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タコザメVS狼クジラ!もはや何を見せられているのか分からなくなるシリーズ集大成の大スペクタクルなB級サメ映画「シャークトパスVS狼鯨」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(777日目)

「シャークトパスVS狼鯨」(2015)
ケビン•オニール監督

◆あらすじ
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アメリカ軍が生んだサメとタコの合体生物兵器シャークトパスは驚異の進化を遂げ、海から陸へと飛び出して人間界をパニックに陥れた。そんな中、マッドサイエンティストの手により、クジラ科の中で最も凶暴な生物シャチとオオカミの遺伝子を人間に組み込んだ驚異の合体生物「ホエールウルフ」が誕生。シャークトパスを撃退するべく放たれるが……。(映画.comより引用)
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『ドミニカ共和国で暴れ回る最狂生物•シャークトパスに人々が頭を悩ます一方、マッドサイエンティストの手により最凶生物•狼鯨が誕生する。かくして相対することとなった2体の怪物の死闘の先にあるものとは一体!?』

という、これ以上ないくらいにおバカでB級な設定と内容ながら、大迫力&大スペクタクルな仕上がりになっておりめちゃくちゃ面白かったです!

タイトルに堂々と“狼鯨”と書いておきながら、実際は狼とシャチ(鯨偶蹄目の最強生物らしいです)の合体生物なので“狼鯱”とすればいいものを、なぜか狼鯨と名付けられており、それに対して本編中でツッコミを入れる人は一人もいません。

狼鯨(https://inter-film.com/post-1146/より引用)

また、装填という概念がない“無限に弾が出る拳銃”、銃弾が当たっても血が出るどころか一切効かない怪物たちのチート級の強さ、ガバガバ過ぎるブードゥー教の呪い、再帰を図る若作り女優やヤラセ満載の恋愛リアリティショーで露骨な尺稼ぎ、強引にも程がある終わらせ方、意味不明な続編匂わせetc…

等など、挙げだしたら切りが無い程にツッコミどころが多いです。

これが低予算B級映画の醍醐味というか、本来なら駄目なんでしょうけど、こういう酷さを求めてB級サメ映画を見ている私にとっては最高of最高でした!

今作は2010年にアメリカのケーブルTV局“SyFyチャンネル”で放送された低予算のテレビ映画だったものの、当時の史上最高視聴者数を獲得するなど、バズりにバズり倒した「シャークトパス」(’10)

そして、ファンの期待に応えて作られた続編「シャークトパスVSプテラクーダ」(’14)

上記の2作の続編にあたります。

今作の放送後は10年近く新作が作られていないところを見るに、おそらく4作目は無いと思われます。つまりは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と同じ3部作です。ちなみに私は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は2作目が好きです。

そんな今作はシリーズの集大成とも言えるようなエンタメ全振りの最高の仕上がりで、登場人物はメインも脇役も全員味付け濃い目で印象に残ります。なもんで前述したようなツッコミどころや粗もひっくるめて非常に愛おしい作品となっております。

シャークトパスも迫力が増しています。(映画.comより引用).

監督は前作から引き続きケビン•オニール氏が務めており、巨大ワニや巨大サメ、さらにはドラゴン等が登場するB級パニック映画を得意とする同氏だけあって非常に作品のテイストとも相性が良いように思います。

そんな同氏のデビュー作がこちら↓

そして脚本も前作同様にマット•ヤマシタ氏が担当されていらっしゃいます。おそらくは日系の方なんでしょうか。あまり情報は出てきませんでしたが、いい感じのB級映画の脚本をいくつか手掛けています。

また、シリーズ3作ともに製作総指揮を務めたのは“B級映画の帝王”でお馴染みのロジャー・コーマン氏で、同氏の妻であるジュリー氏も製作に名を連ねています。

植物が意思を持ち暴れ出すミュージカルコメディホラー「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(’60)は2日と1晩で完成させたという逸話もあります。(ロジャー・コーマンWikipediaより引用)

ちなみに前2作も今作もアメリカではテレビでの放送に留まりましたが、サメ映画好きが多くいる日本ではヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催されている「未体験ゾーンの映画たち」という企画にて、それぞれしっかり映画館で上映されております。

そんな今作は現在Amazonプライム、U-NEXTにて配信中です。前2作も同様にアマプラとU-NEXTで視聴できますのでもし御興味ある方は3作とも是非!B級映画好きなら押さえておいて損はないシリーズだと思います。

Amazon.co.jpより引用

◇ドミニカ共和国ではシャークトパスによる被害が増加しており、いよいよ警察も看過できなくなっていた。そんな折、船乗りのレイは相棒のパブロと共にひょんなことからブードゥー教の首長•タイニーから媚薬づくりのためにシャークトパスの心臓を手に入れるよう依頼される。レイの恋人で警官のニータも同行し、海に出る一行。そこへさっそくシャークトパスが襲いかかってくる。

一方、ドイツの悪名高きマッドサイエンティスト•ラインハルト博士は独自のアンチエイジング研究を突き詰めた結果、人間に他の動物の遺伝子を注入し、DNA構造から変化させる禁忌にたどり着く。そしてラインハルトのもとを訪れた落ち目のメジャーリーガー•ローサは再帰を図り、彼女の実験台となる。その結果、鯨偶蹄目最強の生物シャチと狼の遺伝子を注入されたローサは最凶生物•狼鯨となり、人々を襲い始める。

かくして、導かれるように相対することとなったシャークトパスと狼鯨!その死闘の先にあるものとは一体!?

