親バカ監督が娘のために作ったスピンオフ!あの奇天烈猟奇事件の後、世界の命運をかけた戦いがコンビニで起きていた!?「コンビニ・ウォーズ バイトJK vs ミニナチ軍団」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(765日目)
「コンビニ・ウォーズ バイトJK vs ミニナチ軍団」(2016)
ケヴィン・スミス監督
◆あらすじ
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コリーン・コレットとコリーン・マッケンジーは大のヨガ好きJK。怪しいヨガの先生に教えを請いながら怠惰なハイスクールライフを送っていた。ある日、2人は店長不在のバイト先のコンビニで学校のモテ男子とパーティを行おうとするが、誤って地下に眠っていた邪悪なミニナチ軍団を呼び起こしてしまう。長い眠りから覚めたミニナチ軍団は巨大な怪物を解放し、世界侵略へと動き出す。2人の女子高生VSミニナチ軍団。今、世界を守る戦いの火ぶたが切って落とされる ― コンビニで。(Filmarksより抜粋)
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『コンビニバイトのJKが店の地下に封印されていたミニナチ軍団を偶然目覚めさせてしまい、世界の命運をかけて壮絶な死闘を繰り広げる!』という、もう見るまでもないZ級おバカホラーです。つまりは私の大好物です。
今作は私が先日視聴した『サイコジジイが拉致監禁した主人公をセイウチに改造してしまう』というトンチキなストーリーながら、一貫性があるためそのぶっ飛んだ内容をなぜか全て飲み込めてしまう奇天烈サイコスリラー「Mr.タスク」(’14)のスピンオフ(続編)にあたります。
私はこの作品にどハマりしてしまい、そんな名作にスピンオフがあるならば見ない手はないと思い、今作を視聴させていただいた次第です。なんですけどもこれはまぁ、酷すぎて最高でした笑
監督•脚本は引き続きケヴィン・スミス氏が務めており、前作にちょい役で出演させた自身の娘とその親友(ジョニー・デップの実娘)を主人公に据えている時点でなんだか怪しい雰囲気が漂いますが、開始早々その嫌な予感は的中します。
開始早々、ドラムの演奏をバックに2人が楽しげに歌っているシーン(兼オープニング)が数分続きます。結構長いです。以降もこの2人の歌唱シーンや楽器を演奏するシーン、怪しいヨガレッスンのシーンなど、とにかくこの2人の魅力がこれでもかと詰まったシーンのオンパレードです。
お二人のルックスが良いので全然見れますし、それらのシーンが本編と一切関係が無いわけではないんですけども、別に削ってもそこまで支障はないです。ちなみにラストはヨガ殺法で敵を倒すのでヨガのシーンは必要かもしれません。にしても多いですが…
ここまで来ると、どう考えても監督が娘たちのために作った映画にしか思えません。
前作のような首尾一貫した猟奇性は1ミリも無く、地下に眠るミニナチ軍団(ソーセージサイズのおじさん)とイマドキ女子高生が肉弾戦を繰り広げるだけなのでストーリーもクソもないですし、伏線や考察なんてありゃしません。本当にファンと身内に向けて作った作品です。ちなみに私は前作のファンなので普通に楽しめました。
制作費500万ドルに対して興行収入は3.6万ドルと目を疑う程の大ゴケ作品ではありますが、あいも変わらず遊び心満載の豪華キャストに、もはや悪ふざけとしか思えないストーリーは案外クセになるかもしれません。
