おやじネットワーク 「建前と本音」の終焉
こんちは!副業社労士まさゆきです。
5月21日 日経朝刊に「東証プライム市場/最低1人は女性役員/政府25年目途に努力義務」の記事が載りました。最終目標は30年までに女性役員比率30%以上です。OBN(Old Boys Network:おやじネットワーク)が使う「建前と本音」が通用しなくなると思いました。
「建前と本音」は日本の文化です。建前とは「人とのコミュニケーションの中で相手の立場や気持ちを考え、不快にさせないために使う原則や基本となる方針、表向きの意見」です。顧客の要求に応える事が無理だと分かっていても「検討します」「ご期待に沿えるよう頑張ります」と言います。若い方も女性も使いますが、OBNには独特の使い方があります。OBN式「建前と本音」です。
例えば…会社が到底達成できない目標を立てます。最初から“出来ません”とは言えば逆らった事になるので「最大限努力をしたが達成困難」だと徐々に浸透させていく必要があります。その手段としてOBN式「建前と本音」は使われます。
OBN式「建前と本音」には「お決まりのシナリオ」があります。
① 通常、目標を達成する為に方策を3~5個設定しますが、達成困難な目標の場合、その内2~3個は実現不能ですが、「難しいが最大限鋭意努力する」と宣言します。
② 進捗報告会議で、実現不能な方策は、精一杯努力しているが障害が大きいことをPRします。会議外でも小まめに進捗報告し、「この目標は達成困難」なことを浸透させます。
③ 最後に「会社目標達成に向け最大限努力したが“力及ばず”未達に終わった」ことを報告します。最初から無理な目標だとは言いません。会社に文句は言わず、自分の能力不足と取られないようにします。こんなシナリオが必要な時代がありました。
シナリオを実現するためには「根回し」が必要です。会議で異論が出ないよう上司やキーパーソンに状況を伝えて味方に付けます。飲みニケーションも使われます。上司やキーパーソンとの距離感を縮める効果もあります。
女性役員を30%まで増やすためには部長・課長の女性比率も増やさなければなりません。「お決まりのシナリオ」「根回し」理解しないでしょうね。女性役員比率が低い最大の原因はこのシステムにあると私は思っています。女性役員比率が上がればOBN式「建前と本音」は通用しなくなります。多様性をベースにしたアイデア創出が求められる昨今、馴染まないシステムです。
先日耳にした話です。とある会社で、法務部が各部門にコンプライアンス対応アンケートを実施しました。担当者は女性、㏄は男性上司。設問に実施・実施検討中・未実施で答えます。取引先に確認が必要な、ある設問の横に「どの選択肢を選んだ場合でも確認方法を書いて下さい」との記載がありました。ただ、取引先の秘密情報にも触れるデリケートな部分があり確認が難しい項目です。
「確認は難しいですが?」と問合わせると「〇×という方法は如何でしょうか?」との回答、現実的ではないと思いつつ「今後検討」としたそうです。
他部門はこの確認方法を記載せず提出していたそうです。翌日この女性担当者は「未記入の回答は一旦差し戻します」と一斉メールしました。「揉めるのではないか」と思っていた矢先、その上司から電話が。「女性担当者は厳格実施を求めましたが、この質問には“ふわっとした回答“でいいです。すみません」。苦情が出たのでしょう。
「だったら設問を変えればいいのに」と思います。恐らくこの上司、会社の指示に止む無く書いたが“ふわっとした回答”を落とし所に考えていたのでしょう。でも、女性担当者には理解できないですよね。書いてあるから当然求めます。
こんな揉め事を経て「建前と本音」は通用しなくなる…ではまた次回