愛され殺人ピエロの惨劇はここから始まった!人気シリーズのエピソード0的立ち位置のエログロ血みどろスプラッター「テリファー0」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(673日目)
「テリファー0」(2013)
ダミアン・レオーネ監督
◆あらすじ
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そのビデオは、絶対に見てはならなかった ハロウィンの夜。ベビーシッターのサラは2人の兄妹の子守りをしていたがハロウィンのお菓子の袋の中に見覚えのない古びたビデオテープを発見する。ビデオテープを見たいという子供たちの好奇心に押され渋々再生するサラだったが、その中にはあまりにも残虐な3つの物語が映し出されて――。ビデオを見終わった頃、家の中では奇妙な出来事が起き始め、全てはもう手遅れだった……。(Filmarksより引用)
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一体誰なのか、人間なのか化け物なのか、何のために存在し、何の目的があって人々を殺めるのか…
何一つ明かされることはなく、出会った人間を玩具のようにいたぶり、そして惨殺。彼からは絶対に逃げられない…
一言も喋らず、ただただ愉快に殺人を繰り返す神出鬼没の気狂いピエロ“アート•ザ•クラウン”
『ハロウィンパーティー帰りの女性2人を散々っぱらいたぶって殺害する』という荒唐無稽にも程があるエログロスラッシャー映画「テリファー」(’16)で強烈なインパクトを残した殺人鬼にして主人公のアート•ザ•クラウンが始めて登場したのが今作「テリファー0」になります。
正確には全ての「テリファー」シリーズで監督•脚本を努めているダミアン•レオーネ氏が2008年に製作した短編映画「The 9th Circle」に脇役としてほんの少し登場したのが始まりです。その後、視聴者の反応が最も高評だったのがこのアートだったため、2011年に彼をメインとした短編映画「Terrifier」を発表しました。
そして、これらの作品を視聴した映画プロデューサーのジェシー•バゲット氏から「オムニバス映画にしたらどうか」と打診され、2013年に今作「テリファー0」が誕生しました。
ちなみに原題は「All Hallows’ Eve」です。
レオーネ監督はそんなアート•ザ•クラウンについて
と発言しております。
ちなみに「テリファー」は日本では劇場公開が見送られたものの、各所的に話題となり、続編にあたる「テリファー 終わらない惨劇」(’22)の劇場公開に合わせて、2週間の限定上映が行われました。
私は1作目が特にお気に入りでして、「不気味なピエロ男がただただ人を殺す」というストーリーもへったくれもない内容に激しく心を掴まれました。そのため続編の「終わらない惨劇」も非常に楽しみで、公開されてすぐに見に行きました。
この続編も面白いは面白いんですけど、自分の中でのハードルが上がりきっていたこともあり、前作よりも映画映画しちゃってると言いますか、被害者側にアイデンティティがちゃんとあるので感情移入できてしまうし、最後は主人公が弟を守るためにワンダーウーマンみたいになるというエンタメ展開に少々冷めてしまい、イマイチ乗り切れませんでした。
そして!