前作のメインキャストは別のキャラクターで再び出演しており、主人公ウォレス役のジャスティン•ロング氏はヨガの師匠ヨギ•ベヤー、ウォレスの恋人アリー役のジェネシス・ロドリゲス氏は体育の鬼教師•ウィックランド、ウォレスの相棒テディ役のハーレイ・ジョエル・オスメント氏はカナダのヒトラーと呼ばれるエイドリアン•アルカンド役でそれぞれご出演しております。
さらには前作にノンクレジットでサプライズ出演して話題を掻っ攫った“説明不要の大スター”ジョニー・デップ氏は前作から引き続きアル中の元刑事ギー•ラポワンテ役で再登板しております。
さらには2012年までジョニー・デップ氏と事実婚関係にあり、何を隠そうリリー・ローズ・デップ氏の実母であるフランス出身の歌手•女優のヴァネッサ・パラディ氏が歴史教師モリー役で出演。
つまりは父(ジョニー・デップ)、母(ヴァネッサ・パラディ)、娘(リリー・ローズ・デップ)の家族共演が実現しています。
昨日、前作の記事をあげた際に『ジョニー・デップ氏はなぜノンクレジットだったのか』というのが分からず仕舞いでしたが、コメントにて『デップ氏の妻に対するDV泥沼訴訟の時期と被っていたからでは?』という有力情報をいただきましたので深掘りしてみました。
デップ氏は先述した通り、2012年に事実婚関係にあったパラディ氏と破局。同年に女優のアンバー・ハード氏との交際が報じられ、その後2014年に同氏と婚約。翌年には挙式を挙げております。しかし2016年5月、アンバー氏により離婚申請がされたことが明らかとなります。
なんでもデップ氏からのDVがあったと訴えており、その様子を収めた写真や動画も流出しました。世間的にはアンバー氏が被害者として見られており、8月には正式に離婚が成立。慰謝料なのか定かではありませんが、同氏はデップ氏から受け取った金銭を慈善団体に寄付したと報じられました。
しかし、この辺りから何やら雲行きが怪しくなります。同氏の慈善団体への寄付は真っ赤な嘘で、その後はデップ氏とアンバー氏が互いを名誉毀損で訴えるなど事態はドロ沼化。しかしアンバー側の証拠や証言がほぼ捏造だったことが発覚。なんと加害者と見られていたデップ氏が逆転勝訴。アンバー側も1000万ドルの支払いを命じられ、またデップ氏も200万ドルの支払いを命じられました。その後はこの判決を不服とした両者が互いに控訴。
その後長きに渡る裁判の様子は全米で生中継され、2023年にはNetflixでドキュメント番組として配信されました。
そしてズルズルと続いた裁判によって、デップ氏は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの最新作への出演が消滅したりと、すったもんだありました。
そして2022年まで続いた裁判も同年6月にようやく終結。両者に名誉毀損が負わされましたが、賠償額からジョニー・デップ陣営の実質的な勝利と報じられ、アンバー氏は再び控訴するも同年末に示談が成立して終結したとのことです。
長々と書いてしまいましたが、「Mr.タスク」の公開が2014年なので、どうやらこのDV騒動や裁判とノンクレジットの件は関係がなさそうです。
ちなみにデップ氏は2010年代に主演作の興行収入が軒並み低迷しており、2014年には失言も原因で「もっとも影響力のない人物30人」というなんとも不名誉な30人に選ばれるなど世間からの風当たりが少々強い時期ではあったようですが、他にも何か原因があるのでしょうか。何か情報をお持ちの方は是非とも教えていただけると嬉しいです!
