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「営業のしごと」で大切なこと。
「営業のしごと」と聞くと、それはもう厳しい世界を想像する。
どんなしごとでも甘くはないが、とくに「営業」は苦労が多そうなイメージだよね。
わたしの働くコールセンターは「電話営業」の側面がある。
新入社員に研修をする係りのわたしは、1ヶ月という研修期間の後半で「営業の基礎」みたいなことを教える。
すると、半分くらいの新人さんは「苦手なんだよなあ」とおっしゃる。
(面接の段階で「営業のしごともあるよ」と確認されてるはずなんだけどなあ)と、思いながらも、まー気持ちは分かる。
営業のしごとに対して「よっしゃ、待ってました、まかせとけ」と、意気込める人はなかなかいないよね。経験があれば別だけど。
「営業=相手が嫌がっているのにオススメしまくる」というイメージを持っている人は多い。
だからみんな「大変そう」「きつそう」と思う。
でも、それは営業とはいわない。
それだと、嫌がらせだ。
「営業のしごと」で初めにやるしごとは「相手に気に入ってもらうこと」だ。
相手の困ったを解決するとか、商品の魅力を伝えるとか、サービスに詳しくなるとか、そういったテクニックは二の次。
そして相手が気に入る・気に入らない、という判断をする上で「話し方」というのは大きなネックになる。
A
「おはようございます」
「おお、今日も暑いね~」
「暑いですね〜」
「大島優子、結婚しちゃったねえー」
「いやー、結婚しちゃいましたねー」
B
「おはようございます」
「おお、今日も暑いね~」
「そうですねー」
「大島優子、結婚しちゃったねえー」
「そうですねー」
C
「おはようございます」
「おお、今日も暑いね~」
「あ、はい」
「大島優子、結婚しちゃったねえー」
「あ、はい」
一般的に、相手に気に入られる話し方はAだ。
誰だって、自分が話したことをもう一度言われたら嬉しい。
悪気がなくとも、BやCは話していてつまらない。
この人ともっと会話したい、とは思われない。
そんなBやCの人から商品やサービスを進められても、興味は持てないだろう。
仲の良い友達でさえ、興味のない映画を勧められたら嫌気が差すものだ。
それが赤の他人であれば、なおさらだ。
だからこそ「営業の基礎」は、親しみを持てる話し方から学ぶ。
でもそれは、営業のしごとだけに必要なコミュニケーションじゃない。
どこで誰としごとをしていたって、相手に気に入られる話し方を知っておくことは、自分の世界を楽にしてくれるはずだ。
A
「わたし、朝はパン派なんだよね~」
「パン、おいしいですよね~」
B
「わたし、朝はパン派なんだよね~」
「え、わたしはご飯派です」
C
「わたし、朝はパン派なんだよね~」
「あ、はい」
一般的に相手に気に入られる話し方はAだ。
誰だって、自分の発言を肯定されたら嬉しい。
YESマンになれ、というわけじゃない。
実はご飯派であったとしても、まずは相手の「パン」を認めてあげよう。
それから「わたしはご飯も好きです」と続けることで相手も聞き入れやすい。
相手に気に入られる話し方をしていれば、自然と周りもあなたを大切にするだろう。
もちろんこれが全てじゃない。
ホストの世界に「オラオラ営業」という手法があるように、下手(したて)に接することだけが営業の全てじゃない。
でもオラオラ営業は、相手がオラオラを望んでいるから成立しているのだ。
結局「相手に気に入られること」が共通の条件であることに変わりはない。
相手に合わせるチカラが大切なのだ。
営業は、そんな「対人能力」を学べる場でもある。
そこで得たコミュニケーション力は将来かならず役に立つので、もし営業職に従事することがあったら「勉強しながらお金ももらえる~」くらいの気持ちでぜひ学んで欲しい。
しかし、営業の現場はつねに成績に追われる。
労働環境や上司・同僚に恵まれるかどうかで、やりがいは大きく変わる。
「営業のしごと」がつらくなったら、無理せず転職することおススメする。
心や身体を壊してまでやるしごとではないよ。
これもまた「営業のしごと」をやるうえで大切なことのひとつだ。
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