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2022年ベスト映画 トップ10
2022年の映画で良かった作品を10本選んでランキング化。今年も大充実。下半期は特にやや好みの範囲外にも足を伸ばし、思いがけぬ名作を見つけられたと思う。やっぱり、確実な傑作よりも小さな名作を抱きしめていきたい。
10位 そばかす
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三浦透子の単独初主演作。同年代最上級の演技とともに彼女の良い“走り“が観れる映画だった。立ち向かうでも逃げるでもなく、ただシンプルに自分として走ることの難しさと気高さ。心の内側をじっと見つめ、多様性だけで括れないありのままで居る自分を想うような。“当たり前”のやかましさと1人でいる瞬間の穏やかさのコントラストが苦しくも見事だった。三宅弘城が演じる父親の存在が素晴らしく、主人公・佳純と静かに並走する物語を形作る。はみ出てしまったとみなされた心に向き合う姿に、新たな父娘の在り方を見た。
9位 アフター・ヤン
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コゴナダ監督の長編2作目。動かなくなったAIロボット・ヤンが集めていた家族の記憶を巡り、人と他者の繋がりを静かに描く1作。記憶の断片をきっかけに、登場人物たちが回想を噛み締め、台詞が繰り返される度に滲む優しさ。心というのはもしかすると思い出が集まって出来ているのかもしれない、なんてことを思ったりもした。人間を豊かなものにする教養やポップカルチャーへの愛が随所に散りばめられていたのも監督なりの拘りだろう。やはりそういうささやかな所にこそ人生に喜びや魂そのものが強く宿るのだと。
8位 ベイビー・ブローカー
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是枝裕和監督が韓国で制作した映画。行動目的がややはっきりしすぎており、少し自由度が低いように思えた序盤だったがあるキャラクターが物語に加わってから一気にドライブ感が増した。そして終盤のある台詞がこの映画で最も伝えたいとはっきりと分かり、危うく陳腐になりそうなあの場面が質量をもってちゃんと届いた。「万引き家族」の後にこの作品が出来たこと、僕は祈りのように思えた。ただこういう話で心揺さぶられること自体が何だか勝手な気もしてくる。自分の持ち場で、仕事で、何か出来はしないかと。
7位 さがす
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片山慎三監督の商業映画デビュー作。ある日突然消えた父親とそれを追う娘の背景に潜む大きな問題を描いた1本。実に根源的なテーマを至極シリアスに描き、分厚いやるせなさを突きつけてくる。そして真っ当にミステリ、サスペンスとして上質だし、同監督の「岬の兄妹」と同じく倫理の外にある“向き合わざるを得ないもの”への視点があり、いつだって誰もがここに肉薄し得るってことを分からねばならないと改めて思った。悲哀に全振りし大きな体躯を虚しさで満たした佐藤二郎が素晴らしい。人間の揺らぎがずっとある。
6位 NOPE
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ジョーダン・ピール監督によるメジャー3作目。映画を撮るなら“空は見上げるもの”という前提から、ヘタしたら笑っちゃいそうなアイデア重視の怪異を導き出し、そこにありったけの寓意や皮肉を込めてしまう。見たこともないスペクタクルを食らうマクロな興奮と、細やかに掘り下げたくなるミクロな興味が渾然一体となって降り注いでくる。ホラー映画のようにも、大怪獣モノのようにも、スーパーヒーロー映画のようにも見えてくるほどに多面的、だけどもスタイリッシュにまとめ上げるストーリーテリング。端正の極み。
5位 さかなのこ
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沖田修一監督がのんを主演に迎えさかなクンの自伝をベースに編み上げた異色の伝記モノ。これつまり「横道世之介」の《笑って今日でさよなら》しなくていいバージョン。そこに確かにあなたがいて、あなたが周りや世界を変えていくという強い確信に満ち溢れた映画。”好き“で生き抜く難しさや普通でないとされる戸惑い含め、その清濁併せ吞んだテイストが絶妙な仕上がり。のん氏が求められる役柄が”イノセントな存在が多すぎるのもな、、と思ってはいるのだけど、やはり今回も彼女にしか成し得ない"海"との対峙だ。
4位 スパイダーマン ノーウェイ・ホーム
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マーベル映画をこの並びにいれるかどうかを悩んでいるのだけどちょっとこればかりは入れざるを得なかった。お祭り感とか歴史の重みから伝わるエンターテイメント強度も勿論なのだけど、個人的には今回の話の中でピーター・パーカーが悪役を治療するというアプローチをしていくことにいたく感動した。敵、なのかもしれないけどでもそういう事情は戦わないというこの世界線のスパイダーマンの優しさを思ってじんとなる。アベンジャーズ、20年間のスパイダーマン、そのサーガの交差点にこんな慈愛がある美しさ。
3位 神は見返りを求める
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𠮷田恵輔監督作品。触れられたくない嫌な部分を突きつけ続ける彼の作品の中でも屈指の人間臭さ。有名YouTuberになりたいユリちゃん(岸井ゆきの)とそれを無償でサポートし続ける田母神さん(ムロツヨシ)の関係性が徐々に破綻していく様を描く。人生を賭けてまで「楽しい」を超え「承認」を求める価値観。役に立つことが好意に繋がるとか思っちゃう愚かな男性思考。理解できないと言えればいいのに身に覚えがあるから呻いてしまう。正しさだけでは怒りが募るし、求めれば虚しさが溢れる。それでも人間って可愛い、よ。
2位 こちらあみ子
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今村夏子の小説を森井勇佑監督が映画化。自由奔放に生きて周囲を振り回す主人公あみ子。小学6年生から中学1年生へのステップの中、純粋さと無邪気さと図々しさが可愛げでなくなるタイミングが訪れ、取り巻く環境はドミノ倒しのように変化していく。変わるはずのないあみ子とそびえ立つ社会の壁。非定型発達って何なのだろう、世界が勝手に決めた“型”だからね、、そこにハマらなった時のこと、何も用意されてないという事実に絶望的になってしまった。なけなしのハートフルも僕には虚しく映る。静かなる衝撃作。
1位 ちょっと思い出しただけ
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松居大悟監督が10年来の付き合いでる池松壮亮とクリープハイプを迎えて作った恋愛映画。あの時こうでなければ、あの時もう少しそうだったら、世界がこんなことにならなければ。あれこれ想像したりしてしまう今この瞬間をちゃんと噛み締めたくなる映画だった。忘れたフリして、振り返って、その繰り返し。なのに?だから?今を肯定したくなる。劇中でフェアリーとして存在した尾崎世界観が放ったある台詞で涙を堪えきれなかった。場面における選曲、映画「ナイトオンザプラネット」のみに絞った引用も美しかった。
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