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日本の美意識 | 文化・工芸・アート

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世界で人気の高まる日本の美意識について綴っていきます。 1/侘び寂び 2/間と余白 3/禅 4/陰翳 5/自然観 6/日本の茶 7/縁 8/用の美 9/金継ぎ 10/渋い
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連載のテーマである伝統的な美意識とは少し異なりますが、日本には、「縁」という言葉があり、これは人と人の関係だけでなく、物事との繋がりにも使われる言葉で、とても東洋的な考え方の一つではないかと思います。 縁は縁起から 「縁」とは、仏教の言葉である「縁起(えんぎ)」に由来します。縁起とは、あらゆる物事には起因があり、繋がりがあるとする考え方です。日本人はもともと、集落での暮らし方を尊重し、個よりも集団を大切にしてきました。人々は支えあって暮らしているものであり、夫婦であれ、友

日本の茶

海外では、和食の人気の高まりと共に、日本茶の存在感も増してきました。私が暮らすシンガポールでも、抹茶や焙じ茶を使ったお菓子や飲料はとても人気があり、ペットボトルの緑茶も日常でよく見かけるようになりました。 海外で「Japanese Tea」と言えば、「Green Tea」を思い浮かべる人がほとんどですが、その緑茶も元々は中国で生まれたものです。茶は中国で薬草として用いられ、次第に、飲み物となり、9世紀頃に禅僧が日本に持ち込んだとされています。その後、江戸時代に煎茶が誕生し、

自然観

日本の美意識について学んでいくと、日本人の美意識の根底に備わっているのは、「自然観」というものなのだろうと気づくようになります。日本人が散りゆく桜を美しいと感じるのは、日本ならではの自然観によるものです。この美意識は、「無常」という言葉で表されることがありますが、これは元々は仏教の用語でありながら、日本の四季の移り変わりの中で、日本らしい美意識へと育っていった言葉の一つです。 西洋と東洋とで異なる自然観「自然観」とは、自然に対する人々の価値観や向き合い方のことを言います。例

陰翳

1939年に発表された谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』は、日本の美意識を広く海外にまで伝えている本の一つです。日本人がいかに薄暗がりが好きかということを独特の文体で描いたこの書は、日本の美学に興味を持つ外国人やデザイン、建築を学ぶ学生にとっては必読書となっており、哲学者のミシェル・フーコーや世界的な建築家である安藤忠雄らも大きく影響を受けたとされています。 陰翳とは何か「陰翳」とは光の当たらない暗がりのことですが、真っ暗な闇を指しているのではなく、光の存在を

「侘び寂び」と同じく、広く海外に伝わる言葉である「禅/Zen」。スティーブ・ジョブズが影響を受けたことで、東洋的な精神性の一つとして、海外でも興味を持つ方が絶えないようです。「禅」と聞けば、まず真っ先に思い浮かぶのが、「座禅」です。元々、禅は大乗仏教の宗派の一つであり、「禅宗」の略語ですが、座禅を行い、心を落ち着かせることに重きを置くことから、現在ではマインドフルネスの一つとしても応用され、国内外の企業に注目されているものでもあります。本来は仏教の一つでありながら、「禅とは何

間と余白

日本ならではの美意識を語るとき、侘び寂びと同じように、「間/Ma」と「余白/Yohaku」という言葉も欠かせないものです。「間」は、主に演劇や音楽、対人関係の中で意識されるもので、「余白」は美術やデザインのような平面的なものにおいて、頻繁に用いられる言葉です。では、これらの意識は、どのように日本で育ったのでしょうか。 何もないことは豊穣「間」や「余白」という意識には、仏教の「無」や「空」という概念が元にあると考えられます。キリスト教では、「無」とは「有」の対義語で、ただ何も

侘び寂び

「侘び寂び/Wabi Sabi」は、禅の影響から生まれた、日本の伝統的な美意識の一つです。「もののあはれ」や「いき」など、日本には古くから様々な美意識があるものの、侘び寂びは、現代において、海外にまで広く伝わっている言葉として、特別な存在と言っていいものです。私自身も、日本で暮らしていたときには、ほとんど意識することのない言葉でしたが、海外で暮らす時間が長くなるにつれ、「侘び寂び」という美意識が、自然と自分の中にあることに気づくようになりました。 「侘び」と「寂び」「侘び寂

序章 - 世界の中の日本

海外の人に日本の魅力を語るとき、みなさんはどんな言葉を思い浮かべるでしょうか。「桜/Sakura」「富士/Fuji」「鮨/Sushi」「侘び寂び/Wabi Sabi」。こうした言葉に続いて、「工芸/Kogei」という言葉を世界に広めたい。それが、私たちの活動に通底する想いです。 ものづくりの国、職人の国日本は、高度経済成長を経て、ものづくりの国として世界で評価を高めてきました。今では、様々な国の人が日本製の車や電化製品は品質が高いと言ってくれます。数年前に、ドバイに行った際