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米国大統領がゾンビになって全員復活!全てが勢いとノリで構成された低予算おバカなZ級ゾンビ映画「プレジデント•デイ ゾンビで復活した米国大統領たち」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(795日目)
「プレジデント•デイ ゾンビで復活した米国大統領たち」(2016)
デヴィッド•ズッカーマン監督
◆あらすじ
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大統領の日の休日を楽しもうと、大学生たちは仲間の叔父が所有する人里離れた山小屋へ。だがそこで、次々とアメリカの歴代大統領たちがゾンビ化して蘇り、不運な若者たちを追い詰め、アメリカの歴史について致命的なレッスンを与える!生き残るための唯一の希望は、初代米国大統領リンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースの霊を呼び出すこと!?(Filmarksより抜粋)
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『大統領の日の休日を満喫しようと人里離れた山小屋を訪れた学生たち。しかしそこでどういうわけかゾンビになって蘇った歴代大統領たちに襲われる羽目に!奴らの目的とは一体!?』
という、あらすじだけでどれくらいおバカな内容なのかが一発で分かる低予算のZ級ゾンビ映画です。
※ちなみに大統領の日とは
ジョージ•ワシントンとエイブラハム•リンカーンという2人の大統領の誕生日を合わせた連邦祝日で、正式名称は“ワシントン誕生日”です。明確に何月何日とかではなく、毎年2月の第3月曜日を祝日にして祝うそうです。
もう何から挙げていけばいいのか迷うレベルに粗だらけで逆に面白かったです。
思いっきり低予算、素人に毛が生えたレベルの役者陣、カメラワークやカット割りが単調、テンポが悪い、ギャグパートがあまり面白くない、照明不足で薄暗い、最後の最後まで何を見せたい映画なのかが分からない…
等など、視聴するとかなり体力を持っていかれるタイプの作品です。せめてテンポを良くして、もう少しお金をかけたら面白くなりそうな気もしますが、これはこれで良いんじゃないですかね。
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ストーリー自体は大分終わってるんですけども、『歴代のアメリカ大統領が大勢蘇る』という設定は相当魅力的でした。ですが、“なぜ蘇ったのか”、“蘇った目的”、“どうして学生たちを襲うのか”みたいなものが全て説明不足で、この設定を思いついたことに満足して、さほど脚本を練らずに勢いで最後まで撮影したのではとすら思えてしまいます。
でもこの設定自体は大分活かせるのでそれぞれの国でリメイクも作れますし、これの日本版とかも相当面白くなりそうですね。誰も襲わずにずっと風俗通ってる伊藤博文とか登場させたら個人的には刺さると思います。
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あとこれは知識量の話になってくるんですけども、歴代のアメリカ大統領についての知識がある程度ないと面白さが半減すると思います。
「私は切り株のナポレオンと呼ばれていたのさ」、「共に独立宣言を書いたな」、「この連邦主義者が!」等のセリフや、影の薄い大統領が自分のことをまとめたレポートを発見してテンションが上がったり、政治思想や過去のことを持ち出して仲間割れするくだりは面白いんですけども、知識が無いがゆえにいまいちピンときません。
人数もかなり多いため、もう少しビジュアルを分かりやすくするとか、登場時に名前と何をしたか等をさらっと紹介してくれたりしたらもう少しハマれたんだと思います。「このワードを言うってことはあの大統領かな?」みたいな楽しみ方が出来なかったのが残念でしたが、それはシンプルに私の知識不足ゆえの問題なので作品のせいではありません。
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そんな今作の監督•脚本を務めたデヴィッド•ズッカーマン氏、そして脚本にクレジットされているベンジャミン•グッドウィン氏、ユート•ズムウォルト氏、御三方ともこの作品以外の情報は出てきませんでした。マイナー映画あるあるです。
大統領の日という題材自体が日本ではあまり馴染みがないうえに、アメリカの歴代大統領に関する知識がないとあまり楽しめないのが中々に残念でした。己の無知を悔いるばかりですが、博識な方や歴史好きの方にはもってこいの一作です。
現在Amazonプライム、U-NEXT、Leminoにて配信中です。
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◇リリーたち学生7人は大統領の日の休日を満喫しようと、ブレットの叔父が所有する人里離れた山小屋を訪れる。楽しい時間を過ごす一行、しかしその晩、謎のノートを手に入れた一人が記された文言を読み上げてしまったからなのか、付近の森から歴代のアメリカ大統領たちがゾンビとなって次々と蘇る。リリーたちに向かって「君たちに死をもって歴史を教える」と告げる大統領たち。そして一人、また一人と命を奪われていく学生たち。果たして彼女らは最悪すぎる歴史の授業から抜け出すことは出来るのか!?
