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インド初!おバカで陽気なゾンビ映画!歌って騒いでふざけ倒す怒涛の100分!無駄に長いけど面白いから仕方がない「インド・オブ・ザ・デッド」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(759日目)

「インド・オブ・ザ・デッド」(2013)
クリシュナ•D•K監督
ラージ•ニディモル監督

◆あらすじ
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“ヒッピーの聖地”と呼ばれるビーチリゾート•ゴアにやって来たハルディク、ラヴ、バニーの青年3人組は、離島で開催されるロシア人マフィア主催のパーティに潜り込む。ところが、飲んだ者がゾンビ化する新型ドラッグにより、会場はゾンビだらけになってしまう。金欠でドラッグを買えずゾンビ化を免れた3人は、ホラー映画で得た知識とゲームで鍛えた射撃能力を頼りにピンチを切り抜けようと奮闘する。(映画.comより引用)
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『離島のパーティー会場を訪れた冴えない三人組がゾンビパニックに巻き込まれ、美女やロシアンマフィアと協力して島からの脱出を目指す』

というゾンビパニックものの王道展開を押さえながらも、インド映画らしい陽気な雰囲気やミュージックビデオのような歌ベースのシーンの多さ、アクションとコメディのバランスも良くてめちゃくちゃ面白かったです。

今作のヒロイン•ルナ(映画.comより引用)

エンディング等も含めると110分弱とこの手の映画にしては少々長いようにも思います。実際、冒頭の15分くらいや中盤のどうでもいいやり取り、ミュージックビデオみたいなシーン等、削ろうと思えば削れる部分もあるにはあります。なんですけどもそういうくだらないシーンがあるおかげで登場人物の魅力が伝わり、愛おしく思えてきますし、何よりも面白いので全然不要だと思いません。

また、全体通してめちゃくちゃテンポが良くて長さを感じませんでした。この映画はこの尺のままで全然良いと思います。

メインの冴えない三人組(左からラヴ、ハルディク、バニー)(映画.comより引用)

基本的にはゾンビコメディなので勢いで突っ走るんですけども、緩急の付け方が絶妙でストーリーや設定を理解する間も与えてくれますし、要所要所で派手な戦闘シーンを入れてくれるので飽きが来ません。

そしてゾンビのクオリティ自体は普通ですが人数が多いのでかなり迫力がありますし、ガンアクションは相当レベルが高いです。車で次々とゾンビを撥ねるシーンなんかも爽快感があって良かったです。

ゾンビになってしまった人々(映画.comより引用)

今作は“インド初のゾンビ映画”として知られ、おそらく脚本や撮影も試行錯誤の連続だったと思われます。しかし批評家からの評価は概ね高く、「インド・オブ・ザ・デッドを観た後は、それ以前と明らかに何かが変わります」、「それは楽しく、シャープでスマート、そして不敬です。私たちの聖人ぶった外皮を強く押してきます」等のコメントが寄せられました。

観客の評価も非常に高く、それに伴い続編の製作が2019年に発表されたものの、キャストのスケジュールが合わず延期となり、その後再びプロジェクトは動き出したものの新型コロナウイルスの影響もあり頓挫。現在は2023年に公開予定と発表されたまま情報の更新がストップしています。いつか公開されることを信じて気長に待ちたいと思います。

そんな今作は騒動に巻き込まれる冴えない三人組(ラヴ、ハルディク、バニー)が主人公格として動き周りますが、一応主演はロシアンマフィアのボス•ボリス役のサイーフ・アリー・カーン氏で、製作としても今作に関わっています。

カーン氏演じるロシアンマフィアのボス•ボリス(映画.comより引用)

数多くのインド映画に出演している実力者で、日本での知名度はそこまでかもしれませんが、インドでは知らない人はいないくらいの超売れっ子俳優です。カーン氏はそれまでゾンビ映画に出演したことがなく、クリシュナ監督からは役作りとして「ゾンビサバイバルガイド」を渡されたそうです。

※ゾンビサバイバルガイドとは

2003年に出版されたゾンビに関する架空の サバイバルマニュアルで、ゾンビの生理学や行動、防御戦略や戦術に関する情報が含まれており、歴史上起こりうるゾンビの発生事例も含まれている。架空の主題にもかかわらず、この本には災害への備え全般に関する実用的な情報も含まれている。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/The_Zombie_Survival_Guideより引用

