のびしろ無限大!巨大ワニさんが披露宴会場で大暴れするだけの超絶B級ワニ映画「クロコダイル•パニック 殺戮の披露宴」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(674日目)
「クロコダイル•パニック 殺戮の披露宴」(2022)
ポール•W•フランクリン監督
◆あらすじ
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なぜここに人喰いワニが…そんなことより逃げろ!新婦のリサと新郎のチャーリーは、結婚式を挙げるため人里離れた田舎町の屋敷を借り、前日から親族や友人たちと過ごしていた。よく晴れた当日、ガーデンウェディングの真っ只中に突如として現れたのは、なんと巨大な人喰いワニ。参列者たちが次々と襲われるなか、新郎新婦と数名はなんとかしてワニを振り切り、屋敷に籠城することに成功。ただし、電話もインターネットもつながらず、ワニに対抗できるような武器もない。さらにここに来て新郎の浮気が発覚し、仲間内に大きな亀裂が。この状況で本当にワニの恐怖から逃れられるのか…。(Filmarksより抜粋)
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もう本当にタイトルそのままなんですけど、
『結婚式場に乱入してきた巨大ワニが次々と参列者を襲っていく』
という、それ以上でもそれ以下でもないB級ワニ映画です。
ストーリー自体は非常にシンプルかつ一本道なので、特段目を見張るようなハラハラドキドキの展開はないんですけども、籠城中に新郎の浮気がバレて仲間内に亀裂が生じたり、新婦の父親が元傭兵のムキムキ親父なのでめちゃくちゃ強かったり、無駄に濡れ場が多かったりと、見所であるワニ以外の部分である程度楽しめる仕上がりになっております。
映画サイトなんかの評価を見ると軒並み星1〜2くらいですし、私も正直それくらいだろうなとは思います。ですが、「毒にも薬もならないどうでもいい内容の映画をダラダラと見たいな」という時にはもってこいの作品かもしれません。年に一回くらい“時間を思いっきり無駄遣いしてやろう”みたいな気分の日あるじゃないですか。そういう自暴自棄なタイミングで見ると案外ハマるのかもしれません。
裏を返せば、正常な判断がつく時に見てしまうから低評価を付けてしまうのではないでしょうか。
監督•脚本を務めたポール•W•フランクリン氏は今作が長編映画初挑戦のようです。同じ年に日本では未公開の「Beneath the Surface」(’22)というサメ映画の脚本に名を連ねていますが、それ以外に目立った活動はないようです。また同じテイストのB級モンスターパニック映画を生み出して欲しいですね。
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冒頭のつかみからなんだか上手くいってないなという印象でした。
大体この手のモンスターパニック映画のつかみって『これから何かしらのヤバいことが起きますよ』ということさえ分かればいいので、極論を言えば、脅威さえ伝われば、そのメインとなるモンスターの姿はシルエット程度、あるいは見せなくてもいいんじゃないでしょうか。
『何かに追われている様子の負傷者。なんとか逃げ切ったかと思いきや、その何かに無残にも食い殺されてしまう』くらいシンプルなものでも、それ以降の本筋がしっかりしており、モンスターが怖ければ、映画としては十分に成立すると思います。
今作の冒頭を見てみると
『結婚式場として貸し出している広大な敷地の片隅でイチャつく一組のカップル。夜も更けた頃、尿意を催した彼氏はテントの側にある廃屋の壁に向かって用を足す。すると突然巨大なワニが出現。彼氏を一瞬にして屠り、異変に気づき逃走した彼女も、待ち構えていたそのワニによって亡き者とされてしまう』
という感じで長ったらしいです。
あまり緊張感や臨場感もない上に、肝心のワニのクオリティも「2022年でこれかぁ」と少々げんなりしてしまう出来のCGワニです。にも関わらず、この冒頭部分でがっつりその姿を見せてしまっているので、おそらくはこの辺りで冷めてしまい、見るのを辞めてしまう人もいるのではないでしょうか。ワニのクオリティによっぽどの自信がない限りは、せめて『もったいぶってまだ見せない』という方を選択しても良かったのではと思います。
本題に入ってからは
◇チャーリーとリサの結婚式前日、友人たちが次から次へと会場に集まってのどんちゃん騒ぎ。そのタイミングで新郎のチャーリーが前々から狙っていたジョージとこっそり抜け出し、近くの廃屋で行為に勤しんでいたところ、突然ワニに襲われ、逃げ遅れたジョージは無残にも食べられてしまう。逃げおおせたチャーリーは自身の浮気がバレることを恐れ、何事も無かったかのように式当日を迎える。しかし、式の最中にあのワニが再び出現。参列者に次から次へと襲いかかり、皆散り散りとなってしまう。
といった感じで展開していきます。
流れ自体は普通に面白いんですけど、登場人物が揃いも揃って無個性なうえに会話の中身がないのでかなり退屈です。元傭兵で今は反密猟活動を行っているロン毛のイケおじ•ディラン(新婦リサの父親)が唯一個性盛り盛りだし、最後まで活躍してくれますが、それ以外のキャラが壊滅的でした。
屋敷に籠城してからは『チャーリーの浮気が速攻バレてしまい険悪になる』というもうひと展開が巻き起こりますが、ただ険悪なムードになるだけで、別にその後仲直りすこともなければ、チャーリーに天罰が下るわけでもないので中途半端でした。チャーリーが体を張ってリサを守るとか、チャーリーだけめちゃくちゃ残酷な死に方をするとかそういうくだりがあっても良かったと思います。
というかそもそもワニ自体が巨大といっても普通よりちょい大きめサイズだし、凶暴ではあるものの動きも遅いので余裕で走って逃げられます。“逃げられない状況”や“ワニに有利な環境”みたいなのがもっと分かりやすいとより面白くなったかもしれません。
一番の見所でもあるワニのクオリティがあれならば、いっそのことおバカな方向に舵を切って、思いっきり低クオリティにしてしまうのも一つの手だと思いました。
『ストーリーもつまらないし、意味のない会話ばっかりだし、肝心のワニの部分でこんなにも手を抜いているくせに、登場人物たちはめちゃくちゃ真面目にワニから逃げ惑う』
という、“あんなチープなワニに真剣に怯えてらぁ”みたいな構図はおバカなB級映画としては一つの正解だと思いますし、こっちのほうがワニ以外のゴタゴタの展開が活きてくると思います。出演者の棒読みや意味のないセリフのやり取りなど本来であればマイナスの要素も笑いとして受け取れるので、今作の出来から言うとまだこっちの方向性のほうがマシかもしれません。
めちゃくちゃハイクオリティなワニが登場するモンスターパニック映画
あるいは
超絶チープな玩具や安っぽいCGのワニしか登場しないおバカなB級ワニ映画
ベクトルは違えど、どちらも何らかの方面に突き抜けているからこそ面白いんだと思います。
ですが今作はそのどちらでもなく、“どう見せたら正解なのかという方向性”が定まっていないように感じました。また、作り手側の「見てもらうため、惹きつけるための工夫」といった、“視聴者に対する意識”があまり感じられない作品ではありました。
ですが!
見せ方によってはおバカなワニ映画として大ハネする可能性が大なので、個人的には次回作に非常に期待しております。
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