というのが今作の細かめのあらすじです。
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2月の中旬とは思えないほどの薄着ですね。(https://m.imdb.com/title/tt5903870/より引用)
冒頭では『おそらくリリーたちが訪れたのと同じ山小屋にて、青年が外にいる何かに怯えながらノートを記し、自害を図る』という、導入部となる過去シーンがありますが、今作において“なぜ大統領たちが復活したのか”などは最後まで明らかにされないため、その山小屋一帯に何かしらの縁があるのか、それともそのノートに記した呪文的なものを唱えればどこにでも現れるのかなどは分かりません。
ですが、その近辺に歴代大統領が全員埋葬されたとも考えられませんし、おそらくは大統領の日にその呪文的なものを唱えると唱えた場所近辺で蘇るのではないでしょうか。
そんなこんなで山小屋を目指すリリーたちは道中で立ち寄った手書き看板の怪しい料金所にて不気味なおじさんから「森に妙なものが潜んでる、歴史に関係する危険なものが迫ってる、歴史は繰り返す」等などわけのわからないことを言われますが特に気にもとめず、そのまま山小屋へと向かいますが、不気味なおじさんはあのノートをこっそり彼らの車に投げ入れます。
不気味なおじさんはあのオープニングの青年と同一人物なのかもしれません。自害を図りましたが明確に死んだ描写はありませんでした。
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山小屋にて楽しいひとときを過ごす一行。しかし偶然あのノートが鞄に入っていたマックスはノートに記された文言を口に出して言ってしまいます。その後、思いを寄せていたクラレンスがアシュリーとイイ感じになっているのを見て傷ついたマックスは森で傷心モード。
そこへ斧を持ったリンカーンを筆頭にワシントンやケネディなど歴代のアメリカ大統領がワラワラと姿を現し、驚いたマックスは山小屋に戻り、皆に事のあらましを説明します。
そしてノートに記された大統領たちの唯一の倒し方を言おうとした次の瞬間、リンカーンが投げたアメリカ国旗が腹部に刺さり、マックスは絶命します。
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パニックに陥り、散り散りになる一同。おバカなブレットとガリベンのウェリントンはお風呂場にてバスタブにハマって身動きが取れなくなったウィリアム・タフト大統領から「君たちに死をもって歴史を教える」という、自分たちが蘇った目的を教えられます。意味はよく分かりませんが…
逃げながらどんどん服が脱げていく御色気担当のアシュリーが秒で捕まる一方、屋根裏部屋に避難した主人公のリリーと元彼のジェイク、そして博識なクラレンスはあのノートをどうにかして手に入れようと行動に移ります。
しかしリリーとジェイクに「ホラー映画だと黒人が死ぬのはあるあるだから」とこの場にとどまることを進言されたクラレンスは人種差別だとブチギレ。しかしそこへ二丁拳銃を携えたニクソン大統領が急襲し、案の定クラレンスは蜂の巣にされますが、最後の力を振り絞り、ニクソンに一矢報いて同士討ちとなります。
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所変わってお風呂場では斧を持ったワシントンの襲撃により、ウェリントンの身体が真っ二つになります。
※身体を引き裂かれる時に撮影用の安っぽい人形を用いているため、ウェリントンの髪の毛がめちゃくちゃ金髪になります。
なぜかはわかりませんがウェリントンに愛を伝えたブレットは怒りのパワーで二丁拳銃乱舞。リビングにて数名の大統領を倒しますが、ジェームズ•ポーク大統領のボーガンによって命を落とします。※この時、アメリカ国旗が貫通して壁に刺さったまま絶命したはずのマックスの死体が無くなってます。誰かが回収したのでしょうか。
