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【化学基礎】7時限目 検出反応
こんばんは!
羊諸兄は元気モリモリ?
今日も授業を始めます。
【前回の復習】
【混合物】に含まれる【純物質】の各性質に従って
最適な【分離操作】を実施することで
取り出したい【純物質】を狙い撃ちして取り出せる。
その各性質って奴の1つが【同素体】という話だった。
【同素体】が羊諸兄に関係してくるとすれば
【応用化学】の後半の単元の【無機化学】でだ。
進路に【応用化学】を必要としない羊にとっては
次の中間試験までで【同素体】バッバ~イだ。
だから「逃げちゃだめだ」みたいなほど気負い過ぎる必要は全くない。
要領よくやってこ?
さて、本日は【検出反応】について学習していく。
【検出反応】は【分類操作】と違って
そもそも特定の物質を大量に回収することを目的としていない。
【クロマトグラフィー】みたいに特定物質の存在の確認が目的だ。
諸兄が勉強している【化学基礎】では
【炎色反応】、【沈殿反応】、【気体発生反応】の3つを学習する。
では早速始めて行こうか。
※工房主からのお願い※
動画先は私のチャンネルではありません。
動画を作るのも楽ではありません。
時間と体力とある種の自己犠牲が必要な作業です。
貴重な結晶を無料で公開して下さっている動画先に対して
感謝の good 評価ボタンを押して下さいますよう
どうぞよろしくお願いします。
炎色反応
第1族、第2族の【元素】を始めとした
特定の金属【元素】を含む【化合物】や水溶液を炎にかざすと、
炎の色がその【元素】特有の色を呈する。
これを【炎色反応】という。
第1族、第2族がまだ定着していない羊はいねが?
炎の色が変わって「綺麗ねぇ」で終わりではない。
今回学習しているのは【検出反応】だから、
炎の色を見ることで何の【元素】が含有されているかが解る
まで理解して目的達成だ。
【化学基礎】で覚えておくと良いのは次の7つ。
Li(赤) Na(黄) K(紫)
リアカー 無き K村
Cu(緑) Ca(橙) Sr(紅) Ba(黄緑)
動力 借るとう スルもくれない 馬力
では動画で実際に色を見て行こう。
今回も安心安定のヒロシ先生だ。
Cu だけ一番最後になっているけど
それ以外は上記の語呂合わせの順で実験してくれるのでよく見ていて。
【動画】 想定外な事を真顔でする化学者は何故か面白い
本来なら使用するはずの白金 Ptについてだが、
化学的に非常に安定な物質で反応性が非常に低い金属である。
耐化学反応は勿論のこと熱による物理変化にも強い。
融点はなんと1768℃だ。
また、赤リンと同じようにある種の反応触媒でもあるので、
他の金属の炎色反応を補助し色が鮮やかに見えるという効果もある。
【復習】 赤リンの特性
そういうわけで、【炎色反応】の実験において
普通は金属水溶液に浸した白金線を炎に突っ込んで色を見るのだが・・・。
っぱヒロシ先生はやることが一味違うぜ!
動画の後半では何故色がついて見えるのかを
【原子】の【エネルギー】の話から簡単に説明していた。
本来は【原子】については【物質の構成粒子】の単元で、
【エネルギー】については【応用物理】でそれぞれ学ぶものだから、
今は無理せず「わがった!」35Pだけ頭の片隅に置いておくと良い。
因みに、最後にチョークを燃やして色を見ていたけど、
チョークに含有されている金属【元素】が何だか解ったかな?
