエル神父がサメを撃退するも背後からアンに刺されて死亡。ケーシーは咄嗟に持っていた聖水をアンにぶっかけると彼女は溶けていき、また新たなサメが現れることを示唆して消えていきます。そしてあの声ガスガスのナンパ男チャドがやって来て、ケーシーはチャドと共にデスティンへと向かいます。

溶けていくアン(https://landshark.crayonsite.com/p/71/より引用)

その後、レポーターがビーチを歩きながら「この辺りも平和になりましたよ」等と喋りながら、オープニングに載せきれなかったクラファン参加者の名前がつらつらと流れて物語は幕を閉じます。

こんな見事なZ級サメ映画で今年を締めくくることが出来て良かったです。

最後に

今年1年もお読みいただき、お付き合いいただき本当にありがとうございました!

おかげさまで1日も休まずに記事を更新することができましたし、御縁がありましてオリジナルサメ映画のアイデアを寸評させていただくという僥倖にも預かれました。

これもひとえに読んでくださった皆様、スキやコメントをしてくださった皆様のおかげです!

来年も懲りずにおバカなホラーを中心に紹介していきますので気が向いたらまた読んでやってください。

どうか皆様も良いお年をお迎えくださいませ✨✨✨

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