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その騒動に乗じてノートを手に入れたリリーは目に入った文言「暴君は常にかくのごとし」を詠唱。するとリンカーンを暗殺した俳優として知られるジョン・ブースが復活。大統領を倒すには本当に殺した人間が必要とのこと。ここから反撃に打って出ます。
※暴君は常にかくのごとしとは
バージニア州の標語で、ジョン・ブースがリンカーン暗殺時に叫んだとされる言葉
一方、自身の影の薄さに劣等感を抱いているジェームズ•ポーク大統領はなぜかアシュリーと意気投合し、そのまま恋に落ち、その場で行為に及びます。そしてそれを羨ましげに遠巻きから眺めていた大統領たちとジェームズ大統領がアシュリーをめぐって決闘したりといよいよ物語は混沌を極めます。歴史を教えるのではなかったのでしょうか。
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ジョン・ブースは特に見せ場もなくケネディに倒され、ここまでビビってばかりで頼りなかったジェイクが勇気を出してケネディとタイマンを張る。その一方、ジェームズとアシュリーの関係を知らなかったリリーはジェームズを射殺してしまい、激怒したアシュリーと戦う羽目になります。
防戦一方のリリーでしたが、ケネディを倒したジェイクまでもが傷つけられたことに怒り、アシュリーの首を刎ねてしまいます。
所変わって山小屋では大統領同士が大喧嘩。「俺はアラスカを手に入れたんだぞ!」、「黙れ!連邦主義者め」等と罵り合い、殺し合いに発展。そこへジェイクが隙をついてライターとスプレーの即席火炎放射でボスのリンカーンを火だるまにしてやっつけます。※スプレーの量が少ないのか、火が全然前に飛んでいません。
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全大統領をやっつけたリリーとジェイクはよりを戻し、仲間たちの弔いは後回しにして、とりあえず行為に及びます。そして事が終えると、実は初めてだったことをジェイクがカミングアウトします。
童貞キャラはホラー映画だと生き残りやすいからジェイクは最後まで生き残ったんじゃないかと勝手に納得していたリリーでしたが、童貞を卒業したということはすなわち“童貞死なないフラグの消滅”を意味します。
案の定、そこへ顔が焦げたリンカーンが急襲。さっきまで下着姿だったリリーたちはいつの間に服を来たのかは定かではありませんが、しっかりと服を着た状態で森へ逃げますが崖に追い込まれてしまいます。さっき火だるまになったはずのリンカーンも服がキレイなままなので着替えたのかもしれません。
咄嗟にリリーが「暴君は常にかくのごとし」を詠唱するとまたまたジョン・ブースが復活。今度はリンカーンをしっかり倒してくれます。
そして全てが終わり、朝を迎えた2人は誇り高いアメリカの歴史を大切にしようと心に誓います。
それから八ヶ月後、今日はコロンブスの日(10月の第二月曜日)。まさかと思ったリリーたちのもとにコロンブスがやって来る。しかしここがインドではないことにコロンブスは酷く落胆するのだった。
というところで物語は幕を閉じます。
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終始くだらないうえに、いちいち話が脱線するので結局何を見せたい話だったのか分かりませんでしたし、85分ほどの作品ですが異常なまでに長く感じました。なんですけども不思議と嫌じゃないと言いますか、なんか見れちゃう不思議な作品でした。
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