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未知の地、クロアチアが天国だった。

今年の3月、新婚旅行でクロアチアを訪れた。

私たちの周囲で行ったことがあるという人を聞いたことがなく、その「レア感」がいいなという理由だけで決めたので、最初はサッカーが強いことくらいしか知らない、「未知の地」状態だった。

まず調べて分かったのは、クロアチアの中で観光地として有名な都市は「ザグレブ」「ドゥブロブニク」「スプリト」の3つだということ。

日本に例えるなら、首都であるザグレブが東京、城壁や古い街並みが有名なドゥブロブニクは京都、アドリア海に面したリゾート地であるスプリトは神戸、という感じだろうか。

かなり迷ったが、絶景に目がない私の提案で、今回は「スプリト」を訪れることにした。

ジブリのような街並みと世界遺産

フェリーから見たスプリトの街

2024年3月時点では、残念ながら日本からの直行便はなかったので、イタリア・ミラノを経由して行くことに。ミラノ→スプリト→ミラノという感じで、間の5日間をクロアチアで過ごす。

ミラノでありえないほど美味しいパスタと名物のカツレツを食べ、2日目の早朝7時台の飛行機でスプリトへ向かう。フライトは大体3時間くらいだった。

ちなみに、成田↔︎ミラノが往復ひとり約10万円、ミラノ↔︎スプリトが往復ひとり約5.5万円。他の国に比べて、渡航費がそこまで高くなかったように思う。

スプリト空港に降り立ち、バスで市内へ。右手に海を見ながら海岸沿いを1時間ほど進むと、街っぽい場所に着いた。主要な観光地だというのに、あまり人がいない。後から知ったのだが、クロアチアのハイシーズンは夏らしい。気温は15度くらいで普通に過ごしやすかったのだが、とにかく、どこもかしこも空いていて最高だった。

到着したバス停から歩いて10分ほど。「ディオクレティアヌス宮殿」とともに世界遺産に登録されている、迷路のような古い街並みを彷徨い、Googleマップで目をつけていた店に入る。料理にあまり期待はしていなかったのだが、なるほど、めちゃくちゃ美味い。

ヨーロッパという感じの綺麗な街並み
Villa Spizaというお店でランチ
魚介だけでなく、肉もいける

そこらじゅうに絶景

スプリトは、わりとコンパクトな街だ。世界遺産の古都の近くに、バスターミナルやフェリー乗り場があり、このあたりにカフェやレストランも集積している。

この観光地っぽいエリアを出ると、比較的穏やかな普通の街並みが広がっている一方、観光客向けのホテルは、古都のある中心街から徒歩20分圏内くらいに点在しているという感じだ。

しかしながら、日本ではなかなか見ることのできない絶景が、いたるところに転がっている。静かで穏やかなのも非常にポイントが高い。

透き通ったアドリア海の水面

極めつけは、古都の中を通り抜け、坂道を登った先にある「マルジャンの丘」。スプリト1のパノラマビューポイントだ。ジブリ映画に出てきそうな上り坂で猫と挨拶を交わし、ズンズンと進んでいく。

野良猫はいたるところにいる

歩き始めてから30分。途中に休憩を挟んでいたこともあるが、思いの外時間がかかる。勾配も中々にきつかったので、その分良いものを見せてもらわなくては。この日はあいにくの曇り空だったのが唯一の残念な点だが、それでも感動する景色だった。

スプリトの中でもかなり有名なスポットのはずなのに、周囲には私たちの他に誰もいない。来る途中にすれ違う人すらいなかった。

マルジャンの丘からは、街が一望

シーズンオフとはいえ穴場すぎる。クロアチア、良すぎるぞ。

コスパがすごい4つ星ホテル

今回宿泊したホテルは、「ディオクレツィアンホテル&レジデンス」。世界遺産である宮殿の名前が冠についた4つ星ホテルだ。中心街からはバスで5分、徒歩で20分程度。景色が楽しいので、歩いても何の苦にもならない。

部屋は思い切って「ジュニアスイート」を取ったのだが、5泊で約720ユーロ。当時のレートで日本円に直すと約12万円で、1泊あたり1人約12,000円だ。他にもいくつか迷ったホテルはあったのだが、どこもこれくらいの価格帯だった。バスタブが付いていたのも◎。

そしてこのホテルも、ものすごく空いていた。朝食のビュッフェも、夜にバーに行っても、他にゲストがいない。スタッフの方に話を聞いたところ、私たち含めて5組しか滞在していなかったらしい。

誰もいないレストランで、豪華な朝食ビュッフェを食べる。美味しすぎる&油分が多いので、初日は食べ過ぎて夜になってもお腹が空かなかった。

最高だったのは、最上階にジムとサウナがついていること。本場のサウナ目当てでフィンランドに行くかを最後まで悩んだ私たちにとって、これは嬉しい。

1人用の個室サウナが4つくらい並んでいて、中はかなりの高温。100℃はあっただろう。残念ながら水風呂はないものの、コールドシャワーで体をキンキンに冷やし、屋上のテラスで外気浴を楽しむ。

屋上テラスで外気浴。後ろにはジム

ジムとサウナには2回行ったが、いずれも貸切だ。混んでいないサウナほど良いものはない。

ちなみに、市街地での移動は徒歩かバスだ。バス停に券売機があり、クレジットカードでチケットを購入する。所定エリア内を2時間乗り放題、みたいなチケットが1人1ユーロ(約160円)なので、日本より安い。