願わくば色を見返して判断してほしいところだが、一応参考情報として、
市販のチョークの主成分は炭酸カルシウム CaCO3 であると伝えておく。
【余談】 我々の生活の中での見る炎色反応と言えば花火が代表的。
沈殿反応
【水溶液A】と【水溶液B】を混ぜた時に化学反応が起こるとする。
その反応の結果は事前に解っている。
何で解っているかっていうと、
それこそ幾千もの化学者達の研究の結果によるものだ。
物質のもつ特性、すなわち
誰と誰が燃えたり溶けたり混ざったりで反応するかというのが
単純な化学反応なら既に判明しているのである。
故に、じゃあ実際に混ぜた結果と照らし合わせて
「ああやっぱり入ってたね」と存在確認が出来るのだ。
その結果と言うのが味とか匂いとかだったら
感覚には個人差があるので「もしかしたら違うかもしれない」があるが、
固形物や色や濁り等の沈殿であったなら客観的で一目瞭然である。
事前レシピと照らし合わせながら
沈殿の有無によって存在確認をしようと言うのが
この沈殿反応の目的である。
※注意※
沈殿と言うと固形物を強くイメージしがちだ。
コロコロとかサラサラとかドロドロとか。
ところが、化学の世界ではモヤモヤなどの濁りも沈殿と呼ぶ。
沈んでないけど沈殿、これマメな。
要は反応前には無かったものが
反応によって視認できるものとして生成されたら
それば沈殿物と見なされるのである。
さて、【動画】で実際に見てみよう。
【動画】 塩化銀 AgCℓ の沈殿で塩素 Cℓ や銀 Ag を確認する
塩化ナトリウムは水溶液中で
ナトリウムイオンと塩化物イオンに電離している。
$$
NaCℓ ➡ Na^+ + Cℓ^-
$$
硝酸銀は水溶液中で
銀イオンと硝酸イオンに電離している。
$$
AgNO_{3} ➡ Ag^+ + NO_{3}^-
$$
2つを足し合わせると・・・
塩化ナトリウム + 硝酸銀 ➡ 硝酸ナトリウム + 塩化銀(↓)
$$
NaCℓ + AgNO_{3} ➡ NaNO_{3} + AgCℓ(↓)
$$
この時、塩化物イオン と銀イオンが反応して
塩化銀の白色沈殿が析出されることは既に解っている事実である。
電離だとかイオンだとかの話は【イオン】の単元で詳しく解説するので
今は鮮やかな白色沈殿が生成されたのを見て
「という事は確かに塩素と銀が含まれていたんだな」
というのを確認することを単純に楽しんでほしい。
動画では銅線に塩素を含む水溶液をつけて【炎色反応】も試みているが、
今は【沈殿反応】に集中しよう。
この動画が一番鮮やかに析出していたと思います!
気体発生反応
物質(固体)に酸を加えると気体が発生することがある。
この気体を回収し特性を調べ気体が何であるかを特定することで
物体に気体の【元素】が含まれていることを確認する。
【例】
大理石に希塩酸を加えると気体が発生する。
この気体を回収して石灰水に通したところ、石灰水が白く濁った。
この大理石にはどんな【元素】が含まれるか。
大理石の主成分は炭酸カルシウム CaCO3 であること、
石灰水は水酸化カルシウム Ca(OH)2 であることが解っている。
【動画】 炭酸カルシウム CaCO3 に希塩酸 HCℓ を加える
反応経過を説明する。
❶炭酸カルシウム CaCO3 に希塩酸 HCℓ を加える。
$$
CaCO_{3} + 2HCℓ ➡ CaCℓ_{2} + H_{2}CO_{3}
$$
❷塩化カルシウム CaCℓ2 と炭酸 H2CO3 が発生する。
炭酸 H2CO3 というのは
皆も良く知るコーラとかファンタとかのシュワシュワの源。
そう、まさにその炭酸のことだ。
炭酸は非常に不安定な物質で、常温常圧で簡単に化学変化してしまう。
$$
H_{2}CO_{3} ➡ H_{2}O + CO_{2}
$$
故に、炭酸カルシウム CaCO3 と希塩酸 HCℓ の反応式は
次のように修正できる。
$$
CaCO_{3} + 2HCℓ ➡ CaCℓ_{2} + H_{2}O + CO_{2}(↑)
$$
という事で反応式だけを見ると、
