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史上最高齢の殺人鬼夫婦が若者たちを血祭りに!続編が気になり過ぎて夜も眠れないよ…「X エックス」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(622日目)

「X エックス」(2022)
タイ・ウェスト監督

◆あらすじ
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1979年、テキサス。女優のマキシーンとそのマネージャーであるウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優のジャクソンは自主映画監督の学生RJと、その彼女で録音担当の学生ロレインと映画撮影のために借りた農場へ向かう。映画のタイトルは「農場の娘たち」。この映画でドル箱を狙う――6人の野心はむきだしだ。農場で彼らを待ち受けたのは、みすぼらしい老人ハワード。彼らを宿泊場所として提供した納屋へ案内する。一方、マキシーンは、母屋の窓ガラスからこちらを見つめる老婆と目が合ってしまう……。(Filmarksより引用)
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『自主製作の映画撮影のため、殺人鬼老夫婦が住む農場に何も知らずに足を踏み入れてしまった若者たちが迎える最悪な末路』

を描いており、大筋自体はかなり王道なんですけども、続編にあたる「Pearl パール」(’22)や「MaXXXine」(日本ではまだ公開前)と合わせて※A24初の3部作の一作目であるため、いたるところに伏線というか続編で明らかになりそうな謎が散りばめられています。

冒頭のこのシーンとかも最高です。(映画.comより引用)

なもんで今作を見ている最中からもう既に2作目の「Pearl パール」がどのサブスクで視聴可能なのかを確認してしまうくらいに続きが気になりますし、ここ最近見た作品の中でもぶっちぎりで面白かったです!誰にオススメしても恥ずかしくない至極の一作です。

※A24(エートゥウェンティフォー)とは

2012年に設立されたインディペンデント(独立)系企業で、映画やテレビ番組の製作、出資、配給を専門としています。これまでに「ヘレディタリー/継承」(’18)、「ミッドサマー」(’20)、「ボーはおそれている」(’24)などのアリ・アスター作品や「スイス・アーミー・マン」(’17)、「関心領域」(’24)など日本でも話題になった数々の作品を生み出している今注目の企業です。

ちなみに社名の由来は、創設者の一人であるダニエル・カッツが会社設立を決意した時、旅行で訪れていたイタリアのアウトストラーダA24という高速道路をたまたま走行中だったからだそうです。

監督を務めたタイ・ウェスト氏はホラー映画を主に手掛けており、今作でも監督、脚本、製作、編集を務めていることから分かる通り、ほとんどの作品で監督以外の業務も兼任しております。

タイ・ウェストWikipediaより引用

2013年には「Complex」という雑誌で「25人の注目すべき35歳以下の映画監督」の一人に選ばれるなど、2005年のデビュー以来、映画ファンのみならず業界からも注目され続けている新進気鋭のクリエイターです。

現在アマゾンプライム、U-NEXT、huluにて配信中です。

映画.comより引用

◇スターになることを夢見る女優のマキシーンと自称プロデューサーのウェイン、傲慢な女優のボビーとベトナム戦争帰りの男優•ジャクソン、監督志望の学生カメラマン•RJと録音係を務めるロレインの3組のカップル。一行は一攫千金を狙い、自主製作のポルノ映画を撮影するためにテキサス州の片田舎の農場を訪れる。ハワードとパールという名の老夫婦の住む農場の離れを借り、順調に撮影を進めていく一行。そしてその若者同士の性行為をパールはひっそりと窓から眺めていた。そしてその晩、ロレインとの仲違いから黙って帰ろうとしたRJに対して、パールは色目を使い肉体関係を迫る。当然拒絶するRJだったが、その瞬間にパールによって惨殺されてしまう。実はパールは異常なまでに性に執着する殺人鬼で、夫のハワードもパールの異常性を知りながらも愛する妻のために殺人の片棒を担いでいた。こうして若者たちは一人また一人と老夫婦によって葬り去られていくのだった。

という流れになっておりまして、大筋自体は『片田舎を訪れた若者たちが殺人鬼に襲われる』という「悪魔のいけにえ」(’74)などにも見られる王道中の王道のパターンではありますが、ここに『高齢の殺人鬼夫婦』という突飛なアイデアを足したり、怪女優ミア・ゴスを起用することによって、同じようなパターンの作品と一線を画しています。

『史上最高齢の殺人鬼夫婦』というアイデアは、ともすれば奇をてらっただけのB級ホラーになってしまいそうなものです。実際本編でも「この夫婦がなぜ犯罪に手を染めているのか」や「どんな生い立ちだったのか」などはほとんど描かれていません。

ハワード(左)とウェイン(右)(映画.comより引用)

しかし、製作陣に明確な根拠と答えがあったうえでのこの老夫婦の存在なので、本編の至る所に想像させる余地があり、非常に立体的な描かれ方をしているのでちゃんとした人間なんです。あまりにも生々しい存在の老夫婦が何の躊躇いもなく殺人を繰り返すことに意味があるからこそ、それがなぜかは分からなくても見ている我々からすると面白いんです。

おそらく青春時代はやりたいことを何一つやれず、抑圧され続けた不遇な時代を過ごしたパールにとって、性に奔放で自由と若さを謳歌する若者たちに対しては名状し難い怒りや妬み嫉み、さらにはそれ以上の感情を抱いていたのかもしれません。

パールの殺人シーン(映画.comより引用)

そして続編の「Pearl パール」は若い頃のパールが主人公のお話です。私はそれを知った状態で今作を視聴していたため、あまりにも気になりすぎて同時並行で視聴しようかと思うくらいにハチャメチャに面白かったです。

傲慢女優のボビーとジャクソン
引きの画でジャクソンのイチモツが一瞬だけ映りますが、半端じゃなくデカかったです。(映画.comより引用)
ジェナ・オルテガ演じる録音係のロレイン
怯えの芝居がとてつもなく上手いです。(映画.comより引用)

そして今作を語る上で外せないのがミア・ゴスの怪演でしょう。おそらくは明日見させていただく予定の「Pearl パール」の記事でたっぷり書かせてもらうと思いますが、30歳とは思えないあどけなさを見せる時もあれば、醜悪な中年女性のような表情を垣間見せたりと実年齢や素の状態がまったく想像出来ないその怪演っぷりは兎にも角にも必見です。

ミア・ゴス演じるマキシーン(映画.comより引用)

私はクローネンバーグ監督の「インフィニティ•プール」(’24)にて初めてミア・ゴス氏を拝見しましたが、破壊性を伴うその圧巻の演技は一度見たら忘れられないことでしょう。

しかも今作では主人公のマキシーンと老婆のパールという一見まったく異なる役を一人二役で演じており、パール役の特殊メイクには毎回10時間以上を要したそうです。

これを同じ俳優が演じているとは言われなかったら誰も気づかないと思います。あと、パールとハワードの壮絶な濡れ場には生命そのものを感じました。(映画.comより引用)

本編ではマキシーンとパールの動きがシンクロしたり、二画面構成の演出があったりと、この二人の間に何かしらの関連性があることを示唆しており、またパールはマキシーンに対して何か感じるものがあるようで、明らかに殺す機会があってもあえて生かしたり、裸で添い寝をしたりと意味深な行動を取ります。

このあたりが続編の「Pearl パール」や「MaXXXine」で明かされいくと思うと楽しみでなりません。

映画.comより引用

スプラッター描写はかなりエグく、欲しいところで来てくれるので痒いところに手が届く爽快感があります。ホラーが苦手な方は絶対に無理だと思いますが、一つの映画作品として本当に素晴らしいのでぜひともたくさんの方に見ていただきたいです。オススメです!

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