唐代SFってなんなのじゃ|「長安ラッパー李白」大恵和実編(読書日記)
唐代を舞台にしたSF短編小説のアンソロジー。漢詩って上等なラップだなあと常々思っていたので、本屋さんでタイトル買い。漢詩、最近興味を持っているトピックス。
素直な感想、私には難解すぎた!こんなに読むのに時間がかかった本は久しぶり。4日くらいでなんとか読み終えたけど、一晩寝たらどんな話だったのか分からなくなってしもうた。😭
この本自体は、熱と愛の詰まった大作だと思う。それは伝わりました。私が未熟であった。
ところどころ面白かったポイントはあったので、断片的で恐縮ながら書きます。
祝佳音(ジュージアイン)さんの『大空の鷹—貞観航空隊の栄光』っていう作品の中では、太宗皇帝の高句麗遠征が描かれていた。わー懐かしいな!世界史の授業楽しかったなーなんて読み進めていたら、航空機で空中戦が始まったものだから驚いた。でもSFだもんなって思ったけど、いやSFってだからなんなのだ?何度説明をしてもらっても余計分からなくなってしまうんだよ。
なんでもアリな感じではないことはよく分かる。この大空の鷹も細かい設定がしっかりあって、その世界の理が決められていた。壮大な架空話だ。私にはなんで戦っているのか、敵は誰なのか、読み解けない(不甲斐ない😭)のだけど、その世界のことを知るのはとても楽しかった。唐の時代にどうやって戦闘機を飛ばすんだって思うじゃん?動力もちゃんと考えてあるんですよ。
牛筋索っていうのは、多分作中にたくさん出てくる「牛筋皮」と同じような意味と理解した、多分。この牛筋皮のねじれをモーターの動力にして飛んでるみたい。
牛筋皮、聞いたことないワードなので架空の物体かなと思って検索したら、牛すじのことだった。牛すじがねじれながら飛ぶ飛行機!これはぜひアニメで観てみたいビジュアル。恐れ多いが、宮崎駿先生かマンガ「映像研には手を出すな!」の浅草氏に手がけてもらったらヤバいものが出来そうだ。
表題作の「長安ラッパー李白」は、唐代の中でも一際華やかなイメージのある玄宗皇帝の時代の長安での話なんだけど、この話の中で出てくる長安は荒れ果てていた。人々は生活に困窮していて、あんまり幸せそうじゃなかった。あと謎ルールがあって、韻を踏みながらじゃないと会話しちゃいけないらしい。
人々は不満をラップに乗せて、声高に歌い上げる。詩作の天才李白もそれに呼応するように見事な返しをする。
魂のフリースタイルだなあと読んでいたのだけど、李白の返しの歌がどこかでみたことがある気がする。あとがきで判明したことには、実際の李白の作品をラップ調に翻訳したものらしい。高度な技術に感服です。
作者は李夏(リーシア)さんという方。めちゃhiphop好きと見受ける。唐代の漢詩文化とラップが生まれたghettoの文化、両方へのリスペクトを感じた。
この本ね、本当はもっと楽しめるんだと思う。私が未熟で…知が足りなくて…。悔…。
ハイキュー‼︎のあるセリフが頭をよぎる。
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勝負事で本当に楽しむ為には、強さが要る
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勝負事ではないけども、どんなことにも楽しさのレベルを上げようとするとぶち当たる壁ってあるよね。磨きましょう。