大理石 CaCO3 に希塩酸 HCℓ を加えた時に発生する気体は
どうやら二酸化炭素 CO2 であるようだ。
❸発生した気体の特定をする。
本当に二酸化炭素 CO2 であるかを確認する。
今回は反応式から気体が二酸化炭素 CO2 と既に予想がついているので
二酸化炭素特定の定番、
石灰水つまり水酸化カルシウム Ca(OH)2 水溶液に通して
水溶液が白く濁るかどうかを見てみる。
$$
CO_{2} + Ca(OH_{2}) ➡ CaCO_{3} + H_{2}O
$$
二酸化炭素 CO2 は水酸化カルシウム Ca(OH)2 と反応して
炭酸カルシウム CaCO3 を生成する。
大理石がもともと白色の鉱石だから水溶液が白色になったと思いがちだが、
そんな単純な話でもなくて、
白く見えるのは炭酸カルシウム CaCO3 自体の分子構造と光の関係による。
詳しくは【分子分光学】等の大学の科目で学ぶので今は聞き流しで頼む。
なぜ物質は色がついて見えるのか。
無限の色をもつ光の反射と吸収が分子構造とどう関係するのか。
完全な光学迷彩は可能か。
太陽光に当たると温かいのは何故か。
物質が光に当たった時の反応から物質の特性を断定できるか。
興味がある羊諸兄は進路先の1つに物理系大学を含めると良いと思う。
本題に戻る。
気体を水酸化カルシウム Ca(OH)2 に通したところ
水酸化カルシウム Ca(OH)2 は確かに白濁したので
気体は二酸化炭素 CO2 であると解る。
二酸化炭素 CO2 があるという事は炭素Cを含むという事でもあるから、
大理石の中に炭素Cの存在を確認できたことになる。
【補足】
動画では白濁した後も二酸化炭素 CO2 を送り続けていた。
すると、やがて水溶液がまた無色透明に戻ったことに
気が付いた羊諸兄も多いと思う。
白濁はモヤモヤだけど化学では沈殿と見なされるとは既に学んだ通り。
沈殿が生成される反応の中には沈殿生成で反応が完了せずに
特定物質を更に加えることで元の色に戻る反応へ発展するものがある。
$$
CaCO_{3} + CO_{2} + H_{2}O ➡ Ca(HCO_{3})_{2}
$$
Ca(HCO3)2は炭酸水素カルシウムという。
炭酸水素カルシウムはイオン性の物質で、水の中で簡単に溶ける。
イオンになって溶ける、という事は固体として視認できなくなるという事。
沈殿みたいに析出したらしっぱなし、という物質ではないのだ。
結果、白いモヤモヤが消えて無色透明に戻った訳だ。
この辺も【化学基礎】では【イオン】の単元で学習するので
今は「ふむふむ、そういうもんか」で置いておいてくれ。
さて、如何だったかな。
今回は【化学基礎】で扱う【検出反応】3つについて学んだ。
【応用化学】の【無機化学】で本領発揮する知識ではあるが
今後【化学基礎】でも十分に使われる知識でもあるので
ほどほどに押さえておくのが良いだろう。
てか、1学期中間試験でも普通に出題されるしね。
次回は【物質の三態と熱運動】の話をする。
それが終わったらいよいよ1学期中間試験だ。
序盤の序盤、ストーリー上の最初のボス戦とはいえ、
レベル上げを怠ると簡単に負けてしまうので頑張ってくれたまえ。
中間試験が楽しみで武者震いしてきたという羊は
良かったらチャンネル登録や good ボタン、
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武者震いどころかガクブルしてきちゃった羊は
神戸元町 老舗珈琲店 港ティラミス
でも食べて落ち着くと良いょ。
私、ティラミスがめっちゃ好きなんですけぇど!
市販のティラミスの中ではこれが一番美味しいと思ってるんですけぇど!
異論反論を認めるので
メイン、サブを問わず自分の最近の一押しメニューを
是非コメント欄にコメントして行って下さい。
ここ数年は春と秋が無くなったかのように
酷暑と超寒波しか来てない記憶しかありませんが
諸兄も体調管理にはくれぐれもご注意を。
それではまた次回に。
本日の授業を終わります。
お疲れさまでした。