というのが今作の細かめのあらすじです。

大迫力の戦闘シーン(映画.comより引用)

今作は基本的に

•主人公のレイが仲間たちと共にシャークトパスの心臓を手に入れようとする

•マッドサイエンティストのラインハルトによってメジャーリーガーのローサが狼鯨になってしまい、暴走を始める

という二つのパートが交互に展開し、中盤あたりからこの二つの軸が合わさっていきます。

主人公のレイ。基本的には飲んだくれの駄目オヤジですが、やる時はやる男です。(https://inter-film.com/post-1146/より引用)

まずレイのパートは

彼が所有する船がシャークトパスに襲われるも当然警察はシャークトパスのことを信じず、責任を取る形でレイが警察に拘留されてしまいます。しかし、ある大物から保釈金が出されたとのことでKYな相棒•パブロによって引き取られます。

保釈金を支払ったのは警察からもマークされているブードゥー教の首長•タイニーで、媚薬を作るためにシャークトパスの心臓を欲していた彼はレイたちに恩を売り、依頼という名の脅迫で心臓を手に入れるよう頼みます。呪い殺されることを恐れた二人とシャークトパスの存在を信じたニータ(レイの彼女で警官)はさっそく海に繰り出します。

そんなタイニー役は世界的なロックミュージシャンのイギー•ポップ氏です。(イギー•ポップWikipediaより引用)

ちなみにタイニーはネットでシャークトパスのことを知ったそうです。

シャークトパスの想像以上の強さと迫力に気圧されたレイ一行はなんとか逃げるので精一杯。心臓献上の猶予も残り僅か…

という感じで展開していきます。

エロいナースを追う狼鯨(https://inter-film.com/post-1146/より引用)

その一方でラインハルト博士と狼鯨のパートは

ドイツのマッドサイエンティスト•ラインハルト博士は人間に他の動物の遺伝子を注入し、DNA構造から変化させて身体機能を向上させる禁忌に手を染める。そして全盛期の力を取り戻したいと思っていた落ち目のメジャーリーガー•ローサは葛藤の末、実験を受けたものの、シャチの遺伝子を注入しすぎて死亡。博士によって海に捨てられてしまう。

ヒト遺伝子が分解されすぎた彼はゾンビのような見た目となるも自力で研究所に戻ります。ラインハルトは「狼は満月、シャチは満潮を好む」というよくわからない理論から今度は狼の遺伝子を注入。

その結果、ローサは狼鯨(作中ではホエールウルフと呼ばれます)となり、おそらくほぼほぼ自我も失い、本能赴くままに人間を襲い始めます。

エロいナースを追って海まで来る狼鯨(映画.comより引用)

エロいナースを追って海までやってきた狼鯨はそのままシャークトパスと戦いを繰り広げ、さらにはビーチで行われていたヤラセ盛々の恋愛リアリティショーに乱入して大暴れしたりと、いよいよ警察やメディアもこの2体の怪物の存在を看過できなくなります。

狼鯨に食べられるエロいナース(https://inter-film.com/post-1146/より引用)

町で大暴れする2体の怪物に手を焼く警察。時を同じくして、心臓献上の期限を守れなかったレイたちはブードゥー教の呪いで心臓を止められかけたり、とりあえず心臓の代わりにシャークトパスの足を提出したらなぜか許してもらったり、狼鯨が自分の手に負えなくなったラインハルトは狼鯨を犬や猫の里親募集に出そうとしたのがバレて狼鯨に食い殺されたりと至るところで一悶着が起こります。

ラインハルトの研究所(映画.comより引用)

その後、ニータが研究所で狼鯨に襲われていることを知ったレイとパブロは救出に向かい、命からがらニータを救い出して車で逃走します。ちなみにここの車を追いかける狼鯨とのチェイスシーンは非常に見応えがあります。

また市街地で大乱闘を繰り広げるシャークトパスと狼鯨。ここでレイは先程パブロを襲った際の狼鯨の動きがローサのバットスイングの動きと似ていたことから狼鯨がローサであることを見抜きます。観察眼ありすぎですね。

レイがシャークトパスに襲われた際、パブロが電動包丁でシャークトパスの足を1本切り落とします。(映画.comより引用)

ローサは非常にプライドが高く、自分よりも優れたやつが気に食わないため、おそらく本能的にシャークトパスを倒そうとしており、また、「野球選手ならきっと最後は野球場に行くはずだ!」という謎理論でレイたちは野球場に先回りして2体同時に仕留めようと作戦を立てます。

水中戦も最高です。(映画.comより引用)

なんやかんやで首長のタイニーもシャークトパスに食われ、その後野球場では2体の大乱闘が過熱。ここで電気を流した防護ネットに触れたシャークトパスが死亡。さらにはボールを投げたりと狼鯨を犬のように扱って時間を稼ぎ、避難した隙にアメリカ軍が空爆を落として狼鯨を仕留める。

ようやく平和が訪れたかと思いきや、タイニーの側近の妖艶な女性がブードゥー教の秘術で壺から小さなシャークトパスを復活させていた…

というところで物語は幕を閉じます。いかにもな終わり方で最高ですね。

なんか可愛く見えてきますね。(映画.comより引用)

キャラクターのバランスが非常に良く、主人公のレイが少々ヘタレなのでヒロインのニータのしっかり者なキャラが活きますし、作品としても3作通して一番見やすかったです。

前2作と比べると少々コミカル路線になっており、狼鯨がラインハルト博士の前だと完全に飼い犬のようになっていたり、シャークトパスが触手で頭をポリポリかいたり、人間を食べた後に歯クソを取ったりと何だか愛おしく見えてきます。

個人的にはこの辺りがかなりハマりました。もちろんくだらないはくだらないんですけど、めちゃくちゃ面白かったです!超絶オススメです!

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