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不倫のショックで二重人格に!?屋敷で巻き起こる殺人事件の犯人は一体…「ベラ・ルゴシの幽霊の館」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(792日目)
「ベラ・ルゴシの幽霊の館」(1941)
ジョセフ•H•ルイス監督
◆あらすじ
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大金持ちのチャールズ•ケスラーは妻が出ていってからというもの精神に異常を来し、毎年結婚記念日にはまるでそこに妻がいるかのように振る舞い、そして会話をする。娘や使用人はそんな彼を気の毒に思うが、そんな折、屋敷内で殺人事件が起こる。過去にもこの屋敷では同じように人が死んでおり、そのいずれも犯人は捕まっていない。果たして、この殺人は屋敷に巣食う幽霊の仕業なのか!?
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『妻を失ったショックで二重人格を発症した男は無意識に殺人を繰り返していた…』という、序盤から犯人が分かっているタイプのサイコスリラー映画です。
なお今作の上映は1941年とかなり古く、現在ではパブリックドメイン化しています。そのため、字幕無しではありますがYouTube等でも無料で視聴できますので気になる方は是非↓
今作の原題は「Invisible Ghost」(見えない幽霊)で、邦題でも「幽霊の館」と付いています。なもんでどう考えても幽霊が出るのかなと思いますが出ません笑
奥さんが自分の親友と不倫したうえに家出しちゃったショックで殺人鬼の人格を持ってしまった男が自分の屋敷で働く人々を殺してしまうお話です。
この殺人鬼の人格、つまりは見えない犯人のことを“Invisible Ghost”としているのかもですが、普通に刑事コロンボや古畑任三郎よろしく、最初から犯人が分かっているタイプのミステリー作品であるとともに、犯人に自覚が無いというスリラー要素が加わった映画です。
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1941年の作品ですし60分程の尺なので、ストーリーはぬるいっちゃぬるいんですけど、ツッコミどころが多いのを楽しめれば普通に面白い映画だと思います。
また、今作の見どころは「魔人ドラキュラ」(’31)のドラキュラ伯爵で一世を風靡し、ホラー映画界の大スターとして人気を博しながらも、晩年はヒット作に恵まれなかった伝説の俳優ベラ・ルゴシ氏が主演を務めているところです。
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ドラキュラ伯爵役でブレイクしたのも49歳とかなりの遅咲きで、その後は高齢やハンガリー訛りの英語下手、舞台俳優出身ゆえのオーバーな演技が敬遠され徐々に活躍の場を失い、40年代の後半からはマイナーな低予算映画に活躍の場を移しました。
表舞台からほとんど姿を消し、世間からも忘れ去られていた50年代には“史上最低の映画監督”として有名なエド・ウッド監督作品に多く出演しており、私の企画でも視聴したZ級SFホラー映画「プラン9•フロム•アウター•スペース」(’59)が同氏の遺作となりました。
戦争で受けた心の傷を癒すために薬物依存に陥っており、特に後年は使用頻度が増え、体調を崩すことが多かったそうです。それもあってか1956年に心臓発作によって死去。葬儀の際はドラキュラ伯爵の衣装で埋葬されたそうです。
「プラン9•フロム•アウター•スペース」にはメインキャストとして登場する予定でしたが、死去に伴い、生前に撮影した数シーンのフィルムを利用して主に冒頭に登場しています。
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(ベラ・ルゴシWikipediaより引用)
ちなみにエド・ウッド氏が晩年のベラ・ルゴシ氏とともに作品を作っていく数年間を描いた伝記映画「エド・ウッド」(’94)はとてつもない名作です。
監督は大のエド・ウッドファンとして知られるティム・バートン氏、主人公エド・ウッド役はジョニー・デップ氏が務めており、ラストシーンは何回見ても泣いてしまいます。ホラーではありませんが、こちらもオススメです!
そんな人気に陰りが見え始めたルゴシ氏が二重人格の主人公を務める今作ですが、先述した通り、ストーリーは大分ぬるいです。
なんですけども、レゴシ氏の舞台仕込みのオーバーな演技がかなりハマっており、もはや顔芸だろと言いたくなるほどの同氏のクドい表情の数々は一見の価値ありです。
また、同氏が演じる主人公はあることがきっかけで殺人鬼の人格に変わってしまうんですけども、殺人鬼の人格になっている間はなぜか夢遊病のようにフラフラと歩き、ターゲットを見つけると羽織っているローブで相手の顔を覆って窒息死させます。
なんかもっとわかりやすく凶悪な顔つきになったり、凶器を用いたりすればいいのに、今作はとことんそういったエンタメ性がありません。それが良いところではありますが…
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(ベラ・ルゴシWikipediaより引用)
今作は低予算のマイナー映画を多く手掛けていたモノグラム•ピクチャーズ製作であり、ルゴシ氏はこれ以降コンスタントに同社製作の作品に出演しています。
そして、今作の監督を務めたジョセフ•H•ルイス氏は主に30年代後半から50年代に駆けて低予算のB級映画を数多く手掛けたお方で、ジャンルに縛られること無く、西部劇、アクション、ミュージカル、ホラーなどあらゆるジャンルの作品を生み出しています。
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現在Amazonプライムでも視聴可能ですが、冒頭でも申し上げた通り、字幕無しver.がYouTubeで視聴できます。
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◇とある町で医師として財を成した大金持ちのチャールズ•ケスラーは最愛の妻が自身の親友と不倫をし、そのまま家出をしてしまったことがショックで精神に異常を来す。毎年結婚記念日を迎えると、まるでそこに妻がいるかのように振る舞い、料理を用意させ、仲睦まじく会話をする。そんな彼の姿に娘のバージニアも使用人のエバンズも気の毒に思っていた。そんな折、住み込みのメイド•セシルが何者かに殺害される。警察曰く、過去にもこの屋敷では殺人事件が起きており、いずれも犯人は捕まっていないという。そしてまた起こる殺人事件。この屋敷に潜むものとは一体!?犯人は誰なのか!?