この度、クラウドファンディングを募ったことで予算も十分に確保し、満を持しての3作目「テリファー 聖夜の悪夢」が11月29日から全国公開されます。アメリカでのプレミア上映では『11人途中退席、一人嘔吐』という結果になったそうで、これはもう楽しみにするなと言う方が無理ですね。
おそらくこの最新作の公開に合わせて「テリファー0」も視聴できるようにになったんだと思われます。現在アマゾンプライムにて440円でレンタルが可能です。
言うなれば「テリファー」シリーズのパイロット版のような立ち位置の今作ですが、オムニバス形式のホラー映画としてしっかり楽しめる完成度を誇っています。
◇ハロウィンの夜、留守番中のティアとティミー、そしてシッターのサラはお菓子の袋に入っていた怪しいVHSを見つける。好奇心に負けてそのVHSを再生したが最後、彼女たちはとてつもない恐怖に見舞われることになる
というプロットの中で、VHSに収録されている3つのお話が展開されます。
その一つ一つの話の合間で、サラが「残酷だから見ちゃダメ」とテレビを消して子どもたちを寝かしつけたり、でもやっぱり気になってこっそり見続けたり、家の中で様々な異変が起きたりと現実世界の方でもストーリーが進んでいく仕様になっており、三本目まで見終わったところでとてつもない惨劇が待ち受けております。
一本目 「The 9th Circle」
◇ハロウィンの夜。レルムズヴィル駅の待合室で電車を待っていたケイシーは突如現れたアートに注射を打たれ眠らされ、拉致されてしまう。目が覚めるとそこは地下のような場所。自分と同じように連れてこられたサラやクリステンと脱出を試みるも、次々と恐ろしい出来事に見舞われてしまう。
これが本当のアートの初登場作品です。後の「テリファー」シリーズに比べるとメイクなどが少々ショボめではあるものの、やはりインパクトが強過ぎます笑
映画自体が20分程なうえに、醜悪な大男や悪魔崇拝の不気味な儀式など悪夢のように次々と恐ろしい展開がポンポンと繰り広げられるため、ストーリーが些か抽象的です。そのため必然的に一番最初に登場したアートが印象に残りやすいのもあるかもですが、やはりシンプルかつ不気味なビジュアルは鮮明に記憶に残ると思います。
二本目 タイトル不明
◇画家の夫ジョンと妻のキャロラインは郊外の一軒家に越してきたばかり。ジョンの留守中にキャロラインが荷解きをしていると突然家の近くで何かが墜落したような大きな音が聞こえ、停電が発生する。ブレーカーを探すキャロラインは家の中に忍び込んだ何者かに突如として襲いかかられる。
これはちょっと微妙でしたね。ほとんどアートも関係ないですし、宇宙人とキャロラインが家の中を追いかけっこするだけのお話でした。宇宙人の見た目は、身体にガチャガチャと管を付けて、顔は宇宙人(グレイ)のお面を被っているだけなので人間なのが丸わかりです。それっぽいBGMやゆったりとした動きでうまいことカバーしてますが、この話は他の2本と比べると薄味でした。一応、『ジョンが無意識に描きあげた絵が巨大なアートの顔だった』という取って付けたようなオチがありました。
三本目 「Terrifier」
◇深夜のガソリンスタンドを訪れた女性は不気味なピエロの格好をした男が店員に怒鳴られながら追い出されているところを目撃する。どうやらトイレを糞便まみれにしたらしく店員の男は怒り心頭。主人公には親切に接客し、道案内までしてくれていたが、誰もいないはずの店内から物音が。様子を見に行った店員がいつまでも戻ってこないことを不審に思った主人公が店内に入るとそこには惨殺された店員の生首を切り落とすピエロ男がいた。
「テリファー」(’16)に通ずる無茶苦茶なプロットで一番面白かったです。最終的に主人公はアートに拉致され、目を覚ますと手術台に寝かされており、自分の四肢が切り落とされていることに気付き絶叫。横では返り血を浴びたアートが笑いながら佇んでいる、というオチが気持ちよかったです。これくらい何の脈絡もない理不尽な展開の方が個人的には好みですが、流石にカルト過ぎると言うか、商業的にはテリファー2作目の「終わらない惨劇」が正解なんだと思います。
全てを見終えたその時、テレビの中からアートが出現。現実には見えないものの、テレビに映るサラに迫りくる。慌ててテレビを消し、デッキからテープを取り出すとアートの姿は消えており一安心。かと思いきや2階から子どもたちの悲鳴が。急いで駆けつけるとそこには血まみれのアートが佇んでおり、部屋の中には姉弟の生首が転がっていた。壁には血文字でアートの名が刻まれていたのだった。
というところで物語は幕を閉じます。
非常にバランスの良いオムニバスかつ、ただの寄せ集めではなくて一つの作品の中に「ビデオテープを再生する」という形で複数の作品を織り込むというのはすごく良いアイデアだなと思いました。
「テリファー」シリーズのファンならば必見のパイロット版でした。面白かったです!
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
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