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雪山に眠りしナチスゾンビ怒りの全員復活!くだらないのに異常な面白さとクオリティを誇る激アツおバカな低予算B級ゾンビ映画【ホラー映画を毎日観るナレーター】(728日目)「処刑山-デッド•スノウ-」

「処刑山-デッド•スノウ-」(2007)
トミー・ウィルコラ監督

◆あらすじ
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冬のバカンスを楽しもうと雄大な雪山を訪れたノルウェーの医学生8人は、山小屋の床下から偶然ナチスの隠し財産を見つけ、こっそり着服しようとする。すると凍土の中からナチス兵のゾンビ軍団が現れ、彼らに容赦なく襲いかかってくる。生き残った医学生らは無残に殺された仲間の復讐を誓い、ゾンビに熾烈な戦いを挑む。(映画.comより引用)
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『休暇を利用し、雪山を訪れた8人の医学生がその雪山に眠る最強最悪ナチスのゾンビ兵団と壮絶な死闘を繰り広げる』という、これぞアクションコメディゾンビ映画!と思わず叫びたくなる最高の低予算B級ホラーです。

脚本、カメラワーク、構成、ゾンビのビジュアル、俳優陣の演技etc…どれをとってもゾンビ映画としてのそもそものクオリティが異常なまでに高いです。キャストも無名ですし、低予算なので一部雑なCG合成もあるにはありますが、何十億の潤沢な予算を使った商業ゾンビ映画とも対等に渡り合える熱量と魂が籠もっています。何だったら今作の方が遥かに面白いです。

ゾンビのビジュアルが非常に良いんです!(Amazon.co.jpより引用)

いやぁついに来ましたね!私は前々からずっと配信を心待ちにしていた作品でした。

というのも、今作は2014年に続編として「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」が発表されているんですけども、アマゾンプライム等のサブスクではなぜかこの続編の方が先に配信されてまして、今作「処刑山-デッド•スノウ-」はずっとレンタル(440円くらい)でした。

続編から見ても内容は全然分かりますし、なんだったら1作目は前日譚くらいに思っても大丈夫だと思います。私はこの続編(「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」)が今まで見てきた数多くのゾンビ映画の中でも一二を争う程に大好きです。

手をかざしているのが両作で主人公を務めるマーティンです。演じたヴェガール•ホール氏は脚本としても加わっています。(続編のみ)「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」より(映画.comより引用)

◇前作で右腕を失うも命からがら雪山から逃げ果せた主人公マーティンは麓の病院でナチゾンビの親玉•ヘルツォーク大佐の腕を誤って移植され、コントロール不能の凄まじい力を手に入れてしまう。一方、大佐たちナチゾンビは腕を取り返すべく進軍を続けており、各地で破壊の限りを尽くしていた。マーティンは打倒ナチゾンビを掲げ、自称ゾンビハンターのゾンビスクワッドの面々、偶然付いて来たオネエ、そして復活させたソビエトゾンビの連合軍でナチゾンビとの最終決戦に挑む!

ざっくりとこんな感じのお話なんですけども、シーン展開もかなり多く、登場人物も「処刑山-デッド•スノウ-」より遥かに多いのに一人たりとも不要なキャラがいません。ゾンビ相手の派手な戦闘やアクションシーンも頻繁にあるうえ、どれも見応えがあってめちゃくちゃ面白いです。おそらくは予算も増えたのかシーン展開も多く、飽きさせない工夫がより施されています。

私の推しキャラ•オネエのグレン
何か大事なことを言おうとしたタイミングで殺されます。「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」より(映画.comより引用)

もちろん今作も登場人物は非常に魅力的ですし、十分に面白いです。1作目が良かったからこその潤沢な予算を確保しての続編ですから、今日視聴した1作目が無ければこの最高傑作は一生世にでなかったかもしれません。

ナチゾンビ軍団は道中で戦車まで手に入れます。「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」より(映画.comより引用)

そんな今シリーズで監督•脚本を務めたトミー・ウィルコラ氏はノルウェーの鬼才と呼ばれており、今作「処刑山-デッド•スノウ-」が長編映画初作品です。今作の発表後はタランティーノ監督の「キル・ビル」(’03)のパロディである「キルブル〜最強おバカ伝説〜」(’07)を公開し、いろんな意味で話題となりその名が知れ渡ったそうです。

その後はタイトルそのままの「ヘンゼル&グレーテル」というアクション映画を2013年に発表するんですけども、「キル•ブル」から6年もの間が空いているのは何か理由があったのでしょうか。

ちなみに「処刑山」は1、2作目とも脚本はウィルコラ氏と、メインキャラのベン役を演じたスティッグ•フローデ•ヘンリクセン氏が手掛けており、2作目のみ主人公マーティン役のヴェガール•ホール氏も加わっています。

マーティン率いるソビエトゾンビ軍団「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」より(映画.comより引用)

今作はアマゾンプライム、U-NEXTで配信中です。ちなみに続編の「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」はアマゾンプライム、U-NEXT、hulu、Leminoにて配信中です。どうぞ合わせてご覧になってください!オススメです!