というのが今作の細かめのあらすじです。
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(https://www.primevideo.com/-/ja/detail/Invisible-Ghost/0JF2TMX3VB5UW3EBXKGLKT81I7より引用)
先ほども申し上げた通り、今作の犯人は無自覚とはいえ、主人公のケスラーでした。
彼は最愛の妻が自分の親友と不倫をし、そのまま出ていったことがショックで精神に異常を来し、以来少々様子がおかしくなります。でも目立った症状は毎年結婚記念日に妻がいるかのように振る舞うくらいのもので、娘のバージニアやベテラン使用人エバンズなんかもいつも通り温かく接しています。
しかし、実は彼の妻は家出をしたあとすぐに交通事故に遭っており、記憶障害を患います。そしてどういった経緯なのかは定かではありませんが、彼女はケスラー宅の庭師を務めるおしゃべり老人•ジュールズの自宅(屋敷の敷地内にある)の地下に匿われていたのです。
そんな彼女は夜な夜な地下室から抜け出しては屋敷の周囲をうろつき、当然ケスラーに目撃されます。「家に帰るのが怖い…あなたが殺す…手当たり次第」と意味深な言葉をつぶやく最愛の妻。
妻を見ることがトリガーになるのか、殺人鬼という別人格が現れたケスラーはフラフラと屋敷内を彷徨い、目に入った人物を手に掛けるのでした。
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そして翌朝にはけろりと忘れているケスラー。しかし住み込みメイドのセシルが自室で死んでいるのをエバンズが発見。すぐさま警察が駆け付けます。刑事曰く、なんと過去にもこの屋敷の運転手が不審な死を遂げていたそうです。
バージニアの恋人であるラルフは過去にセシルと男女の仲だったようで、前日に口論していたのを目撃したエバンズの証言により、彼は即逮捕&死刑という可哀想にも程がある最期を迎えます。
バージニアもケスラーも悲しみに暮れる中、なんとラルフと瓜二つの双子の兄•ポール(ラルフ役のジョン•マクガイア氏が一人二役)が訪ねてきます。
弟の無実を証明し、無念を晴らすため、彼はこの屋敷で巻き起こる謎の殺人事件の解決に乗り出す。
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しかし、またまた夜中にうろつく妻を目撃したケスラーは今度は庭師のジュールズを殺害してしまいます。翌朝例によってエバンズが遺体を発見。しかし手掛かりも証拠も見つからない。なぜ誰もケスラーを疑わないのでしょうか?
刑事曰く、ケスラーはいつか妻が帰ってくるかもしれないからと、こんなに何度も殺人事件が起こる屋敷から引っ越すつもりは毛頭ないらしく、警察たちも地元の大物であるケスラーだけにあまり踏み込めないらしい。
その晩、またまた屋敷の周囲をうろつく妻。めちゃめちゃハイペースです。いよいようろつくどころか、ケスラーの自室の窓を外から思いっきり覗きこみ、もちろんケスラーも気づきます。
またも殺人鬼となったケスラーはついに最愛の娘•バージニアを手に掛けようとするも、突然の雷鳴に正気を取り戻し、一度は自室に戻ります。
しかし、妻はまだ窓の外から覗いており、またまたケスラーの人格が変わってしまいます。お互いどういう感情なんでしょうか。なぜ妻はいつも覗くのでしょうか。
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しかし翌朝、死亡した者は1人もおらず、そのかわりに妻の肖像画が切り刻まれていました。その絵にエバンズのローブの繊維が付着していたことから彼が犯人候補に挙げられてしまう。あと、カーテンが不自然にもっこりしていたので刑事さんが確認すると部下のライアンが死んでいました。いつのまに殺されたのでしょう。
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その後ポールの発案でとりあえずこの事件は精神に異常を来した者の犯行だから、エバンズの精神鑑定をしようという運びになります。まずはケスラーを疑えよと思いますが、とりあえずはエバンズです。
さっそく訪ねてきた精神科医がエバンズにあれこれと質問していると、台所の方で何か物音が。刑事さんが確認しに行くと、なんとお腹が空いた妻が冷蔵庫の食料を盗み食いしていました。
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とりあえず保護されるも、「私は死んだ、いえに帰るのが怖い」とうわ言のようにつぶやく妻。そんな彼女を見たケスラーに例の症状が現れ、フラフラと歩き出したかと思うと突然警察に襲いかかります。
と、ここでなぜか妻が息を引き取ります。すると意識を取り戻したケスラーはこれまでの犯行が自分自身によるものだと知り、悲観に暮れる。
警察に連行される彼は妻の肖像画を見ながら「帰ってきてくれたね、もう誰も私たちの邪魔をしないよ」と寂しげな表情でつぶやくのだった。
というところで物語は幕を閉じます。
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正直なところ、ストーリーは粗だらけだし、幽霊が一切登場しないのに「幽霊の館」というタイトルだったりと、ツッコミどころを挙げだしたら切りがありませんがそこそこ楽しめました。
「なんか古い映画が見たいな」という時にぴったりだと思います。60分程と尺も短いのでさくっと見られます。
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