また、メインキャストの一人であるハルディク役のクナール•ケーム氏も今作の脚本に携わっていたため、色々とアイデアを提案したそうです。

サイーフ・アリー・カーンWikipediaより引用

今作の監督•脚本を務めたクリシュナ•D•K氏とラージ•ニディモル氏はいつもタッグを組んで映画製作を行っており、今作意外の作品はおそらくインド国内のみでの公開となっていると思われます。

ちなみにクリシュナ監督は物語の終盤に登場する『テントに隠れていたけどバニーのせいでゾンビに襲われちゃうおじさん』の役でカメオ出演しており、冒頭に登場するラヴの恋人役は主演のサイーフ・アリー・カーン氏の実妹であるソハ氏です。

ソハ氏の出演シーン(https://youtu.be/YRFA9ZW2XKY?si=5pJZG957NHkb7DeYより引用)

あと余談ですが、一般的に映画のDVDの特典というとメイキング映像や監督•出演者のインタビュー映像等が挙げられますが、今作はミュージックチャプター(歌メインのシーンのチャプター)や劇中歌を日本語カバーした「血塗れブラッディマンデー」をザ・キャプテンズさんが歌うMVが収録されています。この辺りも絶妙にフザケていて良いですね!

そんな今作は残念ながら現在サブスク等での配信がないようです。個人的にはめちゃくちゃオススメなのでアマプラなどで配信やレンタルが始まりましたらまたアナウンスさせていただきます。

ちなみに原題は「GO GOA GONE」ですが、個人的にはインド・オブ・ザ・デッドの方が好きです。あと「きっと、うまくいかねぇ!」の文言がいい味出してますね。(https://www.cinematoday.jp/movie/T0019880/photo/T0019880q1より引用)
この滲み出るおバカ加減が堪りませんね。(https://www.cinematoday.jp/movie/T0019880/photo/T0019880q1より引用)

◇失恋したラヴと職場でやらかしてクビになったハルディクのダメダメおじさんコンビは優秀なルームメイトのバニーが“ヒッピーの聖地”ゴアに出張すると聞いて、強引について行く。リゾートを満喫する彼らは近くの離島でロシアンマフィア主催のレイヴパーティーがあると聞きつけ参加するも、そこで初披露となった新種ドラッグは接種した者をゾンビ化させてしまう恐ろしい代物だった。たまたまお金が無くて買えなかった三人はそのまま朝を迎えるも、周囲はゾンビだらけの地獄絵図。彼らは現地で知り合った美女•ルナやロシアンマフィアのボス•ボリスらと共に島からの脱出を図る。

というのが今作の細かめのあらすじです。

ダメダメおじさんコンビのハルディク(左)とラヴ(右)。明らかにマイケル・ジャクソンのスリラーのMVをパクったやつを見ています。(映画.comより引用)

冒頭からの15分は『プロポーズしようとしていた彼女が実は二股をしており落ち込むラヴ』や『いい感じの同僚と職場でおっぱじめようとしたら上司に見つかり仕事をクビになるハルディク』等の正直無くても成立するシーンが続きますが、先述した通り普通に面白いですしテンポが良いので全然見れます。

ちなみにハルディクは上司に見つかるまいと逃走した際に腕を骨折しますが、ゴアに到着した頃にはギプスが外れています。

ゴアを満喫する3人(https://youtu.be/YRFA9ZW2XKY?si=5pJZG957NHkb7DeYより引用)

ルームメイトで巻き込まれ体質の真面目人間バニーについて行く形で3人はゴアに到着。そこでロシアンマフィアが主催する離島のレイヴパーティーに参加して羽目を外し倒しますが、初お披露目の新作ドラッグは手に入れることが出来ず、ラヴは一目惚れしたルナを口説き落とすのに失敗。ハルディクはしっかりワンナイトを決め込み、バニーはビーチで朝まで同じ女性を口説いていました。

朝を迎えた彼らは突如ゾンビ化した人間に襲われ、戸惑いながらもとりあえずは山頂のコテージに宿泊していたルナを救出。その後、ゾンビに囲まれるもロシアンマフィアのボス•ボリスと側近の屈強な大男•ニコライに救われます。

