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誰にも触れない歌をずっとね~2019.12.23 UNISON SQUARE GARDEN「Bee side Sea side」@福岡サンパレス

ユニゾン結成15周年イヤー。その集大成たるB面集『Bee side Sea side~B-side Collection Album~』を引っ提げてのツアー。ファンクラブ限定とかならまだしも、しっかりと全国の大きなホールも回ってくれた。福岡は、県内最大キャパのホール会場にて開催された。こんな地方の平日でも見事にソールドアウト、やはり今のユニゾンの求めらっぷりには感嘆するしかない。

お馴染みのSEの後、1曲目は「リトルタイムストップ」。様子を伺うようなしっとりとした幕開け。<「もう少し もう少しだけ」これぐらいの願い事で 時間が止まりそうです>という歌詞がツアーファイナルを名残惜しむように響き渡る。そして「セク×カラ×シソンズール」の陽性のサビがすこーんと突き抜けたのち、Vo.&Gt.斎藤宏介からの「ようこそ!」でグイッとギアが入っていくし、人懐っこいポップネスと共にBa.田淵智也も大いに動き回り始め笑顔を広げていく。「今日はカップリングしかやらないので覚悟しておいてください」という念押しから、「flat song」の柔らかな歌が。3曲目にしてこれ程スローな曲が入ってくるとは、今までにない構成であるのは確かだ。

文字通りフラットになった空気を、引き裂くように始まった「over driver」。ユニゾンの楽曲群においてカップリングは脇役と明示されているが、この辺りの曲はかなりの悪役でもあると思う。残忍なまでのラウドさでこちらをブチ上げていく。続く「ピストルギャラクシー」のややイカれたイントロも同系列。ユニゾンにとって、アルバムからははみ出てしまう暴力性を持った曲の活き場所になっているのだ。田淵智也がぶっといベースラインを奏でて始まる「ギャクテンサヨナラ」は、超初期曲。B面集のライナーノーツでは、ライブで盛り上がる曲を作ろうと思ったのかな?とぼんやり書かれていたが、この現場で3000人を沸かせたことで時を経て立証されていた。

そんな熱狂の渦をそっと落ち着かせたのは「僕は君になりたい」。個人的には念願の1曲。ライブでは聴けないけどなぁと思いながらも長らく愛でてきたこの曲を実際に聴けて感慨はひとしお。漫画「放浪息子」をイメージした曲で、まさに今の時代に鳴るべき優しさに満ちている。続く「スノウループ」もまたバラード然とした曲だが、B面だからといってそういう曲が多いわけではない。「ここであったがけもの道」の弾けるようなメロディや、「ノンフィクションコンパス」の瑞々しさはシングルに推しても遜色ないはずだ。MCでは「しばらくやらなくなるであろう曲を空に送る気持ちで演奏している」と斎藤は語っていたが是非とも地上に残して欲しい曲も多いぞ。

↑のB面曲総選挙で31曲中30位人気だった「三月物語」も披露。ここで聴いたらきっと順位上げたくなったはず。ステージ背後にはジャケットの月を模したバックドロップが出現。次の「三日月の夜の真ん中」ではライティングでは三日月を表すなどして大活躍。この日唯一の斎藤宏介による詞曲、ライブのムードをきゅっと引き締める。スピード感はあるが隙間の多いサウンドで静かな気分になれる。凛とした気持ちになっていると、しなやかなセッションが展開された後、この季節にぴったりなファニー&キャッチーな小曲「サンタクロースは渋滞中」。近いテンションの曲で固めない今回のセトリは、いつも以上にこちらの感情を上下に揺さぶってくる玄人向けなものである。

B面曲総選挙の第1位である「スノウリバース」をクールに披露した後、印象的なフレーズをループさせながら始まった「シグナルABC」から終盤に突入。「ラディアルナイトチェイサー」は、7thアルバム『MODE MOOD MODE』の収録予定だっただけあってしっかりと絶頂に迎えるように作り込んであって大いに踊り狂えた。続く「I wanna believe、夜を行く」も、アニメ「TIGER&BUNNY」用に書き溜めていたストックということもあって、その主題歌曲に連なるような眩さを放ち続けていた。B面曲の中でもとりわけアンセム感の強い持ち駒ゆえ、どこで披露されるのかを期待にしていたがラス前という至上なタイミング。フェスとかでも聴きたいスケール感だった。

「ラスト!」の号令から「Micro Paradiso!」が。この曲、ライブで演奏された回数はこのツアーの公演分くらいだろうに、すっかりシメに相応しいがちゃがちゃした曲(「ガリレオのショーケース」とか「アイラブニージュー」みたいな)へと育ち上がっていて爆笑してしまった。間奏のキメでドラム鈴木貴雄が何度もジョジョ立ちをかますし、田淵はエクソシストのガキばりに背面で歩きながらベースを弾くという、昂ぶりまくったプレイを見せてくれた。前日のM-1グランプリの録画を観た直後だったので、田淵の所作がぺこぱの松陰寺に見え続けてしまったな。前髪がふぁさふぁさ揺れる感じも含めて。

アンコールではイントロで、鈴木曰く"良い拍手"が起こった「5分後のスターダスト」でじわっと幕開け。最後のMCで次回の福岡公演を解禁するというファン心理を理解した告知にもグッとくる。そして、数あるB面曲の中でも特にユニゾンイズムが深く刻まれた「さわれない歌」を堂々と披露。自分たちが楽しいからやる、で15年。その楽しいが伝播し、隅っこに隠しておいたような曲も見つかったし、3000人を前にしても薄まらずに届いてる。これがどんなに理想的なことだろうか、と思う。そんな感慨をぶっ飛ばすように「ラブソングは突然に」で乱痴気騒ぎのようになって終了。鈴木は自分のTシャツで顔を隠した状態で全編を叩ききった。無茶苦茶なコンセプトだけどどこまでも気高く、美しく、面白かった。来年の通常営業も楽しみすぎる!


2019.12.23 UNISON SQUARE GARDEN「Bee side Sea side~B-side Collection Album~」@福岡サンパレス 

setlist
1.リトルタイムストップ
2.セク x カラ x シソンズール
-MC-
3.flat song
4.over driver
5.ピストルギャラクシー
6.ギャクテンサヨナラ
7.僕は君になりたい
8.スノウループ
9.ここで会ったがけもの道
10.ノンフィクションコンパス
-MC-
11.三月物語
12.三日月の夜の真ん中
13.サンタクロースは渋滞中
14.スノウリバース
15.シグナルABC
16.ラディアルナイトチェイサー
17.I wanna believe、夜を行く
18.Micro Paradiso!
-encore-
19.5分後のスターダスト
-MC-
20.さわれない歌
21.ラブソングは突然に〜What is the name of the mystery?〜

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