“IQ200の天才VS貞子” このアプローチは新しすぎる!!「貞子DX」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(544日目)
「貞子DX」(2022)
木村ひさし監督
◆あらすじ
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“呪いのビデオ”を見た人が24時間後に突然死するという事件が全国各地で発生。 IQ200の天才大学院生・一条文華は、テレビ番組で共演した人気霊媒師のKenshinから事件の解明を挑まれる。呪いがSNSで拡散すれば人類滅亡と主張するKenshinに対し、「呪いなんてあり得ない」と断言する文華だったが、興味本位でビデオを見てしまった妹の双葉から一本の電話がかかってくる。 「お姉ちゃん助けて。あれからずっと白い服の人につけられてて……」 文華は「すべては科学的に説明できる」と、自称占い師の前田王司、謎の協力者・感電ロイドとともに、<呪いの方程式>を解明すべく奔走する。しかし24時間のタイムリミットが迫る中、仮説は次々と打ち砕かれ――。(Filmarksより引用)
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公式サイト↓
『見た者は1週間後に死ぬ“呪いのビデオ”の謎を追う』言わずと知れたジャパニーズホラーの金字塔「リング」
作品自体は見たことがなくても“呪いのビデオ”や“貞子”のことは御存知の方もたくさんいるのではないでしょうか。
「リング」が公開されたのが平成真っ只中の1998年ですから、令和に時代を移してもなおこれだけ知られているというのが凄すぎますね。
今作はそんな「リング」シリーズの最新作で、“呪いのビデオ”そして“貞子”にIQ200の天才大学院生が頭脳と推理で立ち向かうという新し過ぎるアプローチの異色作で、かなりエンタメ色が強いです。
「リング」のようなジメジメとした“THEジャパニーズホラー”を愛する方からすると「こんなのホラーじゃない!リングシリーズじゃない!」と言われてしまうかもしれませんが、個人的にはこういう意欲的なアプローチの作品があってもいいんじゃないかなとも思います。
ホラー要素は大分控えめで、どちらかというとハラハラドキドキのエンタメミステリーという感じですが個人的には結構楽しめました。
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「貞子DX」っていうタイトルがまず良いですよね。
貞子なうえにDXですよ!ワクワクしますね。
ストーリー自体はかなりシンプルで
◇テレビにも度々出演しているIQ200の天才大学院生・一条文華は、とある番組で共演した人気霊媒師•Kenshinから巷で話題の“呪いのビデオ”の謎の解明を挑まれる。呪いという非科学的なものなど信じない文華だったが、興味本位でビデオを見てしまった妹•双葉が白い服の人物にずっとつけられていると助けを求められる。文華は事件を通して知り合った自称占い師の前田王司、謎の男•感電ロイドと協力して“呪いのビデオ”の謎にせまる
という、誰が見てもしっかり内容を把握できるものなので、見終わった後に「あれってどういうことだったの?」とはならないと思います。
主人公•一条文華↓はIQ200の天才大学生院生
相棒の前田王司↓はナルシストで貧乏でビビりの自称占い師
感電ロイド↓は引きこもりで、ネットではアバターを使用して会話をするため容姿や性別も不明、実際は超ロン毛でガスマスクを付けたイケメン
とメインキャストはそれぞれキャラ付けが盛り盛りなので印象に残ります。
霊媒師のKenshin↓はインチキくさいし、宗教まがいのビジネスで巨万の富を得ているなど作中屈指のインパクトを誇ります。更には演じていらっしゃるのが池内博之さんなのでめちゃくちゃ濃いです。他の方の感想を見てもやっぱり、池内博之さんがすごく良かった!面白かった!というコメントがかなり多く見受けられました。
◇文華たちが『見たら24時間後に死ぬ呪いのビデオ』の謎に対して様々な仮説を立てるが、それを次々と打ち砕いていく貞子
という構図も面白いですし、その中で新たな仮説が生まれて呪いに対抗していくため飽きがきません。更には最終的に“ウイルスによる幻覚”というところに着地するのは中々に面白かったです。
『大勢で映像を見ればウイルスの力が分散するかも』という仮説や『ウイルスの感染に恐れて逃げ続けていたけど、逆に感染し続ければ助かる!つまり映像を見続ければいいんだ』という結論は盲点でした。
『それぞれの貞子が見える日常とうまく付き合って行く』という終わり方もある意味一番のハッピーエンドで良かったです。
ですが、貞子に関してはあまり出番が無くて少々残念でした。
映像を見た人はウイルスに感染し、白い服を着た身近な人(親戚や友人)が現れ、24時間後には伸びた髪の毛によって首を締められて苦しみながら死んでいきますが、これら全てがウイルスによる幻覚です。貞子は最後にちょろっと出る程度ですが井戸から這い出る姿や独特な動きは健在でとても良かったです。
正直、気になるところが無かったと言えば嘘になります。
『主人公がIQ200の天才』ということに対して何の説明もないので、視聴者からすると、映画が始まった瞬間に『主人公は天才です。なんでも分かります。』という設定をまず飲み込むところから始まるので、あまり親切な導入ではないなと思いました。頭脳で貞子と戦わせたいからこういう分かりやすい設定にしたんだなというのが伝わって来てしまい、少し冷めてしまいます。
相棒の前田王司はナルシスト、ヘタレ、女好き、貧乏、自称占い師と、とにかくキャラ付けが濃すぎて、役者さん本人の魅力が伝わってきませんでした。
過剰にビビったり、何度拒否されても文華に抱き着いたりと少々ウザキャラの一面もあり、ファンの方からすると『ヘタレキャラの川村壱馬さんもかわいい!』となるのかもしれませんが、映画自体を見たい人には嫌われてしまいそうなキャラだなと思いました。
感電ロイドに関しては“ネットを駆使して文華たちをサポートする謎の男”という設定は非常にかっこいいんですが、物語終盤で“いざ生身で登場!”と思ったら超ロン毛の上、ガスマスクを付けているので顔がまったく見えません。ラストシーンだけ素顔が拝めますが、黒羽麻璃央さんのファンからしたら黒羽さんのお顔がほとんど見えないというのはかなり残念なことではないでしょうか。
あとラストの映画館のシーンは意味がわかりませんでした。西部警察のパロディも不要に感じましたし、詳細キボンヌは死語すぎて今の方には馴染みがないですし、ウェイトレスさんや通行人を貞子と見間違えるくだりも多すぎると思いました。
あと、一点だけ何度見返しても理解できない会話がありまして、
喫茶店にて呪いのビデオについて文華と王司が話し合うシーンで、文華が「人間の細胞は24時間周期で〜」と話していると、突然王司が「野球好きなの?阪神ファン?虎がいるーイエロー、そこから一歩踏み出すってまさかジャイアンツファンになるんじゃないよね?」と意味不明なことを言います。私の聞き違いもあるかもしれませんが、このセリフの意味が分かる方いらっしゃいませんか?何回見返しても私は分かりませんでした。
人気のある若い俳優さんを見せたいという側面もある作品だと思いますが、その割には嫌われてしまいそうなキャラにしたり、顔を見せなかったりと、意図が不明瞭な部分もありました。
ホラー映画としてはあれかもしれませんが、見応えのある内容なので「リング」ファンの方もそうでない方もぜひ!
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