めちゃくちゃどうでもいいんですけど、一番最初にゾンビに襲われるロシアンマフィアが坊主で後頭部だけロン毛のドレッドヘアーという奇抜な髪型なのが印象に残りました。
(https://youtu.be/YRFA9ZW2XKY?si=5pJZG957NHkb7DeYより引用)

以降は島から脱出するためにボートを奪取しようとしたり、日が暮れる前に避難しようと屋敷に宿泊するもゾンビ1体に大騒ぎしすぎた結果、大量のゾンビに取り囲まれたり、ゾンビのフリをして逃げようとするも失敗して普通に走って逃げたりと、アクションとコメディのバランスが非常に良く、この中盤も一切ダレることがありません。

ちなみに一行が屋敷に宿泊した際にラヴとハルディクが別々にルナを口説こうとするも失敗するシーンは明らかに不要ですが不要すぎて逆に面白かったです。

あと、後にゾンビとなる女性と性行為に及んだハルディクももしかしたら感染してるのではないかとボリスにめちゃくちゃ疑われて、正常であることを証明するために国の首都を尋ねられるも普通にバカすぎて知らなかったせいで殺されかけるシーンなんかも相当良かったです。声に出して笑いました。

“意外と”と言ったら失礼かもですが、感染を疑われるくだりやどうやって倒すかや危機を乗り越えるかを話し合うなどゾンビ映画の定番をしっかり押さえています。

映画.comより引用

今作のゾンビはいわゆるオールドスタイルの走らないゾンビで、ボリスたちが作り出した新種ドラッグ“D2-RF”があまりにも刺激が強すぎたために身体が耐えられず、脳の一部を除いて機能が停止したことでゾンビパンデミックを引き起こしてしまいました。飢えが増すとさらに凶暴化するらしく、ドラッグを接種した翌朝よりも夜や翌日と時間の経過とともに動きが活発になっていました。

映画.comより引用

ボリスたちもこんなことになるとは当然思っておらず、部下もニコライ以外は全滅してしまいました。ですが特に申し訳ないみたいな気持ちは無いようで、ラヴたちを屋敷に避難させたタイミングで姿を晦ませたのも大量のコカインを回収するためで、基本的には自身の命と金を優先します。

なんですけども終盤でニコライがゾンビに噛まれた際は命を奪わず、酒を渡して車から降ろし、今生の別れを告げるなど部下思いの一面を見せることもあります。クライマックスではゾンビ化したニコライを何の躊躇いもなくバズーカで吹き飛ばしますが…

冷酷な一面もあるボリスですがなんだかんだで面倒見が良く、ラヴたちにも武器を分け与えますし、助けてくれるのでただの悪人というわけでもなさそうです。「弾は貴重だから原則一発一殺」と言ったそばから、ラヴたちが大騒ぎしながらゾンビ1体に銃を乱射してボリスがブチギレるシーンなんかも面白かったです。

実はインド人であることが発覚するボリス(https://youtu.be/YRFA9ZW2XKY?si=5pJZG957NHkb7DeYより引用)

物語の終盤では一行とはぐれたバニーがゾンビに追い詰められ、たまたま近くにあったコカインの乗った皿を投げたらなぜかゾンビの動きが止まったことから奇跡的にゾンビの倒し方を発見します。一応、薬物同士のチャンポンによる強烈な副作用という理由もあります。

ビーチで大立ち回りを広げるボリスたちもそれを知り、泣く泣く大量のコカインを袋ごと空中にぶん投げてショットガンで撃ってゾンビを一気に行動不能にして倒すのも爽快感がありました。 

ラストは『一行はボートでゴアに上陸するもすでにゾンビによって壊滅状態となっており、彼らは再び銃を構える』という定番の“俺たちの戦いはこれからだ”ENDがビタッとハマってました。ちなみにエンディングの映像がめちゃくちゃサイケデリックで酔いそうになるのでお気をつけください笑

ビーチがべらぼうにキレイですね。(映画.comより引用)

最後の最後まで楽しませてくれるおバカなゾンビ映画でした。これはめちゃくちゃオススメです!配信などで見つけた際には是非ご覧になってみてください。

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