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妄想ビアカクテル選手権
自宅の部屋の片隅に、段ボールに入れたまま放置している、80本以上の缶ビールがある。
毎年、父が私の誕生日にアサヒの生ジョッキ缶を2ケース(48本)贈ってくれるのだが、消費が追いつかず、ストックがどんどん溜まっていく。
かといって、「もういらねーよ!」とは言いづらい。最初にもらった時、「嬉しい🍺🍺🍺」と、少し大げさに喜びの言葉を伝えたところ、無口で物静かな父が嬉しそうにしているのがLINE越しに伝わってきたからだ。
私のことを生ジョッキ缶ジャンキーだと思っている父の厚意によってビールの在庫が100本を超えてしまう前に、コンスタントに消費できる美味い飲み方を発見したい。
ビールとあれの組み合わせは美味いに違いない。頭の中で描いた妄想を元に、自分なりに試行錯誤してみることにした。
エントリーNo.1 リアルゴールド
まずは好きな飲み物から試してみる。同じエナジードリンクでも、レッドブルやモンスターではなく、リアルゴールドが好き。麻雀をしているときや、サウナに入った後、自販機で見つけたら大体買って飲んでいる。
多分、シャンディガフのようになるだろう。楽観的な心持ちで、ビールと合体する。リアルゴールドの投入量は、8割くらい。200ml程度を注ぎ込んだ。
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うーん、美味い。エナジードリンクの風味はわりと残っていて、スイスイと喉を通り抜けていく。だが、いかんせん甘い。恐らく甘くないジンジャエールが使われることの多いシャンディガフは、ちゃんと考えられていたのだ。
エントリーNo.2 キレートレモン
クエン酸が入っているので飲むと「酸っぱい顔」になるのだが、疲れた時に欲しくなる、好きな飲み物のひとつ。今回は、最もスタンダードな155mlのビンタイプを使用する。
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ビールとの配分は1:1。ちょうど、キレートレモン1本分を使い切る格好になった。ビールの色は、少し薄くなった感じがする。
口に入れた瞬間の印象は、お洒落なクラフトビール。まさに柑橘系のフルーティーな味がする。クエン酸特有の酸っぱさも、ビールの苦さでちょうど良い具合に中和されていて、美味しい。レモンビールというのは普通にある気がするので当然か。
ちょっと気になるのは、リアルゴールド同様、後味に残る若干の甘ったるさ。ジュースだとそこがマイナスポイントかもしれない。
ただ、近所にある、最近できたクラフトビール屋さんで飲むと1000円くらいしそうな味わいが、キレートレモン1本で半分くらいは再現できたところは◯。
エントリーNo.3 飲むヨーグルト
この日の晩ごはんはカレーだった。カレーにマッチする飲み物といえばラッシー。しかしラッシーは用意できなかったので、飲むヨーグルトを買ってきた。
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イメージ的に、飲むヨーグルトはビールより重そうなので、グラスの下の方に沈澱して、完全に分離してしまうかもと懸念したが、意外とそんなことはない。むしろ一体化して、全体が白みがかった面白い見た目になった。なお、ビールとの割合は1:1。
ゴクリ。一口飲んでみる。ヨーグルト特有の酸っぱさがアクセントとして存在感を発揮しつつも、だいぶマイルド。リアルゴールドやキレートレモンの時に感じた妙な甘さもない。
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また、ヨーグルトのもったり感によってビールの炭酸が絶妙に抑えられ、ゴクゴク飲める。味は全然違うが、サウナ後に飲む「オロポ」のような感じで、心地よい喉ごし。
これは、暫定1位である。
エントリーNo.4 ブラックコーヒー
平日はブラックコーヒーを2L飲む私。今は冬なので、インスタントのホットコーヒーを水がわりに飲んでいる。最近、ふるさと納税で頼んだ淡路島のドリップコーヒーが120袋届いたところだ。完全にコーヒー依存症である。
大好きなブラックコーヒーとビールを混ぜたら、多分黒ビールみたいになるだろう。より苦い方が良さそうなので、何となくスターバックスのロゴが書かれた缶コーヒーを買ってきて、丸々1本グラスに入れる。泡ジョッキ缶とブレンドすると、見た目は一応それっぽい感じになった。
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一口飲んだ印象は、うっすい黒ビール。イメージ通りの感じにはなったが、苦味や濃さが足りない。後でスタバの缶コーヒーを飲んでみると、かなりさっぱりとしたテイストだったので、それが足枷になったか。
今度、良いコーヒーを淹れて、冷蔵庫で冷やしてからやってみよう。
エントリーNo.5 りんご酢
私の母は、「飲む酢」が好きだ。実家にいた時から、わざわざAmazonで結構なお値段のするお酢を買って、炭酸で割って飲んでいた。葡萄、ざくろ、柚子、ブルーベリーなど、色々な味があって楽しい。おこぼれに預かっていた私が好きだったのはりんごだ。
そういう、ちょっとお高いけど美味しい飲む酢を探してスーパーに行ったのだが、想像していたようなものはない。まぁ当然か。仕方がないので、無骨なビジュアルの「りんご酢」を購入した。
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ちょっと出して舐めてみたら、普通に酢。匂いもそうだ。若干不安になりながら、フュージョン。
そして一口。いや二口。むむ、三口。ゴクゴクゴクゴクと、止まらない。喉が欲してしまう。美味い。
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りんごの風味はちゃんとある。それでいて、ジュースと違って甘さがないので、ベタベタとした感じがない。キレがありながら、フルーティーで洒落た雰囲気もある。あの朴訥とした見た目の瓶からは想像もつかないほど、モダンで洗練された味わいである。
ちなみに、この500mlの「りんご酢」は近くのスーパーで約300円。コスパも良いのである。
結論
今回試した中で、リピートしても良いなと思ったのは、「飲むヨーグルト」と「りんご酢」。試行錯誤の過程で、「やっぱりビールはそのまま飲むのが1番」というどうしようもない結論に達しかけたが、この2つが、それを回避させてくれた。
誰かしらはすでに試しているだろうなぁと思いつつ、恐る恐る検索すると、やはりレシピが出てくる。他の「リアルゴールド」「キレートレモン」「ブラックコーヒー」も同様だ。
ヨーグルトとビールの組み合わせに至っては、「ハイジ」というれっきとしたカクテル名までついていた。あぁ、発明ならず。ビール界のエジソンにはなれなかった。
インターネットという広大な知識の海、そして先人たちの知恵や発想は、やはり偉大だ。