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マークの大冒険 現代日本編 | 全てを超えし者
前回までのあらすじ
早川夜の計画を聞いたマークは、一握りの望みに賭け、あの日のローマに向かうことを決心する。そして、夜の父親についてを訊ねた。かつて密かに想いを寄せていた瞳の相手が誰なのか、マークは内心気になっていた。だが、夜が発した「橘」という死んだはずのかつての親友の名を聞き、マークは驚きを隠せなかった。
10年前、エジプトの荒野にて_______。
エジプトの荒野に突如出現した巨大な岩柱。その上で、マークがアイオーンに問いかけていた。
「お前の目的は、何なんだ?」
「目的?それを聞いて何になる?」
「それが、ボクの生きる意味だからだ。だから教えて欲しい。自分の人生に納得するために、ボクはこの世界の真実が知りたい」
「面白い。いいだろう。教えてやろう。救済には、世界線の統合が必要だ」
「世界線の統合?」
「最も幸福な世界線に全てを集約し、貧弱な可能性を淘汰して不幸を排除する。可能性があるから、人は悲しみに暮れ、不幸が生まれる」
「ボクらのこの世界はどうなる?」
「言っただろう。貧弱な世界線は、統合され、淘汰されていく」
「それはこの世界のボクらを殺すことと同義ではないのか?」
「全くの逆だ。これは救済に他ならない。キミたちは祝福されるのだ」
🦋🦋🦋
「並行世界論......」
マークが低い声で呟いた。
「並行世界論?」
夜が眉間に皺を寄せてマークに聞き返す。
「きっとキミは、こことは異なる世界線から来たんだろう。橘の生きる世界線......。昔、アイオーンから聞いたんだ」
「アイオーン?」
「ああ、この世界の創造主、万物の根源にして大宇宙。ケイオス、ヤーウェ、エロヒム、メシア、キリストとも言う。ボクは10年前にエジプトでキリストの再臨に遭遇した。そして、彼の計画を阻止した。その時に聞いたことだ」
「教授は彼から何を?」
「アイオーンが言っていた。世界線は複数存在し、束のようになっていると。それぞれの世界線は、似ているようで少しずつ異なっている。可能性の流れがアイオーンには認知できるんだ。それは世界線の内側に生きるボクら人間には認知できない。世界線の外、言うなれば世界線を束ねている外側の世界バルベーローに行き来できるアイオーンにしか認知できない」
「バルベーロー?待って待って、さっきから全然分かんない」
「キミとボクの話が食い違っているのは、異なる世界線同士だからだ。きっとどちらも本当で、現実なんだ」
「私たちの世界が違うってこと?」
「ああ、キミは過去という時空を超えた上に、世界線の壁も超えてしまった。ボクはそう仮定している」
「ホルスの仕業?」
「俺は知らん」
ホルスは腕を組みながら首を横に振った。
「ああ、もう!こんがらがってきた。学者はシンプルなことを小難しく言うのが得意よね」
「すまない。ボクにも上手く説明できないんだ。というか、この状況自体、正直まだ飲み込めていない」
Shelk 🦋
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