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眠気を誘う魔法のようなZ級サメ映画!何作目から見ようが無問題な悪名高きあのシリーズの記念すべき1作目「ジュラシック•シャーク」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(743日目)
「ジュラシック•シャーク」(2012)
ブレット・ケリー監督
◆あらすじ
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豊かな自然を誇るエルバー島。そこではグラント博士の指示のもと、安全基準を無視した石油掘削作業が行われていて、ある氷床を発見する。一方、ジルはエルバー島での違法掘削の噂を確かめようと、友人たちと島をボートで訪れるが、突然強い攻撃を受け…。(Filmarksより引用)
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『違法な石油掘削工事によって復活した古代ザメ•メガロドンが絵画泥棒や大学生を次から次へと襲いまくる!』
という、“これぞ低予算サメ映画!”と叫びたくなるほどに薄っぺらいストーリーでZ級映画好きには堪らない仕上がりとなっています。
つい先日視聴した「ジュラシック•シャーク-3.0」(’23)の前日譚というか前作になるんですけども、どちらから見ても理解度は変わりません。そもそも見たところで何も得るものがない映画なので、今作から見ようが「-3.0」から見ようが同じです。(←Z級映画に対する最大の賛辞です)
監督も変わりますし、今作から次作(-3.0)に引き継いでいる設定はせいぜい
•『違法な石油掘削作業で溶け出した氷床の中から古代ザメ•メガロドンが復活した』
•『窃盗団が盗み出した絵画がメガロドンがうろつく湖のどこかに沈んでいる』
という2点くらいのものです。ちなみに今作のラストでメガロドンは爆死するにも関わらず、その後別の場所でメガロドンが人間を襲っていることから、もしかしたら復活したのは一頭だけでは無かったのかもしれません。そのため次作(-3.0)に登場するメガロドンは今作とは別の個体だと推察できます。
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また今作で窃盗団が盗み出した絵画は『ボストン出身の画家ジョン•S•コプリーの名画“ワトソンとサメ”』となっておりますが、次作(-3.0)では『ユリオトナツ氏によって描かれたグローマンズ・チャイニーズ・シアターを描いた一点もの』となっており、このあたりの設定の甘さや続編としての自覚の無さ等も個人的には相当愛せるポイントになっています。
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なお今作はそもそもの尺が78分と短めなんですけども、オープニングに2分半、エンディング(ただゆっくりとクレジットを垂れ流すだけ)に13分も割いているため実際の本編は65分弱となっております。その肝心の本編も“無意味で退屈な会話やただただ歩くだけのシーン”や“水着美女たちの水遊び”など随所で露骨な尺の引き延ばしが見受けられます。
これには流石の私も途中で睡魔に襲われました。そういう意味では眠れない夜に睡眠導入として見る映画としては相当優秀かもしれません…
ちなみにFilmarksでは☆1.5(5点満点) とかなりしょっぱい評価となっており、映画の公開当時(なぜか最初にインドで公開されたそうです)、アメリカの映画雑誌“ファンゴリア”では『ジュラシック・シャークは今まで出会った映画の中で最も最悪な駄作映画だ。完成度の低さに耐える事ができなかった』と評され、映画サイトJoBloは『馬鹿げたクソ映画』と思いっきり酷評しております。
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(https://youtu.be/5ufej47c4fI?si=HPRe82JqCwMeOeNyより引用)
もちろん言うまでもなくサメのクオリティは低いです。冒頭の字幕で『“巨大な歯”を意味するメガロドンは史上最も巨大かつ強力で海洋生態に影響を及ぼすレベル。全長は16メートルにも及ぶ』など散々っぱら煽りますが、いわゆるチープで低クオリティなCGサメと変わりません。
大きさもせいぜい4〜5mでビジュアルもちょっと大きな普通のサメのそれですし、そもそも登場シーンが非常に少ないです。貴重な登場シーンも同じシーンの使い回しなのでこれは流石に酷評されても仕方がないかもしれません。擁護のしようがないかもです笑
だからこそ未だに愛されているのかもしれませんが…
監督を務めたブレット・ケリー氏は今作を発表した後も懲りずに(と言ったら失礼になりますが)いかにもなB級ホラーを2作ほど公開した後、2020年には“酷すぎて逆に面白い”とSNSでバズり倒した「ウィジャ•シャーク 霊界サメ大戦」
2022年にはご自身の息子たちも監督•キャストに据えて全編パペットアニメーションでお送りした異色のサメ映画「パペットシャーク」
等など、かなりエッジの効いたB級サメ映画に活路を見いだしました。脚本家の方にも恵まれたのかもしれませんね。
さらには今年『アメリカ大統領の息子を救うため、縮小したサメを血管内に送り込んでウイルスを駆逐する』というぶっ飛んだ発想が魅力的な最新作「ナノシャーク」が公開されました。
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この監督は今後も要チェックですね。お世話になり続けると思います!