乗車する時に、チケットのQRコードを「ピッ」とするのだが、キセル乗車防止のために、たまに車掌さん的な人にチェックされる。滞在中、一度だけ話しかけられたことがあった。

どこに行っても英語を話せる人が多かった印象だが、その人はそうではなく、恐らくクロアチア語で何かしらの疑いをかけられていた。私は妻とは違って英語すら聞き取れないので困っていたところ、大学生くらいの女性が横から助けてくれた。どうやらちゃんと、「ピッ」ができていなかったらしく、事情を説明してくれた。

人も優しいクロアチア。ますますこの国が好きになった。

ホテル前のバス停。ここから市街地へ繰り出す

大自然の奥地、荘厳な滝

スプリトの中心街にあるバスターミナルから約1時間のところに、「クルカ国立公園」という国指定の自然保護区がある。ここだけは外せないと、かねてから行くことを決めていた場所だ。

同じくクロアチアにある「プリトヴィツェ湖群国立公園」と迷ったが、スプリトからだと3時間以上はかかるらしく、今回は断念。

バスが公園のある「スクラディン駅」に到着すると、目の前が大きな広場になっていて、子供たちが遊んでいる。広場のすぐ横を流れるクルカ川では、カヌーを楽しむ人も。夏はものすごく混むのだろうが、今は3月。ちょうど良い感じで賑わっていた。

公園の奥の方に、有名スポットの滝があるらしい。今回はそこを目的地に、歩いて向かう。序盤にある入り口でひとり7ユーロ(約1,100円)の入場料を支払い、そこからは1本道だ。右手に川を眺めながら、ゆっくりと進む。

川沿いをハイキング

歩くこと、約1時間。勾配は一切ない平坦な道だったのでそこまで疲れることはなく、目的地である「スクリャヴィツァ滝」に到着した。

シーズンではないので、飲食店などはほとんどやっていなかったし、公衆トイレすらクローズしていたが、そんなことは気にならないほど、圧倒的な存在感のある滝。いやぁ、来てよかった。

マイナスイオン(水しぶき)が気持ちいい

バスでスプリトに帰り、古都街にあるレストランでアドリア海のシーフードを頂く。ディナーはちゃんとしたレストランでお酒を飲みながらしっかり食べると、円安の影響もあるのだろうか、2人で90ユーロ(約14,000円)から140ユーロ(約22,500円)くらいした。

海とパンの島、スペタル

スプリトの中心街にあるフェリー乗り場から、いくつかの島に行くことができる。東京の竹芝から、伊豆大島や式根島に行くような感覚だ。最も、私たちが選んだフヴァル島のスペタルという街は、約1時間とわりと近い。料金も片道4.25ユーロ(約680円)とお手頃だ。

フヴァル島 スペタルの港

到着した港には、カフェが何軒か立ち並んでいる。アイスコーヒーを飲んで休憩している時に、Googleで島の地図を眺めていると、何とレンタルサイクリングがあるではないか。私は旅先では無性に自転車に乗りたくなる。そしてさほど大きくはない島だ。チャリで1周なんてしたら、絶対に気持ちいい。

あまり乗り気でない妻を引き連れ、目的のショップに向かう。すると、ちょうど今日から今シーズンのレンタルを開始するという。なんて運が良いんだ。春のお客様第一号として、マウンテンバイクに跨る。料金は、5時間利用で私のマウンテンバイクが15ユーロ(約2,400円)、妻の電動タイプが25ユーロ(約4,000円)と、良心的だった。

よくよく考えると、フヴァル島の外周は約80km。1周するのはさすがに無理なので、お隣の栄えているエリアまで、約5kmの道のりを往復することに。

チャリ嫌いな妻も満足した様子

帰り道、自転車を返す直前に、なんと孔雀を見つけた。野生なのか、飼われているのかは分からないが、2mほど先で、大きく羽を広げた孔雀を見るのも中々ない体験だった。

しかしながら、スペタル島のハイライトは、青く澄んだアドリア海の水面でも、大自然の中を風を切って進んだサイクリングでも、孔雀でもない。

パンだ。フェリー乗り場の近くに、何軒かのパン屋さんがあったのだが、そこで食べたパンが、今まで食べたものの中で最も美味しいと感じた。シンプルなチーズパンと、ウインナーが入ったブリトーを食べたのだが、使っている小麦が違うのか、あまりにも絶品。美味しすぎて、その日のうちにリピートし、全く同じパンを買って店員のお姉さんに笑われた。

行ってよかったSUPETAR

さいごに

ヨーロッパの旅行先として、他の国に比べるとあまりメジャーな場所ではないように思うクロアチア。訪れるまでは何があるのか、何が魅力なのかよく分かっていなかった。

実際、「これ!」という観光スポットがたくさんあるわけではない。けれど、今回の旅を通して、自然や景色、美味しいご飯に囲まれてのんびりと過ごしたい時に、これ以上の場所はないのでは?と感じた。

日本からの直行便がないというのも、ひとつのハードルかもしれない。ただ、この点に関しては、クロアチアの新航空会社プラグーサ航空が成田↔︎ドゥブロブニクの直行便運行を計画しており、2025年6月頃の運航開始を目指しているらしい。

これは、「未知の地 クロアチア」がバレてしまうかもしれない。もう少し混んでいるかもしれない夏のハイシーズン、そして春と秋の過ごしやすいオフシーズン。どちらでもいいから、もう一度死ぬまでに行きたい。

3月は、過ごしやすいのにどこも空いていてオススメ

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