あと余談ですが、今作には数多くのマーベル•コミックを生み出し、現在はマーベル・メディア名誉会長を務めるスタン・リー氏も警察役でカメオ出演しております。
今作は現在Amazonプライム、U-NEXT、huluにて配信中です。「Mr.タスク」にハマった人がついでに見る分にはそれなりに楽しめると思いますが、清々しいまでのZ級映画なので「ちゃんと面白い映画を見たい」と思っている人にはあまりオススメ出来ないかもです笑
◇カナダのマニトバに暮らすコリーン・コレットとコリーン・マッケンジーは授業もバイトもやる気はないが、怪しいヨガには夢中の仲良し女子高生コンビ。2人は少し前にこの近くで起きた猟奇殺人事件の解決に協力し、マナティ人間を救ったお手柄女子高生として新聞でも取り上げられており、それがきっかけで同じ高校のイケメン先輩たちと仲良くなる。ある日2人は店長不在により仕方なく深夜のコンビニバイトに入るが、客が来ないのをいいことにイケメン先輩たちを呼んでパーティーを開こうと画策する。しかし彼女らは偶然にも地下に眠るマッドサイエンティスト•アーケインと彼が生み出した凶悪なミニナチ軍団を呼び起こしてしまう。たちまち先輩たちが殺され、窮地に立たされた2人は、元刑事ギー•ラポワンテと協力し、世界をかけた壮絶な死闘を繰り広げる。
というのが今作の細かめのあらすじです。本当に無茶苦茶ですね。
全体的にテンポが良く、また実尺も80分程なのでそこまで長くは感じませんが、2人の歌唱シーンや長々とヨガをするシーンは無くても成立します。
事の発端としては、彼女らがバイト先の控室でバンドの練習をしていた時にブレーカーを落としてしまい、この時に実は地下の隠し部屋で冷凍保存されていた悪のマッドサイエンティスト•アーケインと彼が世界征服のために生み出したミニナチ軍団が目覚めてしまったことでとんでもない騒動に発展します。
ドイツ出身のマッドサイエンティスト•アーケインは1930年代にカナダのヒトラーと呼ばれたカナダ国家統一党の党首であるエイドリアンの思想に共感し、仲間入り。その後は共に過激な活動を行うも最終的にエイドリアンは逮捕され、獄中死。
しかしアーケインは残党によって地下に監禁され、そこでなんやかんやあって、最終的にはクローン軍団の組織と世界征服を計画します。彼は自身のDNAをもとにソーセージとザワークラウトでクローンを生成。100年の熟成で究極体を目指すとともに自身もその時に備えて冷凍保存で眠りにつきます。
その地下のあった建物に現在はコンビニが建てられ、そこで主人公たちがアルバイトをし、サボってバンド練習をしていた際にブレーカーを落とし、アーケインを目覚めさせてしまったのです。
「なんでソーセージとザワークラウト?」とか「それまでの電気代とかどうしてたの?」とかそんな野暮なことを考えるのはやめましょう。
中途半端な状態で熟成が終了したミニナチ軍団は人の形はしているものの大きめのソーセージくらいのサイズしかなく、中身がザワークラウトなのでそこまで強くありません。
中盤までは『イケメン先輩たちの肛門から侵入し、体内を貫いて殺して、そのまま口からコミカルに登場する』というインパクトのある出方をしますが、主人公たちにはまったく歯が立ちません。数も相当数いますがまとめて秒殺されてしまいます。
このミニナチ軍団がもっと手強く、他にももっと犠牲者が出ていればホラー映画としての評価も上がった気がします。
終盤では主人公たちもギー•ラポワンテも一度は拉致され拘束されますが、アーケインが生み出した最終兵器•ホッケーゴーレム(ホッケーマスクを被ったゴーレム)が世界を征服するために地上に出ようとするため、2人はヨガマスターのヨギ•ベヤーから教わったヨガ技をフルに活かしてゴーレムを打ち倒し、誰にも知られることなく世界を救います。そして、またまた雑誌で取り上げられ人気者となった2人は今日もヨガのレッスンに勤しむ。
というところで物語は幕を閉じます。
最後はバイトの控室で主人公2人とギー役のジョニー・デップ氏がカナダの国歌を色んなバージョンで陽気に歌う楽しいエンディングになっています。これが意外と耳に残る名曲になってます。
キャラクターの紹介や戦闘シーンのポップなエフェクトや演出は好き嫌いが分かれるかもですが個人的には世界観にも合っていてすごく良かったです。
なんですけどもそこまで本編に関わらないような脇役中の脇役もいちいちしっかり紹介するのが情報過多になっており、覚えておくべきなのかどうか迷ってしまうのでもう少し絞って欲しかったです。
ちなみに今作は批評家からは酷評されており、
とまで言われております。
ですが個人的にはこちらもこちらで前作とは違うベクトルではあるものの、一貫性のあるバカを貫いているため楽しめました。大人たちが全力でフザケて作った映画なので身内ウケっぽいところもありますが、好きな人は好きだと思います。
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