そんな今作は現在アマゾンプライム、U-NEXT、WOWOWにて配信中です。
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◇豊かな自然を誇るエルバー島では実は今なお極秘で違法な掘削作業が行われていた。グラント博士の指示のもと石油貯留層の上にあった氷床をよく確認もせずに湖に流してしまった結果、太古より眠りし巨大なサメ•メガロドンが蘇り、湖を根城にして人々を次から次へと捕食してしまう。取り引きのために島を訪れた絵画窃盗団の面々、さらには違法な掘削作業の証拠を押さえようと訪れた大学生のジルたちは偶然にもこの騒動に巻き込まれてしまう。
というのが今作の細かめのあらすじなんですけども、本当にこれ以外に何も起こらないです。
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上記のあらすじ通りに展開していく中で、襲われる要員の水着美女たちがダラダラとどうでもいい会話を繰り広げたり(「サメが出るから湖で泳ぐの怖いわ」、「映画の観すぎよ」など)、BGMや会話すらも無い状態で2人で水遊びをする様子を垂れ流したり、グラント博士と部下のやり取りなど、無くてもいいようなシーンで尺を延ばしに延ばします。
このあとグラント博士は中盤に負傷した状態でほんの少し登場してすぐにサメに食べられます。実質的な今作の黒幕にも関わらず、何もせずに退場していくのは流石にマズいのではないでしょうか。せめて“メガロドンの倒し方に関するヒントを伝える”とか“逆にもっと状況を悪化させる”などストーリーを展開させて欲しかったです。
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絵画の窃盗団はリーダーのバーブはそれなりに個性がありますが、それ以外はほぼモブキャラです。一応ジェリーとリッチが兄弟で、『中盤に兄のジェリーがバーブのせいでメガロドンに食べられてしまい、弟のリッチがずっとモヤモヤしている』という後半に活かせそうな要素があります。
ですが、そんなリッチは後半に1回だけバーブの命令(ジルたちを生け捕りにしろ)を無視するだけで、例えば謀反を起こしたり、ジルたちを守ったりみたいなくだりがないのも非常に勿体ないように思いました。挙句の果てにはダイナマイトで爆死という可哀想過ぎる最期を迎えるため、これに関してはもう少しやりようがあったのではないでしょうか。
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違法な掘削作業の証拠を押さえようと島を訪れたジルたちもジル以外はほぼほぼ食べられ要員なのであまり個性はありません。
終盤にはバーブたち窃盗団に捕まり、銃で脅されて仕方なく絵画をサルベージさせられてしまいますが、ダイナマイトでメガロドンを追い払っているリッチに石をぶつけて自爆させ、その隙に銃を奪って抵抗します。ここでなぜか窃盗団のダグは銃を持っているにも関わらずジルたちに捨て身で特攻してサメに食べられてしまいます。きっと最後の最後に良心が芽生えて、ジルたちの背後に迫るメガロドンに気づき、身代わりになろうと思いたったのでしょう。絶対に違いますが…
その後、ジルたちの銃も弾が切れてしまい、万事休すかと思われたその時!突如飛び上がったメガロドンがバーブを食い千切り、ジルたちは奇跡的に助かります。
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ここでジルたちは「今メガロドンを倒さなければ新たな犠牲者を生む」と戦うことを決意し、上手いことジルが囮になり、メガロドンが口を開いた瞬間にダイナマイトを放り込むという豪快な倒し方で見事メガロドンを木っ端微塵にします。
ジルたちは無事生還を果たし、物語は幕を閉じるのかと思いきや、所変わってどこかの海辺(もしかしたらエルバー島の違う場所かも)で酒を飲んでいるおっさんたちがこれまたどうでもいい話をしていると突如としてメガロドンが出現。おっさんたちを一飲みにしてしまい、ここから13分のロングエンディングへと突入します。
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長いエンディングですがどうか最後まで見てください。何も起こりませんが忍耐力は付くと思います。
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