「海に行けばよかった…」というバカ過ぎる文言が堪りませんね。(Amazon.co.jpより引用)

◇医学生なのに血が苦手なマーティンは友人たちと共に休暇を利用してオクスフィヨルドの雪山を訪れる。雪遊びを満喫する一同だったが、どうやらこの山はかつて暴虐の限りを尽くしたナチスの敗残兵が眠る呪われし地だという。その晩、友人の一人が小屋の床下から金銀財宝が詰め込まれた木箱を発見し、思い思いにお宝をポケットに詰め込む一同だったが、それはなんとナチスの隠し財宝だった。宝を奪われた怒りで目覚めたヘルツォーク大佐率いるナチゾンビ軍団は彼らから財宝を奪い返すべく容赦なく襲いかかってくる。一人また一人と死んでいく仲間たち。この状況を打破すべく、マーティンたちは武器を取り、ナチゾンビ軍団と死闘を繰り広げる。

というのが今作の細かめのあらすじです。

生首で発見されるクリス(Amazon.co.jpより引用)

今作は雪山を中心にストーリーが展開するので「絵変わりがあまりしないのでは?」、「白ばっかりになるのでは?」と色々気になってしまうところですが、そのあたりをうまいことを解消しています。

財宝を発見したせいでゾンビが復活するんですけども、それ以降は主に『彼女がいつまでたっても戻ってこないので捜索しにいくイケメンのベガ』、『籠城する主人公マーティンとロイ』、『逃げ出すハナとリブ』という大まかに3つのパートで展開していくため、ストーリーはしっかりと進みつつ、各々の話が見られるので飽きが来ません。

ベガは雪山を探索する中でナチゾンビのアジトを発見したり、ゾンビたちと肉弾戦を繰り広げますし、マーティンとベガは主におバカ担当なので火炎瓶を投げ損なって山小屋を炎上させたりと主に事起こし担当を担います。ハナとリブはそこまで見せ場があるわけでは無いんですけども、一旦いなくなってまたクライマックスに戻ってくるところが非常に肝となってきます。

最終的にこの3つがまた合わさってのクライマックスの最終決戦へと展開するので本当に理想的な構成になっていると思います。よくある薄っぺらいホラー映画なんかは今作から枝葉の増やし方や肉付けの方法といったストーリーの膨らませ方を学ぶと良いかもしれません。

ナチのゾンビ兵たち(Amazon.co.jpより引用)

また、ゾンビたちの設定や役割が明確なのも非常に良かったです。

過去にヘルツォーク大佐を筆頭に麓の村々で暴虐の限りを尽くしていた兵士たちは住民たちの恨みを買い、彼らから夜襲を受け壊滅状態。大佐を含む百数名がこの山まで逃げ果せるも無念のうちに凍死や餓死でこの世を去りました。

おそらくは住民たちから奪った大量の金品をある場所に隠しており、それをそのままにしていたのも心残りだったのかもしれません。しかしそんな事とは露知らず、その財宝を発見したマーティンたち。そんな彼らから財宝を奪い返すため、怒りの力でナチスの兵士たちはゾンビとして蘇ったのではないでしょうか。

元々が屈強な軍人だったうえ、超低温で保存されていたためか肉体の損傷がほぼないのでめちゃくちゃ元気ですし、腸はロープ代わりにも使えるので相当保存状態が良いんだと思います。身体能力も半端じゃないですし、1体1体が非常に強いです。ヘルツォーク大佐指示のもと行動しているようなので大佐が倒されると一気にパワーダウンするのかもしれません。

本作のラスボス•ヘルツォーク大佐(Amazon.co.jpより引用)

対ゾンビの戦闘描写も非常に秀逸で、ショットガンや包丁、ハンマー、チェーンソーなど定番の武器からスノーモービルのタイヤに巻き込んでミンチにするといった映像映えするものまで色とりどりです。

さらにはゾンビ側もただ噛み付くのではなく、普通に肉弾戦を仕掛けてきたり、顔面を握り潰したり、5人がかりで取り押さえて四肢をもいだりとかなりエグいです。先述した通り、低予算だし基本コメディなんですけどグロ描写がめちゃくちゃガチです。

クライマックスでは腕を噛まれてしまったマーティンが自らの腕をチェーンソーで切り離し、なお勇猛果敢に戦うも、振り回していたそのチェーンソーが偶然彼に駆け寄った恋人のハナに当たってしまい絶命。100%自分のせいにも関わらず、怒りの力で覚醒を遂げた彼でしたが圧倒的な数のゾンビに為すすべがなく、ベンと共に撤退を余儀なくされます。

この逃走中にベンが命を奪われ、財宝が回収されているのを見たマーティンは「宝さえ返せばやつらの怒りは収まるのでは?」と気づきます。焼け落ちた山小屋からあの木箱を取り出し、既のところで全ての宝をヘルツォーク大佐たちにお返しして、彼は命からがら下山しました。もちろんマーティンたちに宝を奪う気はさらさらなく、『なんで自分たちが襲われているのかも分からない』という状況から最後の最後で原因が分かり、騒動の収束を図るという流れも完璧でした。

その後は

下山後、呆然としながら車に乗り込み、ポケットから鍵を取り出そうとするマーティン。しかしポケットにはあの木箱に戻し忘れた金貨が1枚入っていた。気づいた頃にはもう手遅れ。車の外には怒りの形相のヘルツォーク大佐が立っており、車のガラスをぶち破り、マーティンに掴みかかるのだった…

という感じで物語は幕を閉じますが、この直後からの話が続編の「処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ」(’14)となります。

ジャージ姿がこんなにかっこよくキマってるジャケ写は今作が初かもしれません。(Amazon.co.jpより引用)

ベガがセルフで傷を縫合したり、マーティンが腕を切断して焼いて傷を塞いだりと、各々が医学生という設定が非常に活きてます。なんですけどもマーティンの血が苦手という設定がほぼ死に要素で序盤以降一切触れられてないのは少々勿体ないように思いました。

よくあるB級ホラーだとスルーされてしまいそうな如何にもなタイトルなんですけども、これは是非とも見ていただきたいです。私のイチオシシリーズです!

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もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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