今度の怪物は屁で空を飛ぶ!?愛されまくりのB級モンスターパニック映画第3弾「トレマーズ3」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(651日目)
「トレマーズ3」(2001)
ブレント•マドック監督
◆あらすじ
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地底怪物グラボイズ退治の達人として知られるようになったガンマニアのバートは、アルゼンチン政府から依頼された変異種シュリーカーの駆除任務を終え、砂漠の町パーフェクションに戻る。かつてグラボイズが出現した町には観光客が詰めかけていた。そんなある日、体験ツアーの最中に本物のグラボイズが出現し、観光客を食べてしまう。早速バートはグラボイズ退治に乗り出すが、空を飛ぶことのできる新種アスブラスターと遭遇する。(thecinema.jpより引用)
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『平和が訪れたはずの田舎町パーフェクション。そこへまたあの巨大生物グラボイズが出現!もはやシリーズ常連の名物親父バートと町の人々が再び奴等を迎え撃つ!』という内容のモンスターパニック映画となっております。
B級映画の中でもとりわけ秀でている「トレマーズ」シリーズの3作目にあたり、今作では1作目の舞台である砂漠地帯の田舎町パーフェクションが再び舞台となっています。
1作目↓
2作目↓
記念すべき1作目(’90)は興行収入的にはイマイチだったものの、ビデオの売り上げが好調だったことから2作目(’96)の製作へと繋がりました。
しかし、2作目は予算の削減や主演のケヴィン・ベーコン氏の出演が叶わない等の事情から一時は製作中止となりかけましたが、一部の出演者やスタッフがギャラの値下げを申し出て中止を阻止するという涙ぐましいエピソードを経てのビデオ販売、評判も上々で後に劇場公開まで勝ち取りました。
そして3作目となる今作は具体的な数字は出ていないものの、さらに予算が削減されたことでビデオ販売のみに留まりました。1作目の主人公バル役を務めたケヴィン・ベーコン氏も、1.2作目の主人公アール役を務めたフレッド・ウォード氏も出演は叶わず、今作は両作に出演した名物キャラであるマイケル・グロス氏が演じるガンマニアのヒゲ親父バート•ガンマーを主人公に据えております。
さらには1作目の登場人物が同じキャストで再び登場しており、監督は1.2作目で脚本を担当したブレント•マドック氏、脚本は前作で監督を務めたS・S・ウィルソン氏、製作はS・S・ウィルソン氏と前作から引き続きのナンシー•ロバーツ氏という布陣で、「あんたら、この映画どんだけ好きなんだよ!」と言いたくなるほどに出演者、スタッフのこの作品に対する思い入れや愛を感じられます。
実際、本編も「この作品やシリーズを好きな人たちが作ったんだな」というのが分かる内容になっており、予算の都合から規模は縮小しているものの、やれる範囲でしっかりと「トレマーズ」シリーズの良さを伝えてくれております。
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◇グラボイズ退治で名を挙げていたバートはアルゼンチン政府からの依頼であるシュリーカー変異種の駆除任務を終え、砂漠地帯の田舎町パーフェクションに帰ってきた。パーフェクションはグラボイズを利用して観光地化しており、ジャックは観光客相手にグラボイズに遭遇するというヤラセのツアーを行って小銭を稼いでいた。しかし、そこへ本物のグラボイズが再び出現。バートは町の人々と協力してグラボイズ退治に乗り出すも、シュリーカーの変態種であるアスブラスターまで現れ、町はパニックに陥る。バートたちは町の平和を取り戻すことができるのか…
という流れになっており、起承転結がこれでもかとはっきりしているので誰が見ても理解できるし楽しめる内容になっていると思います。
主人公のバートは相変わらずおっちょこちょいな部分もありますが、大量の銃火器を駆使してグラボイズたちをガンガン倒していくのが非常に渋くて頼もしく、かっこいいです。相棒ポジションのジャックは少々キャラ薄めではあるものの、意外に機転が利くため、何度もバートのピンチを救います。
『前作までのようなヒロインらしいヒロインがいない』という点で少々物足りなく感じましたが、よくよく考えるとバツイチの中年ヒゲオヤジが主人公なのでラブロマンスが無いのも致し方無いです。代わりにジャックと小売店のジョディが良い感じになりますが、本編においてはそこまで重要な部分ではなかったです。
1作目に登場したパーフェクションの住人たちが再び登場しており、真面目でしっかり者のお母さん•ナンシー(演:シャーロット•スチュワート)、ちょっと反抗期なお年頃になったナンシーの娘•ミンディ(演:アリアナ•リチャーズ)、太っちょヒゲオヤジのミゲル(演:トニー•ジェナロ)、トラブルメーカーのメルビン(演:ロバート•ジェーン)の計4名が11年ぶりに同じ役を演じており、ファンとしては嬉しさとともにエモさを感じます。
そして、クリーチャーに関しては1作目から引き続きのグラボイズ(今作では振動や熱ではなく電波を感知する突然変異個体であるエル・ブランコと呼ばれるグラボイズも登場します)
2作目に登場した鶏のようなフォルムのシュリーカー
そして、今作で新たに登場したのがアスブラスターです。
成熟したシュリーカーが脱皮をして変態した姿で、グラボイズに似た頭部を持つ鳥型の形体で、シュリーカー同様に熱で獲物の位置を捕捉します。尻から噴出される可燃性物質の爆発力で飛び上がり、羽を広げて滑空するように移動します。アスブラスターという名前の由来は『ass(尻)+blaster(火器)』で、作中でジョディが勝手に名付けただけであって正式な学術名等は明らかになっておりません。ちなみにジャックからはケツ噴射野郎とも呼ばれています。
グラボイズの卵を体内に保有しており、空を飛んで遠くへ移動することで各地に卵を産み落としグラボイズの分布図を拡大しているようです。そのため2作目のメキシコや今作の冒頭でアルゼンチンにグラボイズが出現したのはアスブラスターの仕業だと思われます。ちなみに今作から急にグラボイズは地上最古の希少種であり、絶滅危惧種だから絶対に殺しちゃ駄目だと内務省の役人たちから釘を刺されますが、全然殺します。
『屁で空を飛ぶ』というバカバカしさや、『空から襲ってくる』という攻撃方法は中々に迫力があって魅力的でした。しかし、2001年というCGがまだまだ粗かった時代の作品であるため、正直なことをいうとクオリティは低かったです。グラボイズやシュリーカー同様にフルサイズの人形を使用したシーンと比較すると、その差は歴然でこの点だけどうしても気になってしまいました。
アスブラスターの“可燃性の物質が体内にある”という特性を逆手に取り、物語終盤では『鉄パイプや布やアルコールで手製の銃のようなものを作り、火矢を飛ばして爆発させる』という方法で倒していく展開も迫力があって非常に盛り上がりますし、電波を発するバートの腕時計をアスブラスターに貼り付けてエル・ブランコに襲わせて窮地を脱するというクライマックスは前作よりも見応えがありました。
『エル・ブランコをあえて生かして、パーフェクションを保護区にして皆で平和に暮らす』という終わり方もこのシリーズらしくてとても良かったです。
予算が削減されようが規模が小さくなろうが、その作品を好きな人が集まると良い映画が作れるんだなとお勉強させていただきました。B級感たっぷりで私好みの一作でした。オススメです!
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