終始ヒロインそっちのけ!ヴァンパイア討伐で芽生える男同士の熱き友情!!「ヴァンパイア•ハンター」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(616日目)
「ヴァンパイア•ハンター」(2001)
J•S•カーダン監督
◆あらすじ
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フロリダへのドライブを楽しんでいたショーンは、ヒッチハイカーのニックと出会う。道中、血を流し、錯乱状態の謎の女の子を助けたショーンは、彼女を通じて"ヴァンパイア・ウィルス"に感染!!そして、自分もウィルスに冒されていることを告白するニック。助かるには、1週間以内に感染源である本物のヴァンパイアを殺すしかない。暴走吸血鬼と、それを追うハンター達との壮絶な死闘が、今、幕を明けた!!(Filmarksより引用)
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『ヴァンパイアによる事件に偶然巻き込まれてしまった青年がハンターたちと協力してヴァンパイア討伐に乗り出す』
という、いわゆる王道のヴァンパイものにアクション、友情、お色気要素を追加したロードムービー仕立てになっており、Filmarksではあまり評価が芳しくありませんでしたが個人的にはかなり面白かったです。
詳しくは後述しますがヴァンパイアに関するオリジナルの設定がご都合主義といえば都合主義なんですけども、それらがうまいことを活きておりかなり魅力的でした。また俳優陣のレベルも高く、派手な爆破シーンが何度もあったりとアクションシーンにもかなり力を入れており見応えがありました。
今作の監督を務めたJ•S•カーダン氏は脚本も担当しておりますが、「100年後…」(’06)で監督を務めた以降は脚本業に専念しているようです。
現在アマゾンプライムにて100円でレンタルが可能です。
◇訳アリな高級車をフロリダまで届けるバイトを請け負った映画学校の学生•ショーン。雇い主からは決してヒッチハイカーを乗せたりするなと釘を刺されていたが、道中で知り合ったニックの強引さに負け、仕方なく同乗させることに。そしてその晩、パブで偶然出会った美女•ミーガンがあまりに具合が悪そうだったため、二人でモーテルに連れていき介抱をする。どこか様子がおかしいミーガンと、何か事情を知っていそうなニック。すると突如としてミーガンが暴れ出し、それを止めようとした拍子にショーンは噛まれてしまう。ニック曰く、ミーガンはヴァンパイアウイルスに感染しており、今はヴァンパイア化している最中で、さらにはそんなミーガンに噛まれたショーンもウイルスに感染したらしい。助かるためには感染源となるヴァンパイアを神聖な場所にて倒す他なく、ショーンはニックのヴァンパイア討伐に協力するはめになる。
という流れになっており、登場人物の見せ方や出すタイミングが非常に上手いです。
半ば強引に同乗してきたニックが実はヴァンパイアハンターだったり、道中で出会ったきな臭い若者たちが実はニックが追っていたヴァンパイア•キットの一味で、しかもミーガンを襲ったのもキットたちだったので事件に巻き込まれたショーンも否応なしにそのヴァンパイア討伐に協力する
という風にうまいことピースがはまっていく心地よさもありつつ、派手なアクションシーンやカーチェイスを数回入れることで視聴者を飽きさせないような工夫もされています。爆発や撃たれた警察やヴァンパイアが吹き飛ぶ描写などは少々やり過ぎでは?と思うほどに派手なので画的にも間が持ちます。
そして今作のヴァンパイアに関するオリジナルの要素もかなり魅力的です。
•感染源(ex:キット)と感染者(ex:ミーガン)は通じ合うため、感染源は感染者の居場所がわかる
•感染源を倒さない限りは根治しない
•感染してから1週間ほどでヴァンパイア化する。しかし発症を2年ほど引き延ばす薬があり、実はウイルスに感染していたニックもその薬で延命していた。
•ヴァンパイアは太陽光を浴びるとありえないくらいに爆発する
など色々とあり、この薬に関しては『ニックがたまたま受診した医師もウイルスに感染していたため、ニックも同じ症状だということにいち早く気づき、この医師が独自に開発した薬のお陰でニックはヴァンパイアにならずに済んでいる』というかなりご都合主義な感じもありますが、わりとコメディテイストな部分もあるので個人的にはそこまで気になりませんでした。
ヴァンパイアは日中に太陽光を避けなければならないため、人間の運転手を味方につけ、そいつに運転をさせて自分たちは毛布に包まってトランクケースの中でひっそりと夜を待つなど意外と慎ましい移動を手段を取っていたり、木の杭や十字架でなくても普通に銃で倒せる防御力の弱さを兼ね備えており、ちょうど倒しやすい強さです。ですが人間の心臓を抉り取るほどの力を持っているため、当然普通の人間の何倍も強いです。キット以外も一人一人のキャラが濃くて良かったです。
そしてここで、もう一度今作のジャケ写を見ていただきたいんですけども
これだけ見るとどう考えてもミーガンがヒロインもしくは主役なんですけども、お色気担当の役割が多く、作中でもかなり雑な扱いを受けてしまいます。
元々ミーガンは自宅でキットたちの襲撃を受け、家族は皆殺しにされ、自身もキットに噛まれた後に殺されるはずでした。しかしミーガンを殺すように命令された新入りの子分が躊躇い、結果的に生かしてしまったことでミーガンはヴァンパイアウイルスに感染してしまいました。そのウイルスが発症し、意識が朦朧としているタイミングでショーンとニックに助けられたという訳です。
モーテルでは噛まれた場所を確認するためにニックによって素っ裸にされるわ、気絶させるためにショーンに思いっきりぶん殴られたり、「感染者は感染源(ミーガンの場合はキット)と通じ合うため、キットはミーガンの居場所がわかる」という性質を利用してキットを誘き出すというニックの作戦によって、発症を抑える薬は投与されずにモルヒネだけを打たれて常に意識朦朧状態にされていたりとかなりの薄幸体質です。さらにクライマックスの銃撃戦でも一切見せ場はなく、偶然生き残っただけです。あんまりこういう言い方はあれですが、完全に囮要員です。
ラストもショーンに対して「親戚の家に身を寄せるわ」と感謝を述べるにとどまり、海外映画のド定番でもあるキスシーンなどは皆無でした。
しかもその後ショーンは消息を絶ったニックを探す旅に出ており、おそらくその数ヶ月後、再びハイウェイで再会を果たした2人はヴァンパイア討伐に繰り出すという終わり方を迎えています。全編通してショーンもニックも色恋そっちのけで完全に友情を優先しており、これが一部界隈ではBLエンドと呼ばれているとかいないとか。
ティーン向けの内容ではありますが、かなり凝った設定やこだわりを感じるアクションシーンは素晴らしく、個人的にはかなり楽しめる作品でした。
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